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お金が紙切れになる日 ハイパーインフレーションがもたらす世界の悲劇
さくらは、コンビニから帰る途中、心の中でぼんやりと「インフレ」のことを考えていた。スイーツが少し高くなっただけで不安になる自分が、果たしてどれだけ現実を理解しているのか、疑問に感じていた。ニュースでよく耳にする「ハイパーインフレーション」という言葉が、頭の片隅に引っかかって離れない。これが一体どんな現象なのか、はっきりと知りたいと思った。
家に着くと、さくらはスマホを手に取り、いつものように兄にメッセージを送った。
「お兄ちゃん、インフレって怖いって言われてるけど、もしそれがもっとひどくなったらどうなるの?ハイパーインフレーションってどんな感じなの?私たちの生活にも関係あるのかな?」
兄からの返信は意外にも長文だった。
「さくら、インフレが怖いのは、その極端な形であるハイパーインフレーションがとんでもない混乱を引き起こすからなんだよ。ハイパーインフレーションは、ただ物価が少しずつ上がる普通のインフレとは全然違うんだ。たとえば、ジンバブエで2000年代に起きたハイパーインフレーションは、まさにお金の価値が一夜で消えるような状況だった。最終的には紙幣がトイレットペーパーよりも価値がなくなるほどで、人々は食べ物を買うために何百万、何億ジンバブエドルも持って行かないといけなかったんだよ。それでも物を手に入れるのが難しいなんて、想像できる?」
さくらはスマホを握りしめながら、ジンバブエの実例に戦慄した。兄の言葉は、単なる歴史的な出来事ではなく、現実に起きた恐ろしい話としてさくらの頭の中に刻み込まれた。
兄のメッセージはさらに続く。「でもね、ジンバブエだけじゃない。歴史上、ハイパーインフレーションは何度も人々を絶望に追い込んできたんだ。たとえば、ヴァイマル共和国の時代のドイツ。1920年代、ドイツは第一次世界大戦の賠償金を支払うために莫大なお金を刷ったんだ。最初は少しずつ物価が上がっていたけど、ある日を境に暴走し始めて、パン一斤が1億マルクなんてことになった。人々はお金を持っていても、何も買えなくなった。紙幣を燃料にして暖を取るほうが、暖炉に木をくべるよりも安上がりだったんだ。」
さくらはその話に衝撃を受けた。お金が、ただの紙切れになる――その現実がどれほど恐ろしいか、彼女はようやく理解し始めた。
兄の説明はさらに壮大なスケールに移った。「それだけじゃないんだ、さくら。ハイパーインフレーションは、世界中のさまざまな国で繰り返されてきた。例えば、南米のアルゼンチンもその一つだ。1980年代、アルゼンチンは経済政策の失敗からハイパーインフレーションに陥り、物価は短期間で何千倍にも跳ね上がった。ある日、パンが5ペソだったのに、翌日には50ペソ、1週間後には500ペソなんてことが普通に起きていたんだよ。人々はお金を信じることができなくなり、貯金は一瞬で価値を失い、日々の生活が成り立たなくなった。通貨が信頼できない国では、ドルや金といった他の通貨や物に頼るしかなくなるんだ。」
さくらはその時点で完全に引き込まれていた。アルゼンチンでも?そして他にもあるのか?
「実は、最近の例ではベネズエラがまさに同じ道をたどっているんだよ。2010年代後半、ベネズエラは深刻な経済危機に陥り、ハイパーインフレーションに見舞われた。政府が適切な対策を取らず、石油価格の下落や政治的な不安定さが重なり、物価は天井知らずに上昇。通貨は価値を失い、パン一個すらも手に入らない状況になった。国中が食料や医療品の不足に苦しみ、人々は国外に脱出するしか道がなかったんだ。あの国の崩壊は、まさにハイパーインフレーションが引き起こした悲劇だったんだよ。」
さくらは、そんなことが現代でも起こり得るのだという現実に打ちのめされるような気持ちだった。歴史の一部ではなく、今も世界のどこかで同じようなことが起こっている。その事実が、彼女に迫りくる恐怖感を強めていた。
兄は最後にこう締めくくった。「だから、さくら、インフレは侮れないんだ。特に通貨が信頼を失うと、国家全体が崩壊する危険性がある。経済が混乱すると、何が起こるか予測できないし、その影響は何世代にもわたって続くんだ。だからこそ、経済をしっかり学び、自分の資産や未来を守る方法を考えておくことが大切なんだよ。」
さくらは、兄の言葉を深く胸に刻みながら、ハイパーインフレーションという現象が自分にとって他人事ではないことを実感した。
これからも投資頑張るので、皆応援よろしくね😚
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