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ホラーに惹かれるわけを考察してみた

昔から、ホラーや心霊が好きだ。

テレビの番組表に心霊特集やほん怖などの番組を見つけたら、家族からチャンネル権を獲得して必ず見ていたくらいだ。
小中学生の頃は、図書館にある怖い話の本や、ホラー小説を見つけては読んでいた。

…と書くと、幽霊とかが怖くない人だと思われるかもしれないが、全くそんなことはない。心霊番組を見た後のお風呂に一人で入るのか怖すぎて、もう中学生なのに、お母さんのお風呂入ってるところに一緒に入りにいっていた。(今振り返るとだいぶ恥ずかしい)

最近はテレビで心霊系の番組がコンプラやらの関係で、放映されなくなり見るのは主にYouTubeだ。
特に、ゾゾゾ、オウマガトキFILMはクオリティーが高く、特に好きなチャンネルだ。

少しだけチャンネルの紹介をすると、どちらも心霊スポット探索の番組である。
「ゾゾゾ」は、心霊スポットに行って検証を行ったりするのだが、出演者の個性が光っていて面白く、編集のレベルも高く無料で良いのか?と思うレベルの見飽きない内容だ。「エンタメとしてのホラー」を確立したと言っても良いと思う番組だ。

「オウマガトキFILM」は、廃墟や事故物件など、曰く付きの物件で検証を行う。心霊系番組でありがちな騒ぐような反応はせず、不思議な現象に対して冷静に対応し、何か見えた場所や音がした場所を見に行くなど、本気で心霊現象に対して検証・考察をしてくれる姿勢があり、非常に内容のクオリティが高い。

人間は生存するために、本能的には「怖いものは避ける」というプログラムになっているはずなのに、なぜホラーや心霊系のコンテンツは受け入れられ、好む人が一定数いるのだろうか。

自分自身も特に怖いものが平気、というわけではなく、むしろ怖がっていた。なのに、見たくなってしまう理由は何なんだろう?と考えていたのだが、3つほど理由が出てきたので書いてみたいと思う。

まず一つは、見たことないものが見たい「好奇心」だろう。

心霊スポット検証では、それぞれのYouTuberが同じスポットに行っても、同じことが起こることはほぼない。あの人たちはあんな現象があったけど、別の人たちはどうなんだろう、と気になって動画を再生することはよくあるので、何か新しいものが見たい、という好奇心が心霊に心惹かれる要因なのではないかと思う。

見たら怖くなって、お風呂も入れないかもしれないのに見てしまうのは、好奇心が怖さを超えた時に「怖いけど見たい」という矛盾した行動に繋がるのではと思った。

二つ目は、この世にはまだまだ解明されてないことがあると考えており、それを知りたいと思っているからだ。

学校の課題図書で読む機会があった『99.9%は仮説』という本に、「飛行機が飛ぶ原理は実は解明されていない」という話が今でも印象に残っている。

10年以上前の本だし内容の記憶も曖昧なので、この話の事実としては今は変わってるかもしれないが、「この世のことって、全て分かっているわけじゃないんだ!」と当時としては衝撃を受けた本だった。

「宇宙人や幽霊はいるのか?」という論争はいつの時代も見かけるけど、絶対いないとは言い切れないのが実際だと思う。

私はいわゆる「幽霊」、つまり、死んだ人の魂がこの世に残るみたいなのは、どうかな?と少々懐疑的ではあるのだが、幽霊と思わせてしまう何か解明されてない事象はあるのでは、と思っている。

そして最後に心霊に惹かれる理由の一つとして、心霊には必ず誰かの「死」が絡んでおり、そこから「生きること」を考えさせられる。

心霊は、タブーのオンパレードで、事件・事故や犯罪、誰かの死、真偽不明の事象など、特にメディアで流すには、かなり扱いにくい種類のものだ。

凄惨な事件の舞台となってしまった廃墟を訪れるなど、その行為自体を受け入れられない人も多いと思う。しかし、その場所を通してしか感じられないもの、考えされることがある。

モノが多く残る廃墟など、明らかにただならぬ事情で居なくなってしまった人たちの痕跡を、動画を通して見ることができる。普段関わることはないが、私が知り得ない、複雑な事情や思いを抱えながらそこに生きていた人がいたのだと気付かされる。

タブーであるということはつまり、人間というものの核心に迫ることと紙一重でもある。

誰かの死に迫ることは、翻って今生きている「自分」の死についても考えさせられることになる。故に「死」というテーマを表立った場所で扱うことを避ける、という風潮がある気がしているが、それは同時に「生きることを考えない」ということでもある。

いつか死ぬからこそ、今を精一杯生きることにつながると思うが、いつか死ぬことを考えず、死というテーマを避け続けていたら、人生のリミットがあることを意識せず適当にダラダラと生きてしまうと思う。

心霊というコンテンツに触れることで、誰かの生きた証と死、そして、自分が生きている実感を得る。エンタメとして心霊を消費することもできるが、もう一歩踏み込めば人や自分の人生についても、考えさせられるきっかけになると思う。

後半は少々重い話になってしまったが、心霊、ホラーが好きな理由を少し深く考えてみると、色々と見えてくるモノがあった。

表面的なものではなく世界の真実や物事の本質に迫りたいという私の根源的な思いが、心霊が好きということに何となく繋がってたな、と気づいた。

エンタメとして心霊だけでなく、もう少しだけ深く、この世のことや、誰かの人生を知るきっかけとしても使っていきたい。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

salar

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