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IPO銘柄分析:DAIWA CYCLE(5888)



概要

今回紹介する銘柄は10月23日から申し込みが始まるIPO銘柄、DAIWA CYCLE(以下 ダイワサイクル)だ。
自転車の新しい当たり前を作るという経営理念の元、店舗販売で自転車とアクセサリ・パーツの販売、修理を担ってきた企業だ。
現在のところ実店舗120店(直営114、フランチャイズ6)と広く経営されており、IPO銘柄であるにもかかわらず見たことがあるという読者もいるかもしれない。
自転車販売業は主に高齢者の個人経営が多数を占めており多店舗展開はまだまだ開拓の余地があり、またECサイト(ダイワサイクルオンラインストア)を運営して若年層も取り込もうとしている。
昨今の健康ブームも追い風になっている。
今日はそんな躍進中の自転車企業、ダイワサイクルを分析したい。

沿革

出典:上場申請のための有価証券報告書

現在のところ関西をホームとしている。
2006年にネット通販を始めたのは平均的だろうか。
まだまだADSLが主流のご時世でありアフターケアを必要とする自転車業界としては早い印象がある。
漸くインターネット普及率が60%台後半に差し掛かろうかという時期である。
Windowsで言えばXPの頃だ。
また、沿革に入れてくる当たりプライベートブランドに熱心な企業風土が見て取れる。
なんとインターネット販売よりも早く導入している。
プライベートブランドは売れ残っても返品が出来ず、クレーム対応にも自社が応じなければならないデメリットがある。
しかし、アフターケアも自社が行うことになるため継続利用という点ではメリットもあるだろう。

IPO情報

会社情報
企業名:DAIWA CYCLE
業種:小売業
市場:東証グロース
証券コード:5888
会社URL:https://www.daiwa-cycle.co.jp/

スケジュール
抽選申込期間:10月23日~26日
公募価格決定日:10月27日
上場日:11月8日
当選口数:9200口(1口100株)
VC有無:なし

出典:新株式発行並びに 株式売出届出目論見書

上の3名には180日のロックアップがかかっている。
これは半年間、株を売却できないということを意味する。
注意したいのは代表取締役の涌本氏が大量の株を保有していることだ。
半年後に売り浴びせられるかもしれないという点は念頭に置きたい。
こういったロックアップには1.5倍等、決められた株価まで上昇すると解除されるものもあるがダイワサイクルはそうではないようだ。

5/10点

会社業績

出典:上場申請のための有価証券報告書
出典:新株式発行並びに 株式売出届出目論見書

まず最初に。
IPO銘柄は成長銘柄のため、数字が安定しないことがある。
これまで紹介してきた大企業のように安定した収益母体があるわけではないので数字のぶれ幅が大きいことを説明しておくべきだろう。
IPO銘柄とは、例え赤字の年度があったとしても愛嬌として受け止められる銘柄である。

売上高、総資産は順当に成長している。
当期純利益にやや振れ幅が見られるのは成長期故か。
特筆すべきは高い自己資本比率だろう。
当期純利益を見慣れた%にすると
2019年:3.70%
2020年:2.06%
2021年:6.16%
2022年:1.21%
2023年:3.16%
となる。
ここで私が評価したいのは例えコロナ禍の中であっても赤字にならない環境の変化に強い企業風土である。
ましてダイワサイクルは成長期であり店舗を広げながらの黒字である。
この事実は重たい。
もちろん利益率は物足りないが売上の順調な成長がその印象をカバーしている。

4/10点

成長速度

出典元:上場申請のための有価証券報告書
同上

人口の多い関東エリア、関西エリアで主に商売している。
出店速度は凄まじい。
ここ3年は2桁の出店数を誇っている。

しかしより目につくのはFCの扱いだ。
退店する半分のフランチャイズを直営化している。
FC本部でなら立て直せると見るや直営化しているのだろう。
直営が9割以上を占めておりノウハウを蓄積できていると想像できる。

本来、多店舗展開の速度はフランチャイズ形式の方が早いはずだ。
直営でこの速度は素晴らしいが、これだけ拡大への投資に回して毎年黒字なのも素晴らしい。
とはいえ、フランチャイザーとしてのノウハウがあるのだからフランチャイズを厭うべきではないだろう。
まだまだ出店していないエリアの方が広いのだから強力にフランチャイジーを募っても良いのではないだろうか。
公式ホームページを見ても、有価証券報告書を見てもあまり力を入れているようには見えずそこは残念。

5/10点

配当

IPO銘柄に配当を期待するべきではない。
しかし、配当を出しているIPO銘柄もあるので平等を期して配当にも評価をつけたい。

出典:上場申請のための有価証券報告書

ダイワサイクルの配当金は一株当たり20.7円。
配当性向にして10%となる。
IPO銘柄であるにもかかわらず出してくれるだけ有り難いというものだ。
株主を大事にしたいというスタンスが伝わってくる。
IPOなのだから成長に投資して株価を押し上げろ、配当なんて出すな、という株主もいるだろうが、私としては株主と長く付き合いたいという方針のように感じられ感触がいい。

5/10点

将来性

ここで同業他社を紹介しよう。

出典:IR BANK

自転車販売業界の巨人、サイクルベースあさひ(3333)だ。
なんとあさひも関西をホームとしている。
業種、商圏ともに類似していると言えるだろう。
あさひの伸び率も素晴らしく、また出店速度も早い。
現在529店舗を数えもちろん過去最高益を叩き出している。
まだまだ自転車販売業界はブルーオーシャンであると言えるだろう。

ダイワサイクルは確かに後追い企業だが、いい見本が地元にいるのだから先輩の優れた部分を吸収しつつ切磋琢磨して大きくなって欲しいものである。
ブルーオーシャンであることは先輩が証明してくれている。
もちろん商圏が丸かぶりしており目障りな部分もあるだろうが、ダイワサイクルは出店していないエリアのほうが広いのだから伸びしろはこちらのほうが大きいだろう。

6/10点

終わりに

IPO分析の第1弾としてダイワサイクルを取り上げた。
銘柄に興味を持った時、買いたいと思った時、何かしら理由がある。
国策銘柄だから、低PERだから、独占しているから、アノマリーだから、そしてブームだからと。
ダイワサイクルはまさに健康ブームの追い風を受けている企業だ。
そのため需要もあるかと思い解説することにした。

IPO銘柄ということもあり業績は不安定なものだが偉大な先達がブルーオーシャンを泳いでいる様を見るにまだまだ伸びしろがある業界と思え、先行きは明るいように見える。
これからに期待したい企業だ。

IPO情報:5/10
会社業績:4/10
成長速度:5/10
配当:5/10
将来性:6/10
合計:25点

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