飲むサラダ Insalata estiva
insalata estiva "mangia e bevi" { 夏サラダは飲んで食べて! }
子供の頃に読んだ「ピノッキオの冒険」が、怖くて仕方がなかった、と、何人かのイタリア人の友人から聞いた事がある。人生の教訓をほのめかすために作られる童話は、時に大人にとっても十分怖かったりする。物語の意図とは裏腹に、子供にとってトラウマになってしまうことだってあるかも知れない。
ローマで道路を横断するのには、動物的な感覚の鋭さが必要だ。
信号も横断歩道もあるのだけれど、それらにばかり頼っていては日が暮れてしまう。道路は思いのほか幅が広く、渡りたいところの近くに横断歩道がいつもあるとは限らない。信号機は時々壊れている。交通量は半端なく、車は監視カメラのないところでは怒ったように飛ばして来る。
なかなか道路を渡れないでいる私に、友人たちが「 トマトの兄弟たちみたいにならないように気を付けろ!」と、笑いながら言った。
田舎からローマにやって来たトマトの3兄弟の例え話だと言う。長男トマトが弟トマトたちに道路を渡る手本を見せようとして、「 いいか、こうやって、車に気をつけて、、、、グシャッ。」それを見て次男トマトが末っ子トマトに、「 いいか、こうやって車に気をつけ、、、、、グシャッ。」末っ子トマトもそれにならって、「 いいか、こうやって、車に、、、グシャッ。」
怖すぎる。大笑いしながらトマト3兄弟を再現する友人たちのオノマトペアがリアルすぎて、道路を渡るたびに私はトマト3兄弟を思い出して緊張しまくる。そしていまだに道路をうまく渡れない。
台所でトマトを裏ごししながら、無事に道路を渡って来ても台所で私に潰されてしまうトマトの兄弟たちの運命に思いを馳せる。でも、道路で車に潰されるのではなくて、美味しい料理になって私たちを喜ばせてくれるんだから、と自分に言い聞かせ、今日もトマトに感謝するのだ。
insalata estiva mangia e bevi
材料 2人分
完熟生トマト 400g
パプリカ 赤 1個
きゅうり 1本
赤玉ねぎ 小さめのもの 1 / 2
フェタチーズ 40g
黒オリーブ 4粒くらい
バジリコの葉 小さめのもの 5 ~ 6枚
オレガノ 少々
エクストラバージンオリーブオイル、塩、黒コショウ適量
オーブン皿にクッキングシートを敷いて、パプリカを載せて、220度のオーブンで約20 ~25分焼く。
焼き上がったパプリカを取り出して、熱いまま紙袋に入れて口を閉じてそのまま冷めるまで置いておく。適当な紙袋がなければ、タッパーに入れて蓋をしておくのでも良い。冷めたら手で皮を剥いて、茎と種を取り除いて実だけにする。
きゅうりは、盛りつけの時に飾る分を少し残して、皮を剥き賽の目切りにする。
玉ねぎも盛り付けの時に飾る分を少し残して、残り全部を薄切りにして、水に浸けておく。
トマトの皮を湯むきするために鍋にお湯を沸かす。
ボールに冷たい水を張っておく。
トマトのヘタを取り、お尻の部分にナイフで薄く十字に切れ目を入れる。
トマトをお湯に数秒浸してから、冷水のボールに移す。
トマトの皮を剥き、ざく切りにして、種を取り除く。
ブレンダーに、皮を剥いたパプリカ、湯むきしてざく切りにしたトマト、皮を剥いて賽の目に切ったきゅうり、薄切りにした玉ねぎを入れる。
バジルの葉、オリーブオイル大さじ 2 、オレガノひとつまみ、塩コショウを加えて、滑らかになるまでブレンダーで攪拌する。
味を見て、足りないようなら塩コショウで味を整える。
蓋のついた保存容器に入れて、冷蔵庫で少なくとも30分冷やす。
飾り用にとっておいた玉ねぎときゅうりを賽の目に切る。
黒オリーブを刻む。
フェタチーズを賽の目に切る。
カップまたは小さめの器に冷蔵庫で冷やしたサラダを入れ、切った野菜とチーズで飾り付ける。食べる直前にオリーブオイル、オレガノ、コショウをふる。