
「裏世界ピクニック」感想
お疲れ様です、サラダです。
今回はこちらのアニメの感想になります。
裏世界ピクニックとは
実話怪談として語られる危険な存在が出現する〈裏世界〉。
そこは、現実と隣合わせで、謎だらけの世界。
紙越空魚(かみこし そらを)は廃屋内の扉から〈裏世界〉を発見し、
そこで仁科鳥子(にしな とりこ)と出会う。
この出会いが空魚の人生を一変させる。
鳥子は空魚に〈裏世界〉の探索の協力を依頼する。
彼女は〈裏世界〉で行方不明になった「冴月」という女性を探していた。
探検と研究、そしてお金稼ぎのため、空魚は鳥子と行動をともにする。
非日常へ足を踏み入れた二人は様々な怪異と遭遇し、
危険なサバイバルが始まる。
都市伝説バスターズ ~ほのかに百合を添えて~
評価指数6。
端的に表現するなら”雰囲気アニメ”です。
キャラクターの可愛さ、裏世界という奇怪な設定、透明感のあるビジュアル、不穏さを匂わす音楽などなど、、
個々を見ればかなりいいものが揃っています。
とくにキャラクターはみんな可愛かった。
登場人物がそこまで多くない分、名前のあるキャラクターはみんな印象に残っています。
主人公の空魚&鳥子コンビによるバディもの的展開はもちろんのこと、怖がりだけど優しい小桜さんや後輩のカラテカちゃんまで、みんなタイプが違うので絡んでるときは楽しかったです。
この作品の「裏世界」とは、現実世界からとある手順を踏むことで入れる異世界のことです。
裏世界の中には都市伝説や怪談で聞いたことがあるような”怪異”が潜んでいます。当然危険であり、命の保証はされない場所です。
空魚と鳥子は「冴月」という人物を探すため、お互い協力しながら怪異に立ち向かっていきます。
基本的には一話完結で、この怪異と二人の戦いを描いたバディものとして話が進んでいきます。
原作では百合ものとして描かれているようなので、話が続いていくと二人の仲はより微笑ましいものになっていったんでしょう。
少なくともアニメの放映範囲だと、まだ友情って表現の方が合ってそうでした。
僕は原作未読ですが個人的に都市伝説とか怪談とかが好きなので、「次は何の話が出るんだろう!」と楽しみにしながら見ていました。
”WHY?”のない脚本
先に述べたように、個々の要素はとても魅力的なものが揃っています。
がしかし、この作品最大の欠点は脚本です。
魅力的な材料を美味しく調理できず、できた料理がなんか微妙に仕上がった感じです。
まず基本は一話にひとつ怪異が登場するのですが、一話で怪異の説明から対処まで済ませなくてはならないので、いろいろ説明が省かれます。
もう時間ないから!という脚本家の心の声が聞こえてくるかのように、話が展開していきます。
そして「なるほどわからん」と思っている間に解決して、現実世界に戻ってきます。
そのため怪異がなぜ現れたのか?という部分や、そもそもどういう怪異なのか?について不明確なことが多いです。
例えば「きさらぎ駅」が舞台として登場するんですが、本当にただの廃駅としての扱いでしかありませんでした。「時空のおっさん」についても登場こそしたものの、作品の中での役割みたいなものはなく終わりました。
どちらもとりあえず出しただけ感は否めません。
ゆえになんとなく怖そうなモチーフを漂わせただけの”雰囲気アニメ”になっています。
ここについてはおそらく原作だともっと説明や描写が細かくて、じわじわ恐怖を感じる仕組みなんだろうと思います。それが尺の弊害でカットせざるを得なかったので、怪異を雑に扱っている印象でした。
それなら一つの怪異に2話じっくり時間をかけても良かったんじゃないかと思ってしまいます。
雑といえば第8話「猫の忍者に襲われる」の話ですが、相手の攻撃によりカラテカちゃんの歯が抜けて血を吐くシーンがあります。
ここを見たとき「うわ、エグっ!」と思ったんですが、カメラが替わると血も出てないし痛そうにもしていないんです。
それで「ああ、今のは幻覚か」と思って見てたのですが、最後になってやっぱりちゃんと歯が抜けてるってわかるんです。
じゃあなんで血が出てなかったの?って考えると、繋ぎの描写が雑なんだなっていう結論にしかならなくて。
事程左様に雑な部分はけっこう見られます。
製作者的には怪異にはそれほど重きを置いてなくて、キャラクターメインで考えていたのではないでしょうか。
この点は原作ファンの方からも賛否両論な様子です。
最後に
とはいえキャラクターが魅力的なのは事実で、最終話も二人の関係性にクローズアップされたり、出会うべくして出会ったんだなあと爽やかな気持ちになりました。
2期に期待するより、気に入ったら原作を読む方がより深く楽しめるのかと思います。
超個人的なことを言えば、怪異に対しての武器が銃なのはわりと残念で、その怪異独自の対処法を二人で見つけるっていうミステリー的な要素も欲しかったり、、。