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ドクターEのカルボナーラ Rigatoni alla carbonara di doctor E
Rigatoni alla carbonara di doctor E リガトーニ アッラ カルボナーラ ディ ドクトル E
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サッカー選手のトッティがまだ現役だった頃、ローマでうっかり日本語で「ありがとう、」と言うと、ほぼ90%の確率で、「何がリガトーニやねん?!」と、待ってましたとばかりに突っ込まれたものだった。
某携帯電話会社のCMで寿司職人に扮したトッティが、カウンター越しに日本人サラリーマンに寿司を差し出す。ありがとう、と言って寿司を受け取る日本人。すると、ありがとうをリガトーニと聴き間違えたローマ人は、「何がリガトーニやねん?!、これは寿司やねん!」
ローマは大阪みたいだ。時々私はそう思う。食べ物が美味しい。人はおしゃべりでおせっかいで、涙もろい。おまけに市外局番が 06 。
ドクターEは、大阪っぽくないローマ人だ。
いつもアイロンのかかった上品なシャツを着ていて、お祭りのような街の喧騒とはどこかちょっと距離を置いているようなところがある。ローマの伝統とニューヨークの洗練と、ロンドンの堅実が同居しているみたいな人だ。
料理が趣味だというドクターEのカルボナーラは、美しかった。そしてあまりの美味しさにあっという間にたいらげてしまった私に、「もっと食べる?お代わりだったらまだあるよ。」と、フライパンに残ったパスタを私の皿に取り分けてくれた。「ありがとう。」と、私が言うと、ドクターEはフライパンを持ったまま悪戯っ子みたいに目を輝かせ、次の瞬間絶望した。
なぜならこれは、リガトーニなのだ。
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rigatoni alla carbonara
材料 2人分
リガトーニ 180g
グアンチャーレ 100g( 手に入らなければ、パンチェッタでも )
全卵 1個+卵黄1個分
ペコリーノロマーノ 100g
パルミジャーノレッジャーノ 20g
塩コショウ適量 ( 黒胡椒 )
グアンチャーレを1cmくらいの短冊に切り、フライパンで中火でかき混ぜずに加熱する。表面の脂が溶けて、裏側がカリカリに焦げてきたらかき混ぜて、脂身が全て溶けるまで加熱する。
チーズを擦り下ろしておく。
たっぷり塩を加えたお湯でパスタを茹で始める。
大きめのボールで卵を混ぜ合わせる。
卵のボールにチーズとたっぷりの胡椒を加えてよく混ぜる。
硬めに茹で上がったパスタをボールに加えよく混ぜ合わせたら、1分くらい待ってからグアンチャーレとその油を加え、手早く力強く混ぜる。パスタの茹で汁を少し加え、更によく混ぜる。
皿に盛り付けて、仕上げに黒コショウをまぶす。