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水平線と地平線

めったにWantを示さない夫が、
こないだ私に、それを言った。

というと寡黙な人物のようだけれど
夫はふだん、よく話す。


自分の描く絵や映画のこと。
娘が聞かんぼうになったときは、
ゆっくり、言葉をえらんで話をする。


ときどきで選び取る言い回しや語彙は
だから私よりずっと磨かれていて
私は夫と話していると
「ちょ、待ってメモとるから!」と
スマホを取り出すことも、よくある。


単に、自らの要望はめったに出さない
" 全体幸福 " の人なのだ。


・・・全体幸福ってなんだ?
分かるようでわからないことば。

調べてみると、こんな一節があった。

" 世界がぜんたい幸福にならないうちは 個人の幸福はあり得ない "

宮沢賢治『農民芸術概論綱要』

世界が幸せにならなければ、自分が幸せになることができないってことか。
というとなんだか大きな話になっちゃうけれど


✅周りをさしおいて、自分が幸せにはなれない
✅周りが幸せであることが自分の幸せのベース

と噛み砕いていくと、そう!

私やむすめがニコニコ幸せでいることが
夫の幸せ(の始まり)なんだ!!!

と気づかされる。
(さすがは蟹座...と妙に納得したのはお門違いだろうか)

だから夫が珍しく
ぽつり、と要望をこぼすとき
私は全力でその実現に努めたいと思っている。

つい先日、それを受け取った。

地平線と水平線を、見にいきたい。

サン=テグジュペリあたりの本にありそうな一文だ。


どうして?と聞くと

最近、むすめに読み聞かせる本に
海や船の話が多いけど、
そうだこの子は水平線を知らない、と気づいたのだという。


だから、水平線。
ついでに地平線も、家族で見に行こう。
という提案だった。

素敵ではないか。

さぁ、どこがいいだろうか。
水平線と、地平線。


↑夫が行きたいと呟いたフゴッペ洞窟。旅のさなかで流れてしまったので、必ず行きたい場所のひとつ。

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