信頼と安全と安心の実績を積み重ねるアニメ、『FAガールズ』
5周年でニコニコ無料開放されてて、みた。やはりよかった。ピングドラムのあとでこんなことを言うのもあれやけど、やっぱこれはマイベスト3とか5とかそこらに入る傑作やとあらためて確信したのであった。
このアニメは「気もちいいスイッチ」を押すことにたいしてためらいがないんやってな。FAGじたい「カッコイイもカワイイも両方ほしい」っていう欲張りセットやけど、アニメとしても欲張り。
ともすれば(というか普通に考えると)対立してしまいそうなことがらも、適当な設定をこしらえたり借りてきたりして叶えてしまう。
・バトルさせたいけどFAGが傷つくのはイヤ→バトルは仮想空間でやるんでオッケー
・あくまでロボット的存在やけど学園ものもやりたい→みんなでそういう夢をみました、ふしぎ
・感動の別離シーンをやりたいけど湿っぽいのはイヤ→別離のあと1分ぐらいしたらまた戻ってきて仲間になる
・あくまでロボット的存在(水濡れNG)という設定やけどお風呂回ほしい→不思議な液体のお風呂を用意しました(風呂シーンではなぜか全身非ロボボディ)
・感動の別離シーンやりたいけど湿っぽいのはイヤ→別離のあと1分ぐらいで普通に戻ってくる、よかった
などなど。
何を求めてアニメみるかは人によってそれぞれで、そのときどきによっても様々やと思うけど、まあFAGにシリアス要素やら心が苦しくなるのを求めてる人はほとんどえんと思うんやってな。
このアニメは、そういうのを見越して、シリアス要素・苦しみ要素のおいしいとこだけ取って、すぐおちゃらけに戻る。気もちいいスイッチだけを押すよう徹底してる。
個人的に決定的やったのは第5話。感動の別離シーンのあと戻ってきて仲間になる回ですわね。このアニメはこういうアニメなんや、と思った、気づいた。
どうなるんかってわからんのは不安や。長いスパンで人生においてもそうやし、ふだんのなかの一部分についても、何が起こるかわからん、次の瞬間どうなるんか想像がつかんっていうのはスリリングでもあり不安をもたらすものでもある。
んで、このアニメは、そういうのを避けるアニメであり、しかも「そういうのを避けるアニメです」って教えてくれてすらいる。それが5話やった。
かわいー、かっこいー、きゃっきゃー、うふふー、なんかだんだん仲間ふえるーやったー、しかも空き部屋の数からしてまだ仲間ふえるっぽいーっていう、このアニメにおいてのお約束をつくる。みる側はその内容とお約束に安心する。「あ、このアニメは安全なアニメなんや」っていうのがパッとわかるようになってる。
そんで、このアニメはその信頼を裏切らない。裏切らず、その安心パターンを積み重ねていく。だからもっと好きになって、だから次回もみたくなる。プラモも円盤もじゃぶじゃぶ買いたくなる。
最初っから販促アニメっていうのがわかってるし、やりたいことをやるアニメなんやっていうのがみててすぐわかるんやってな。こういうのは意外と実はなかなか得難いもんであって、でもこれはそれをさらっとやってる。そこがえらい。
二期やるんか今となってはわからんところやけど、最終話の終わりかたもあれはあれで完結してるしいいなーと思う。源内轟雷問題はあれ結局ケッコン・養子とかそういうんじゃなく、自分たちで家族になることを選んだってことなんやと思ってる。で、すち子たち他の面々も家族を求めて、いわばみてる側・プラモを組んでるユーザー側へと旅立っていく、っていう。
そういう感動的な最終話でありながら、2期はじまったらふつうに戻ってきてるんやろなみたいなふうに思わせるのがこのアニメのいいところ。
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アニラジもすばらしかったのである。最終話で”あおげば愛しいフルフルDAYS”流れたとき、リアタイで追ってるアニラジ勢なら涙を禁じ得なかったであろう。
というかみかえしたら思ったより轟すちバゼの絡みが少なかった。アニラジで補完しすぎていた。