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ペルー1:世界No.1レストラン「CENTRAL」母なる世界メニュー前編

料理ユニットThe Herbsmenのハーブトリップ第二弾は唐辛子のルーツを求めてペルーへ。セビーチェとペルー料理の考察、そして世界No.1レストラン「CENTRAL」でMundo Mater(母なる世界)メニュー。長いので3回に分けて書きます。

8/6 最後にメニューを追記しました。

English follows Japanese.


世界で大流行のセビーチェ、その本物を求めてペルーへ

近年、世界中のレストランでペルーの生魚料理セビーチェを口にする機会が激増した。生魚料理なんてこれまで一切食べてこなかったはずのトルコでも気の利いた高級レストランでは、なぜかセビーチェを出している。以前から寿司が大人気だったイスラエルでも、今はセビーチェが流行している。ポーランドやスペイン、ポルトガルに行っても、インドネシアやマレーシアに行っても、そして、もちろん日本でも、イケてるレストランではサシミやカルパッチョに加えてセビーチェだ。

イスラエルの友人宅のホームパーティーで出された鯛のセビーチェ山盛り。

セビーチェはサイコロ状に切った生魚を、ライム汁と香味野菜でマリネし、ハーブと魚の切り身をミキサーにかけた乳液状の「レッチェ・デ・ティグレ=タイガーミルク」をまぶして、コーンやさつまいもなどを付け合わせに添えた料理。

世界中のシェフが熱狂し、世界中の食いしん坊たちに愛されているこの料理の、本場ペルーの味が知りたくなった。どんな種類の魚を、どんな調理方法で、どんなレッチェ・デ・ティグレや付け合せとともに、どんなシチュエーションで食べるのか? そして何よりもペルー料理とはいったいどんな料理なのか?

バリ島ウブドのファインダイニング「Locavore」で出された昆布締めしたハマチのセビーチェ。緑色のタイガーミルクはバリ島のスーパーフード、モリンガの葉を使っていた。

南米大陸の地図を見ただけではなかなか気が付かないが、ペルーはなんと日本の3.4倍という広大な国土を持つ。そこに、寒流と暖流がぶつかることで極度の乾燥気候となった太平洋岸地域、標高4000mを超えるアンデス山脈地域、「地球の肺」と呼ばれる世界最大の熱帯雨林アマゾン地域という、気候や風土が極端に異なる3つの地域が隣り合っている。それら3つの地域内も均一ではなく、地形や植生などに影響を受けた様々な微気候帯が生じ、更にそれぞれの地域の狭間や境界にある高地のジャングルや乾燥した谷間なども他とは異なる独自の微気候帯となっている。

そして、食材面から見ても、唐辛子、ジャガイモ、とうもろこし、トマト、カカオなど、現在世界中で愛されている多くの食材がなぜかペルーや中南米原産である。

西暦1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見せず、フランシスコ・ピサロがインカ帝国を破壊しなかったら、インドのカレーも韓国のキムチも、イタリアのピザやパスタも、ポーランドのウォッカも今とは全く違うものになっていたはずだ。

インカ帝国やアマゾン部族などの先住民、侵略者スペイン人とその他のヨーロッパ人、奴隷として連れて来られたアフリカ人、大西洋を股にかけて暗躍したアラブ人やユダヤ人、更に19世紀末からの中国と日本からの移民までが共存していることも無視できない。

これほど多様性に富むペルーという国の料理とは?

リマの旧市街「セントロ」を歩いていると、様々な顔つきの人々とすれ違う。

旅に誘われたら、断ってはいけない!

そんなことを思っていた2022年の年末、僕が参加している料理ユニット「ザ・ハーブスメン」の一員でもあるスパイスハンターのシャンカール・ノグチさんから「2月にペルーに行きませんか?」と軽く声をかけられた。

無事リマの宿で合流した料理ユニットThe Herbesmenの3人。左はスパイスハンターのシャンカール・ノグチさん、右はカレー料理家の水野仁輔さん。

ザ・ハーブスメンのシャンカール・ノグチさん、水野仁輔さん(カレー料理家)とは昨年6月にトルコに行き、ケバブを中心にしたトルコ料理の一週間の食い倒れ旅を行ったばかりだった。今回のペルーはノグチ、水野の両名に三軒茶屋の人気インド料理店「シバカリーワラ」の山登伸介さんが加わり、インド料理に欠かせないスパイスである唐辛子のルーツを探るのがテーマとのこと。それは興味深い! 僕の専門の中東料理においても、ペルー原産の唐辛子やトマトを抜きにしては語れないのだから。

「旅に誘われたら、断ってはいけない!」

これは僕の一番大切なモットーである。その場でペルーの旅に同行することを決めた。しかし、僕は彼らの出発日である2月11日に大事な仕事を入れてしまっていた。そこで、僕は彼らから2日遅れた13日に日本を立ち、現地で合流することにした。

現代ペルー料理の最高峰にして世界No.1のレストラン『セントラル』へ

2023年2月14日午前1時、日本から約24時間かけてペルー・リマに到着した。そして、ひどい時差ボケであまり眠れないまま一夜が明けた。そこで最初に口にするペルー料理がいきなり『CENTRAL(セントラル)』の「Mundo Mater(母なる世界メニュー)」となった。

CENTRALの庭園から見たメインの建物入り口。

セントラルは今年6月に発表されたイギリスのレストラン賞「The World's 50 Best Restaurants」で世界第一位に選ばれて、名実ともに世界最高のレストランに認定された。オーナーシェフのVirgilio Martinez(ヴィルヒリオ・マルティネス)さんはNetflixの人気ドキュメンタリー番組「シェフのテーブル」で取り上げられた。2022年には東京赤坂に支店の『MAZ』がオープンし、日々、日本中の美味しいもの好きを集めている。

ヴィルヒリオは太平洋岸から標高4000mを超えるアンデス山脈、アマゾンの熱帯雨林までペルー全土を歩き、グローバル化によって消えゆく伝統食材を探し求め、それぞれの標高と生態系を組み合わせた独自の料理を作り上げた。それがこの店が誇る「Elevation Menu(標高メニュー)」だ。

ただ、この店の料理はいわゆるクリエイティブ・フュージョンやモラキュラー料理と言われるジャンルの料理であり、伝統的なペルー料理とは全く別物だ。先発隊のノグチ、水野、山登の3人は二日前にリマに着いていて、既にセビーチェやその他の伝統的なペルー料理を食べ歩き、ペルー料理教室まで受講していた。それに対して、僕はほんの数時間前にペルーに到着したばかりで、セビーチェすら食べていなかった。そんな時にセントラルに行くのは正しくないかもしれないが、僕にはこの店こそ以前からペルーで一番行きたかった店なのだ。先発隊同様に伝統的なペルー料理を食べ歩いた後にセントラルを訪れられたら、この店の料理への理解は更に深まったかもしれない。しかし、旅は基本的に一期一会だ。行ける時に行くしかない。それに縁があれば二度目もあるだろう。

店内BGMはまさかのドローン系アンビエント!

セントラルは、古くからアーティストたちが好んで暮らす、ちょうど「リマの代官山」または「リマの鎌倉」のようなバランコ地区のメイン通りに面した広大な敷地内にあった。

警備員たちが厳重にガードしていた門をくぐると、敷地の手前側が広い庭になっていて、よく見ると、ミントなどのハーブ類や、ペルー全土から運ばれてきためずらしい野菜や背の高い樹木が植えられ、ちょっとした植物園状態だ。植物のおかげか、メイン通りの喧騒が嘘のように静かで、熱帯の小鳥たちのさえずる声が響く。庭の一角には「シェフのテーブル」にも登場したアンデス高地に伝わる石焼き料理用オーブン「ワティア」が設置されていた。また地面に置かれた大きなガラス張りの標本箱には、様々な野菜やハーブの葉や茎や種などが並べられ、太陽光で乾燥させていた。

庭園の片隅に設置されたアンデスのオーブン「ワティア」。何を作るのだろうか?

庭の奥にガラスとコンクリートと金属を組み合わせた2階建ての建物があり、その一階部分がセントラルだ。広いお店の奥には更にヴィルヒリオの妹のマレーナが運営するペルー食材研究所の『Mater(マテル)』があり、階段を登った2階にはヴィルヒリオの奥様ピア・レオンさんがメインシェフを務めるもう一つのレストラン『Kjolle(キホル)』が入っている。

入り口を入ると、すぐ横に石を薄く削った長方形のテーブルがあり、料理に使われるカラフルな食材やスパイス、ハーブなどが並べられていた。そのほとんどがこれまで見たことのないものだった。珍しいものを見つけたシャンカールさんと山登さんはウェイターに質問を幾つもぶつけていた。

食材やスパイス、ハーブなどが並ぶ石のテーブル。中央は三軒茶屋の人気インド料理店「シバカリーワラ」の山登伸介さん

もう一人のウェイターに案内され、天井が高いサロンの一番奥のテーブルに通された。ダークグレーのモノトーンのインテリアだが、一方の壁は先程の広い庭に面したガラス張りになっていて、外からの太陽光により十分に明るい。着席してすぐに気づいたが、BGMはサルサでもクンビアでもチーチャ(エレキギターを使ったペルーのダンス音楽)でもなく、なんとドローン系アンビエントだった。まるでラテンアメリカらしくない! モノトーンな店内とミニマルなBGMにより、レストランに来ているというよりもモダンアートのギャラリーにいるような気分になる。

天井も高く、広い、ガラスと金属と石の建築。BGMはドローン系アンビエント!

Mundo Mater(母なる世界)メニュー

メニューは2種類のコースのみ。1つはお店の看板メニューである全12品の「標高メニュー」(950ソル、当時のレートで33,250円)、そして、それを更に進化させた全14品の「Mundo Matar(母なる世界)」メニュー(1,064ソル、当時のレートで37,240円)だ。全員が後者を選んだ。

するとまずウェイターからトレーシングペーパーに覆われた13cm四方の正方形の厚紙と灰褐色の小箱に入れられたはがきサイズの全10枚の手漉き紙を手渡された。

Mundo Mater母なる世界のメニュー

厚紙には「母なる世界」の全14品の料理名、海抜(標高)、使用食材がプリントされていた。それらを最初に記してしまおう。

  1. 黒い石 海抜マイナス10m アオサ、浅利、烏賊

  2. 乾いた谷間:海抜55m 川海老、バターナッツカボチャ、アボカド

  3. 高地熱帯雨林:海抜1350m ココナ、ニガカシュウ、ヤーコンの根

  4. 極端な高度:海抜4200m とうもろこし、キウィチャ(アマランサス)、さつまいもの葉

  5. 暖かい海流:海抜マイナス15m ハタ、マテ貝、ボンゴレ

  6. アマゾンの繋がり:海抜148m セシーナ、ピラルク、キャッサバ

  7. 青緑の海:海抜0m ホタテ、ホンダワラ、きゅうり

  8. 海の頭脳と海藻:海抜マイナス5m タコ、アオサ、クロミル

  9. MIL CENTRO:海抜3750m 原種のじゃがいも、 チャコ(可食性の泥)、高山のハーブ

  10. アマゾンの水:海抜190m ピラニア、スイカ、コカの葉

  11. アンデスの森:海抜2700m 豚バラ肉、オユッコ(ツルムラサキ科の芋)、カヤンパ(マッシュルーム)

  12. 聖なる谷:海抜2800m チリモヤ、アンデスのバーベナ、カリフラワー

  13. モライ:海抜3600m リュウゼツラン、ムニャの葉、キホル

  14. チュンチョカカオ:海抜1800m 粘液、種子、殻

およそ料理とは思えない名前だけでもワクワクするが、海抜4200mやマイナス10mなんて標高が記されているのも楽しい。そしてココナやキウィチャなど、食材の多くも馴染みのないものばかりで興味が尽きない。

一方、はがきサイズの全10枚の手漉き紙は、淡いピンクや黄土色、薄い黄緑色、花崗岩のような斑点模様、茶色など、それぞれ異なる色に染められ、しかも表面のテクスチャーも砂地やザラザラ、凸凹や蛇革模様、シワシワ、なめらか、半透明など、それぞれ異なっている。これらは一枚ごとに標高が書かれていて、これから出てくる料理と対応しているそうだ。

CENTRALの『Mundo Mater 母なる世界』メニューのうち10品の料理に呼応した10枚の手漉き紙セット。

続きは下記から。

Peru #1: The World's Best "CENTRAL" in Lima vol.1

In Search of Authentic Ceviche in Peru

In recent years, opportunities to savor Peru's raw fish dish, Ceviche, have surged in restaurants worldwide. Even in Turkey, where many had never before tasted raw fish dishes, upscale restaurants are now serving Ceviche. In Israel, where sushi has long been popular, it's now Ceviche that's trending. Whether in Poland, Spain, Portugal, Indonesia, Malaysia, or indeed Japan, you'll find Ceviche served alongside sashimi and carpaccio in all trendy restaurants.

Ceviche is a dish where cubes of raw fish are marinated in lime juice and herbs, then coated with a milky emulsion, called "Leche de Tigre" or "Tiger's Milk", created by blending fish slices and herbs. This is then served with accompaniments like corn or sweet potatoes. This dish, loved by chefs and food enthusiasts worldwide, sparked a desire in me to taste the authentic Ceviche from Peru. What kind of fish do they use, how do they prepare it, and what are the accompaniments? Under what situations do they consume it? And most importantly, what is Peruvian cuisine?

Peru is a country whose vastness is hard to appreciate by simply looking at a map of South America; it's 3.4 times larger than Japan. It contains three regions with vastly different climates and topographies: the Pacific coastal region, where cold and warm currents clash to create an extremely arid climate; the Andean region, where elevations exceed 4,000 meters; and the Amazon region, the world's largest rainforest, known as the "lungs of the Earth." Each of these regions is marked by distinct microclimates influenced by factors such as topography and vegetation, with unique microclimates also found in the high jungles and dry valleys between these regions.

From a food perspective, many ingredients beloved around the world, like chili peppers, potatoes, corn, tomatoes, and cacao, originate from Peru or other parts of Central and South America. If Christopher Columbus had not discovered America in 1492, and Francisco Pizarro hadn't devastated the Inca Empire, our Indian curries, Korean kimchi, Italian pizzas and pastas, and even Polish vodka would be completely different.

Taking into account ethnicities, it's impossible to ignore the coexistence of indigenous groups like the Inca and Amazonian tribes, the Spanish invaders and other Europeans, enslaved Africans, Arabs and Jews who operated across the Atlantic, and immigrants from China and Japan since the late 19th century. So, what does the cuisine of a country as diverse as Peru look like?

When someone invite you on a trip, DO NOT REFUSE!

In late 2022, while pondering such thoughts, Shankar Noguchi, a member of the culinary group "The Herbsmen" that I'm part of, casually asked me, "Would you like to come to Peru in February?" Last June, Shankar, chef Jinusuke Mizuno, and I had just returned from a food tour in Turkey, where we indulged in kebabs and other Turkish cuisines. This time around, the theme for Peru, along with Nobusuke Yamato of popular Indian restaurant "Shiva Curry Wala" in Sangenjaya, was to trace the roots of chili peppers, a key spice in Indian cuisine. This was fascinating! Even Middle Eastern cuisine, my area of expertise, cannot be discussed without the Peruvian-originated chili peppers and tomatoes.

"Never turn down an invitation to travel!"

This is my most important motto. I immediately decided to join them on their trip to Peru. However, I had already committed to important work on their departure date, February 11. So, I decided to depart Japan two days later, on February 13, and meet them on site.

The World's No.1 resto. "CENTRAL" in Lima

On February 14, 2023, at 1:00 AM, I arrived in Lima, Peru, after about 24 hours from Japan. And with the terrible jet lag, I hardly slept as the night passed. The first Peruvian cuisine that I tasted was none other than the "Mundo Mater(Mother Earth) Menu" from "CENTRAL."

CENTRAL, this year, in June, was selected as the world's number one in the UK's "The World's 50 Best Restaurants" award, being officially recognized as the best restaurant in the world. The owner-chef, Virgilio Martinez, was featured in Netflix's popular documentary show, "Chef's Table." In 2022, the branch "MAZ" opened in Akasaka, Tokyo, gathering food lovers from all over Japan every day. Virgilio has walked all over Peru, from the Pacific coast to the Andes, over 4000 meters above sea level, and to the Amazon rainforest, in search of traditional ingredients disappearing due to globalization, creating unique dishes combining the altitude and ecosystem of each. This is the "Elevation Menu" that this restaurant boasts.

However, the cuisine of this restaurant is not traditional Peruvian cuisine but is a genre of cuisine called creative fusion or molecular cuisine. The advance team of Noguchi, Mizuno, and Yamato arrived in Lima two days ago and had already been tasting ceviche and other traditional Peruvian cuisines and even took a Peruvian cooking class. On the other hand, I had just arrived in Peru a few hours ago and had not even eaten ceviche. It might not be right to go to CENTRAL at such a time, but this restaurant is the one I have always wanted to visit the most in Peru. If I could visit CENTRAL after tasting traditional Peruvian cuisine like the advance team, my understanding of the restaurant's cuisine might have deepened further. However, travel is essentially a once-in-a-lifetime experience. You have to go when you can. And if there's a connection, there might be a second time.

The in-store BGM is unexpectedly drone ambient!

CENTRAL is located on the main street of the Barranco district, which is just like "Daikanyama of Lima" or "Kamakura of Lima," where artists have liked to live for a long time. When you pass through the gate strictly guarded by security guards, the front side of the property is a large garden, and if you look closely, herbs such as mint, rare vegetables brought from all over Peru, and tall trees are planted, making it like a small botanical garden. Thanks to the plants, the hustle and bustle of the main street are quiet, and the chirping of tropical birds echoes. In one corner of the garden, there was a "Huatiya," an earth oven passed down in the Andes, which also appeared in "Chef's Table." Also, various vegetables and herbs' leaves, stems, and seeds were arranged in large glass cases placed on the ground and dried in the sunlight.

At the back of the garden, there is a two-story building made of a combination of glass, concrete, and metal, and the first floor is CENTRAL. Further inside the spacious shop, there is "Mater," a Peruvian food research institute run by Virgilio's sister, Malena. On the second floor, after climbing the stairs, there is another restaurant "Kjolle," where Virgilio's wife Pia Leon is the main chef.

When you enter the entrance, there is a rectangular table thinly shaved from stone on the right, and colorful ingredients, spices, and herbs used in cooking are arranged. Most of them were things I had never seen before. Shankar and Yamato, who found something rare, were firing a lot of questions at the waiter.

Another waiter guided us to the table at the back of the high-ceilinged salon. It's a dark grey monochrome interior, but one wall is glass, facing the large garden I just mentioned, and it's bright enough from the sunlight outside. I noticed immediately after sitting down that the BGM was not salsa, cumbia, or Chicha (Peruvian dance music using electric guitar), but drone ambient! It's not like Latin America at all! The monochrome interior and minimal BGM made me feel like I was in a modern art gallery, rather than a restaurant.

Mundo Mater (Mother Earth) Menu

There are only two course options on the menu. One is the restaurant's signature menu, the "Elevation Menu", consisting of 12 dishes priced at 950 sols (equivalent to 33,250 yen at that time). The other is an even more advanced version, the "Mundo Mater (Mother Earth) Menu", with 14 dishes priced at 1,064 sols (equivalent to 37,240 yen at that time). Everyone chose the latter.

Firstly, the waiter handed over a 13cm square card covered with tracing paper and a set of ten postcard-sized handmade papers enclosed in a greyish-brown box. Printed on the card were the names of all 14 dishes from the "Mother Earth" menu, their elevation, and the ingredients used. Let's list them:

  1. Black Stone: 10 MBSL – Yuyo Seaweed, Clams, Squid

  2. Dry Valley: 55 MASL – Freshwater Shrimp, Butternut Squash, Avocado

  3. High-altitude Tropical Rainforest: 1,350 MASL – Cocona, Brazil Nut, Yacon Root

  4. Extreme Altitude: 4,200 MASL – Corn, Kiwicha (Amaranth), Sweet Potato Leaves

  5. Warm Ocean Current: 15 MBSL – Murike Grouper, Razor Clamss, Vongole

  6. Amazon Connection: 148 MASL – Cecina (dried meat), Arapaina (fish), Cassava

  7. Turquoise Sea: 0 MASL – Scallop, Sargussum, Cucumber

  8. Ocean's Brain and Seaweed: 5 MBSL – Octopus, Sea Lettuce, Codium

  9. MIL CENTRO: 3,750 MASL – Indigenous Potato, Edible Clay (Chaco), Mountain Herbs

  10. Amazon Waters: 190 MASL – Picu, Watermelon, Coca Leaves

  11. Andean Forest: 2,700 MASL – Pork Belly, Olluco, Calampa

  12. Sacred Valley: 2,800 MASL – Cherimoya, Andean Verbena, Cauliflower

  13. Moray: 3,600 MASL – Cabuya, Muna Leaves, Kjolle

  14. Chuncho Cacao: 1,800 MASL – Mucilage, Seeds, Shell

The names alone, some of which hardly seem like dishes, are exciting. The unique elevations mentioned, such as 4,200m or -10m, add to the charm. Ingredients like Cocona and Kiwicha, unfamiliar to many, only further pique curiosity.

On the other hand, the ten postcard-sized handmade papers, each uniquely dyed in shades like soft pink, ochre, pale green, speckled like granite, brown, etc., also varied in texture—ranging from sandy, rough, bumpy, snakeskin patterned, wrinkled, smooth, to semi-transparent. Each of these papers had an elevation written on it, corresponding to the dishes that would be served.

(To be continued)


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