塩コショウ適量 kyoko

40代でイタリアに出会い、50を過ぎて飲食業に転職。師匠のパオラに近づけるよう日々精進。前職はカメラマン。東京在住。

塩コショウ適量 kyoko

40代でイタリアに出会い、50を過ぎて飲食業に転職。師匠のパオラに近づけるよう日々精進。前職はカメラマン。東京在住。

最近の記事

おじいちゃんのプリン Creme caramel di nonno

creme caramel di nonno クレム カラメル ディ ノンノ { 子供の頃の懐かしい味 } いつどこで、誰と食べたのか。 食べ物の記憶は、何を食べたのか以外の数々の思い出と、とても深く結びついている。だから、美味しいの記憶は決して味覚だけでなく、その時自分がどこに誰と居て、どんな状況だったのかも大切な美味しさの要素なのではないかと思ったりする。 子供の頃、小学校から帰って来て台所の方からカラメルのこげる甘い香りがすると、あ、おじいちゃんが来ている、と嬉しく

    • 飲むサラダ Insalata estiva

      insalata estiva "mangia e bevi" { 夏サラダは飲んで食べて! } 子供の頃に読んだ「ピノッキオの冒険」が、怖くて仕方がなかった、と、何人かのイタリア人の友人から聞いた事がある。人生の教訓をほのめかすために作られる童話は、時に大人にとっても十分怖かったりする。物語の意図とは裏腹に、子供にとってトラウマになってしまうことだってあるかも知れない。 ローマで道路を横断するのには、動物的な感覚の鋭さが必要だ。 信号も横断歩道もあるのだけれど、それらに

      • 食べるスープ Vellutata di fagioli うずら豆のヴェッルタータ

        vellutata di fagioli  ヴェッルタータ ディ ファジョーリ スープが好きじゃない女の子っているんだろうか、と言うくらい、東京でもローマでも女友達は美味しいスープでかなり盛り上がる。ところが男の人だと、スープ好き東京男子は結構いるのに、ローマでは実はあんまりウケた事がない。刻んだ野菜がたくさん入ったミネストローネや、セモリナ小麦粉を溶いたスープにパスタを浮かべたのなんかはOKなのに、ポタージュ系は全然だめ。 一年中なんでもありの東京に比べて、食に関して彼ら

        • エンダイブのピッツァ Pizza con scarola

          pizza con scarola ピッツァ コン スカローラ Scarola!  ローマで初めて食べた物の中で、大好きな野菜の中のひとつです。ローマは本当に野菜が美味しい。カルチョーフィ、プンタレッラ、チコリア、そしてスカローラ ( エンダイブ )。どれもそのちょっとした苦味がすごく美味しい。 私は子供の頃、苦い野菜がちっとも好きではなかった。例えばピーマンとかセロリ。大人たちが美味しいと言って食べているのが不思議だった。 いつの頃からか苦い野菜や臭い発酵食品を、これはた

          ローマ発アボカド巻き Maki avocado con riso integrale e riso rosso

          { 玄米と古代米のアボカド巻き } maki avocado con riso integrale e riso rosso マキ アボカド コン リーゾ インテグラーレ エ リーゾ ロッソ ローマの人たちは、米よりパスタをよく食べる。それでも日本人の私を歓迎するために、そして、私が日本や米を恋しがっていないかと、米の料理を何かしらわざわざ用意してくれたりした。評判の日本料理屋にも連れて行ってもらった。私は米よりもパスタを食べる日本人なのだけれど、こういう彼らの心配や優しさ

          ローマ発アボカド巻き Maki avocado con riso integrale e riso rosso

          パスタの卵焼き Frittata di pasta

          frittata di pasta  フリッタータ ディ パスタ { 余ったパスタで卵焼き } 夏はローマが空っぽになる。旧市街は世界中から来る観光客で一年中大賑わいだけれど、観光客が訪れることのない住宅地や、地元の人たち御用達の商店が軒を並べる界隈では、7月の半ばくらいから徐々に人がいなくなり、8月15日の聖母被昇天の祭日を境に空っぽになる。もちろん店も休暇に入る。何しろ暑いのだ。その上ほとんどの家にはエアコンがない。そんな環境では勉強も仕事も捗らないので、海か山でたっぷ

          パスタの卵焼き Frittata di pasta

          固くなったパンのサラダ Panzanella

          panzanella パンツァネッラ { 夏のおいしい手抜き料理 } 焼き立てのパンは、美味しい。自分で焼くとなおさら美味しい。でも、どんなに美味しくても1日に食べるパンの量は大体決まっているし、人はパンのみで生きているのではない故に、毎週ちょっとずつ固くなったパンが溜まっていくのである。 余ったご飯を無駄にしない工夫から炒めご飯が生まれたのか、炒めご飯を追求したら炊きたてよりも余った昨日のご飯の方が美味しく出来たのか、どちらなのか私は知らないけれど、似たような料理がイタ

          固くなったパンのサラダ Panzanella

          いつものパン Pane casereccio

          pane casereccio パーネ カゼレッチョ 自家製いつもの食事パン 嬉しい事があると、パンを焼きたくなる。悲しい事があっても、さあ、パンを焼こう、と思う。人は習慣の動物だから、と、ローマの友人が言った。実に私はその典型で、いつもの食卓、いつもの人たち、いつもの服にいつもの部屋、馴染みの店、通い慣れた道、河岸を変えるのはあまり得意ではない。旅行と言っても私が行くのはいつも決まった場所ばかりで、冒険は楽しいけれど一番好きなのは「家」に帰ってくる事だ。 「バリッラのある

          いつものパン Pane casereccio

          じゃがいものミルフィーユ Millefoglie di patate

          millefoglie di patate { con parmigiano } ミッレフォリエ ディ パターテ  プラタナスという木を私は知らなかった。まだイタリアに行った事がなかった頃、小説やオペラの中で季節の描写をする時だったり、あるいはその作品の主人公にとって親しみのある景色の一つとして度々登場するその街路樹の名前は、私にはとてもイタリア的な響きがした。そしてその景色を思い浮かべては、うっとりしたものだった。 ローマで家から旧市街に行くために通る道の一つに、プラタ

          じゃがいものミルフィーユ Millefoglie di patate

          ブレザオラとルッコラのカルパッチョ Carpaccio di bresaola con rucola e parmigiano

          carpaccio di bresaola con rucola e parmigiano 若き日の千利休は武野紹鴎に入門を願い出る。堺の豪商は若者の資質を試そうと、庭の掃除をしておくように、と言いつける。既に掃除がされており、塵ひとつ落ちていない庭を前にした千利休は、おもむろに一本の木を揺さぶり始める。木の葉がはらはらと舞い落ち、殺風景だった庭が風情のある景色になったという。 私は掃除が大好きだ。ぴかぴかに磨き上げるのは得意中の得意。でも良い感じに履き残そうとすればする

          ブレザオラとルッコラのカルパッチョ Carpaccio di bresaola con rucola e parmigiano

          茄子のパルミジャーナ Parmigiana di melanzane { leggera }

          parmigiana di melanzane leggera 『軽〜い』茄子のパルミジャーナ パルミジャーナ ディ メランザーネ レッジェーラ 朝から台所の窓辺に、茄子が干してある。 昼ごはんを食べながら、私は窓辺の茄子が気になって仕方がなかった。何かのおまじないだろうか。それとも昔ながらの風習?日本のお盆の茄子と胡瓜みたいな。 夕方になってもまだ干してある。あのう、すみません、茄子が出しっぱなしなんですけど、と、心の中で言ってみる。 翌日の昼ごはんに、その茄子はとびき

          茄子のパルミジャーナ Parmigiana di melanzane { leggera }

          ドクターEのカルボナーラ Rigatoni alla carbonara di doctor E

          Rigatoni alla carbonara di doctor E リガトーニ アッラ カルボナーラ ディ ドクトル E サッカー選手のトッティがまだ現役だった頃、ローマでうっかり日本語で「ありがとう、」と言うと、ほぼ90%の確率で、「何がリガトーニやねん?!」と、待ってましたとばかりに突っ込まれたものだった。 某携帯電話会社のCMで寿司職人に扮したトッティが、カウンター越しに日本人サラリーマンに寿司を差し出す。ありがとう、と言って寿司を受け取る日本人。すると、ありがと

          ドクターEのカルボナーラ Rigatoni alla carbonara di doctor E

          タコのルチャーナ風 Polpo alla luciana

          『小さな幸せのお守り』からのレシピを、ちょっとだけ私ふうに。ricetta da "Il piccolo talismano della felicita' " un po' a modo mio 旅行に行く時、私は鞄の中に何か一冊必ず本を入れて行く。老眼が加速してきた私にとって、小説を朗読もしてくれる最近の電子書籍の存在はありがたいの極みなので、移動中はヘッドフォンで朗読を聴き、目的地では紙の本と使い分けている。 目的地が海で、もし本を持ってくるのを忘れたとしたら、水着を

          タコのルチャーナ風 Polpo alla luciana

          赤ワイン風味の小さなドーナツ型クッキーciambelline al vino rosso

          チャンベッリーネ アル ヴィーノロッソ{ 赤ワイン風味の小さなドーナツ型クッキー } ローマから車で1時間ほど離れた山の中にある修道院の宿泊施設の食堂で、他の色々な街から来ていた神父さんたちやシスターたちと一緒に食事をしたことがあった。 その頃の私にはイタリア人たちの普通の食卓の風景が、まるで映画か小説の中に放り込まれたみたいに初めて実際に見る事や知らない事ばかりだったので、料理の美味しさに感激するのと、みんなの食べ方や振る舞いを観察するのと、おしゃべりについて行こうとする

          赤ワイン風味の小さなドーナツ型クッキーciambelline al vino rosso

          はじめまして。 塩コショウ適量に、ようこそ!Benvenuti su sale&pepe q.b.

          朝のコーヒーのうっとりする香り、搾りたてのオレンジジュース。 焼き菓子のブリキの空き缶に入れた、朝食用に硬く焼いたパン。 近所の朝市の中で動く沢山の色、形。 色とりどりの果物の屋台、食欲をそそる不揃いの野菜。 水溜りに映る雨上がりの空。カモメ。 ロウソクの灯りの中でささやく食器の音、ワイングラスの中の笑顔。 金曜日のアペリティーボ、日曜日の朝の、教会の鐘の音。 ローマの家で食べるいつもの料理があまりに美味しくて、美味しい!一体どうやって作ったの???感激のあまり興奮気味な私

          はじめまして。 塩コショウ適量に、ようこそ!Benvenuti su sale&pepe q.b.