ライブレポート『Men I Trust@Umeda Club Quattro』
(ライブレポの過去記事はこちらからお読みいただけます↓)
『Untourable Album』がTourableに変わる瞬間
大変、感慨深いものがありました。茶目っ気から来る遊び心なのかそれともガチのBADモードで名付けたタイトルだったのかは、彼らの浮遊感ある薄靄が立ち込めた楽曲からも「どちらとも解釈できる」。かつてコーチェラ復帰戦でDaniel Caesarは1曲歌い終える度、客席に向かって「Are you with me?」(大丈夫、ついて来てる?)としきりに繰り返した。不安そうな面持ちで。
上り坂を駆け上がった先に絶景が待っていたはずのアーティストにとって、コロナ禍がどれほどのインパクトを与えたのかは想像に難くない。それこそ悲しいニュースだって舞い込みました。加・モントリオール出身の彼らは、果たしてどんな顔で梅田クワトロのステージに現れるのでしょうか。2020年以来となる待望の東阪ツアー千秋楽。鮨詰め必至。整理番号も絶望的やわ。
3F席中央やや上手寄り、2列目
サクッと物販購入を済ませ、なかなか良い位置に陣取れたのでは。Phoebe Bridgers京都公演の時なんかはもう、扉を開いた瞬間に「あ、終わった」と思いましたから。大丈夫、クワトロはエエ感じに段差ついとるで!!東京からオープニングアクトにLIGHTERSが帯同。新体制発表後初めてとなる新曲も、バッチリ聴かせてくれましたよ。アットホームな雰囲気の集合写真もよき。
ローファイという表現は適切ではないかも、むしろ楽器本来の響きをバンドサウンドに落とし込むからこそ生まれる説得力を感じた。足し算も引き算も「し過ぎない」って部分が結構重要なのでしょうね。Men I Trustとも通ずる世界観ではあります。ってな感じで舞台転換も無事終わり、20時前ようやく舞台に彼らが登場。拍手が本当に温かい、待ち侘びたぞとでもいうような。
ジャムバンドとしてのMen I Trust
高校時代からの友人だったJessy CaronとDragos Chiriacが2014年、進学先のラヴァル大学で結成したバンド。初ライブの舞台がモントリオール・ジャズフェスだという異色の経歴も持っています。彼らのサウンドはエレクトロポップ、インディーあるいはドリームポップなどと様々表現されますが今回のライブで「ジャムバンド」として非常に洗練されているなあと強く感じた。
ヴォーカル/ギターのEmmanuelle Proulxを翌15年に迎えるまでは、客演主体のバンドでした。ライブ終盤では彼女が加入後の時期にリリースされた楽曲が意識的に並べられていたのも非常に印象的で。「Humming Man」や「Lauren」そして「You Deserve This」彼らの名が世界中に知れ渡る契機となったナンバーばかり。不思議とロックの面影は薄く、むしろジャジー。
圧巻のメドレー
本公演のハイライトといえばやはり、Oncle Jazzから始まるメドレーです。2023年に入ってからツアーで披露される機会が増え、ファンの間ではかなり話題になっていました。凄かった、めちゃくちゃ感動しました。ファンカム映像でお裾分け。特に心待ちにしていた2曲「Numb」「Lucky Sue」がまさか続けざまに聞けまして…震えたわ。一生消えることがない思い出の7分間。
日本のファンはよく「ライブ地蔵」なんて揶揄されますがこの日のクワトロはまさしく「ライブ地蔵」だらけでした。凄く良い意味で。エマニュエルが歌い出すと自然と手拍子も止みますし、お酒呑んでる方とっても多くて本当はYeah!とかフォー!!とかいっぱい叫びたかったでしょうに。でも心の中ではむちゃくちゃ叫んでたんだろうな…が伝わる空間。音楽好きが集まる音楽。
ふわっとした次回予告
5月8日以降はもっと、心ゆくまでライブで歌って叫べる世界線が来ることを切に願いつつ。多忙のあまりチケットが全然確保できておりませんがYazmin Lacey、EPO、南佳孝、象眠舎、Alfa Mist、上田正樹、Liv.e、吉田美奈子、showmore、Matt Johnson、布施明。直近ですとこの辺りの皆さんからどこかに伺うかと存じます!!マジでふわっとしてる。何にも書いてないのと同じ。