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【借金返済生活 10日目】 変わらぬ日々のなかで

### 変わらぬ日常の中で

「また一日が終わった。」時計を見つめながら、ぼんやりとした頭からそんな言葉が漏れた。20代も半ばを過ぎ、毎日同じような日常を送る独身男性の私にとって、日々のルーチンはむしろ心地良さを感じるものになっていた。毎朝6時に目を覚まし、簡単な朝食を摂る。トーストにバターを塗り、コーヒーを一杯。これが私の朝の定番であり、わずかながらも心を満たしてくれる。

出勤準備をしながら、テレビのニュースをつける。世の中で何が起こっているのか、時々共感できる話題に目を向けつつも、私の日常には大きな影響を与えないと理解している。スーツを着て、ビジネスバッグを肩にかけ、鏡で自分の姿を確認する。いつもの自分。これが「私」なのだ。

通勤電車は、まるで人間の群れの中を泳ぐような感覚だ。周りは見慣れた顔ぶればかりで、互いに目を合わせることもない。スマートフォンの画面を見つめ、無音の世界に身を委ねる。時折、窓の外に流れる景色に目を向けると、数えきれないほど見たことのある風景が広がっている。慣れ親しんだはずの街が、ある種の無機質な景観に見えることがある。それでも、この日常こそが私の生活の基盤を支えている。

仕事は、特に刺激的なことがあるわけではない。淡々とした業務をこなし、時折訪れる会議やプロジェクトの進捗報告に目を通す。定時で帰ることを目指しているが、たまには残業することもある。そんな時は自分にご褒美としてお気に入りのコンビニ弁当を買うことが小さな楽しみだ。仕事が終わる頃にはヘトヘトに疲れ、帰路につくときは、もう何も考えたくなくなる。

帰宅後は、特に大きな変化がない日々だ。リビングのソファに座り、ネットフリックスを開く。最近観始めたドラマの続きを楽しむ。どの作品も新鮮さを感じにくくなっているが、それでも時間を忘れて没頭することができる。内容やキャラクターに共感しながら、「彼らの人生は私よりもドラマティックだな」と思ったりすることもある。

夜が深まると、スマホでSNSをチェックする。友人たちの生活が写し出され、彼らがどんなに忙しい日々を送っているのかが垣間見える。私も彼らと同じように、ただ淡々とした日々を生きているのだ。時折、彼らの写真に刺激を受けて、何か新しいことを始めようと思うが、結局は飼い猫と戯れて終わる。猫はいつも無邪気に私に寄り添い、その仕草が心の癒しとなる。

「明日も変わらぬ日常が待っている。」そう思うと、少しだけ寂しさも感じる。その一方で、変わらない日常の中にこそ、安らぎや心の豊かさがあることに気づく。家族を持つこと、恋愛をすること、様々な人と出会うことも魅力的だが、今の自分にはこの静かな毎日が合っている。

未来に何が待っているのかはわからないが、自分自身と向き合い、日常の中に幸せを見出すことが大切なのだと、最近強く感じる。変わらぬ日常は時に単調だが、それを味わうことで、自分自身の成長も感じられる。これからもこの日々を大切にしながら、自分なりの幸せを見つけていこう。今はそんな風に思っている。

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