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不思議の国の…?
世間はハロウィンに興じ始める10月末。
しかし会社はなかなかそうもいかない。繁忙期を迎えている。トリックオアトリートとは言ってられない。
○○:…いや今日しんどすぎないか?
10月30日の業務を終えた○○。帰りの電車に乗る頃には日付を回りかけていた。
○○:あー、疲れた。早く帰らなきゃ。
季節の行事シーズンはとてつもなく忙しいが普段は定時退社が普通の企業に務めている。
明日には楽しみが待っているんだ。
○○:…さやに連絡しないとな。
○L:今終わって帰ってるよ。
紗L:お疲れ様!!!起きて待ってるね!!
○L:いやさすがに眠かったら寝てね。
紗L:絶対寝ないから!!
○L:とりあえず急いで帰る。
紗L:いやっ!急ぎすぎずに!!
なぜ急がせないのかって?
○○:なんか企んでるんだな。
季節の節目シーズンの時、紗耶は何かしらを仕掛けるのが定番だった。そしてその日は…。
○L:いーや、急ぐ。
紗L:えーっ!じゃあ私も急ぐ!!
○L:まぁ最寄りついたら連絡するね。
紗L:ありがとう!!
紗耶もいつもの行事なので何となく流れをくみ取って普通に返信してくる。
○○:今年は何をするんだろうか…。
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時刻は0時24分、最寄りに着いた。
○L:もよりです。
紗L:何っ!早い!お疲れ様!
○L:とりあえずゆっくり帰るよ。
紗L:さやももう少しで出来るから!
○L:りょうかいしたー
○○:…コンビニなら空いてるよな。
コンビニでケーキを見繕う。少しへたっているがハロウィンのかぼちゃケーキが2つあるのでとりあえず購入しておいた。
それにプラスでもうひとつ…。支払いをすませて…。
○○:…とりあえず帰るかぁ。
足を動かし始めた○○に一通の通知が
紗L:お疲れ様!!おまたせ!いいよ!!
○L:ナイスタイミング
なんとなく足取りが軽やかになる。早く家に帰りたい。
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時刻は1時近く、ようやく家に着いた。
ドアは何の変哲もない…、とりあえず開けるか。
○○:…ただいま?
返事はない。嫌に部屋が暗い。
○○:…紗耶?
なんか広間のドアが揺れてる気がする。
手をかけてみると出窓から紗耶が顔を出していた。
紗耶:トリックオアトリート!!
○○:うぉっ、びっくりしたぁ。
紗耶:へへっ、おかえり!
○○:ただいまぁ。
まだドア越しの会話だがとりあえず開けてみると…
○○:…凄いな。
ドアの先は不思議な空間が広がっている。
顔が書かれた時計、それっぽい燭台、マグカップには画用紙で腕が生えている。
紗耶:…あら、迷い人かな?
突然紗耶のスイッチが入ったみたいだ。ちゃんと仮装もしている。乗っかるか。
○○:…ここはどこ?
紗耶:ここはね、不思議の国!
なるほど、アリスの世界線か。
○○:…時計に顔がある。
時計?:…びっくりしたかぁ!
紗耶が後ろ向きで喋ってる。紗耶の声だ。若干低めに声を出している。
○○:時計さん、どうやったら元いた場所に帰れる?
時計?:えっ、うーんと…。
ここまで考えてなかったんかい。紗耶らしくて可愛いけども。
時計?:あっ、あれだ!不思議のサヤを満足させれば帰れる!
もはや普通の声で喋っている。
○○:…なるほど、不思議のサヤってのが?
紗耶:そう!わたし!
○○:燭台さんは喋れるの?
燭台?:…しゃべれるよー
若干声を変えているが紗耶だ。
○○:マグカップさんは?
紗耶:ねぇ!注文が多い!
普通に紗耶が言っちゃったよ。
○○:ふふっ、ごめんなさい。
紗耶:もう!こんなに喋るって思ってなかった!
もう設定はどこ行ったのだろうか。
○○:…不思議のサヤはどうやったら満足するの?
紗耶:えっとー、いっぱいイチャイチャしたら!
ただの紗耶だった。ハロウィンらしい要素は仮装と飾り付けだけだ。
紗耶:んじゃ!トリックオアトリート!
○○:…お菓子買ってきたよ。
紗耶:んぇっ!ほんとに!?
○○:喜ぶかなーと思って。
紗耶:…うっ、嬉しい!!ありがとう!
お菓子ないだろうと思ってイタズラするつもりだったんだろう。顔に出過ぎている。
○○:ほら、ケーキ。一緒に食べよ?
紗耶:うんっ!
さっき買ってきたケーキを取り出す。あんまりへたってない方を紗耶に。
紗耶:えっ、可愛いねこれ!コンビニ?
○○:駅前の家族ストアで買ってきた。
紗耶:最近のコンビニスイーツってレベル高いもんね。
○○:…うまっ。かぼちゃ甘い。
紗耶:んっ!美味しい!すごい!
ちっちゃいカップのお菓子だが結構満足度は高め。最近のコンビニスイーツは凄いもんだ。
○○:…これで満足かな?
紗耶:…えー。
あまりにも分かりやすく頬を膨らませている。
紗耶:…まだまだ満足してないもん!
○○:じゃあどうしたいの?
紗耶:…わかってるくせに!!//
甘えん坊な紗耶だが素直では無いのだ。恥ずかしがり屋さんなのも可愛い。
紗耶:…ぎゅーしたい。
○○:ふふっ、おいで。
腕を広げるといそいそと入ってくる。
紗耶:…ふへへ、○○のにおいだぁ。
○○:まだお風呂入ってないからいい匂いじゃないよ。
紗耶:んっ!いい匂いだもん!
ムッとした紗耶は強く抱き締めてくる。
○○:ごめんごめん
紗耶:むーっ。もっと抱きしめて!
少し力を入れてみる。すると、
紗耶:ぎゅーっ。
そのまま声に出ている紗耶。
○○:ふふっ、紗耶は可愛いなあ。
紗耶:ふぇっ!!??//急に言わないでよぉ!//
肩口に顔をグリグリしてくる。
○○:いいじゃん、可愛いよ紗耶。
どんどん顔が真っ赤になっていく紗耶。
紗耶:…///
とどめに紗耶の耳元で、
○○:紗耶、誕生日おめでとう。
紗耶:…ありがとぅ////
ぎゅーっと身体を締め付けられながらもちゃんとお祝いをする。ハロウィンと紗耶の誕生日はなんと同じ日なのだ。
○○:紗耶、いつも一緒にいてくれてありがとう。
紗耶:…もう限界だよぉ〜////
ヘナヘナになってしまった紗耶。
○○:紗耶こっち向いてよ。
顔を真っ赤にしながら涙目でこっちを見つめる紗耶、あまりに愛おしすぎて
いつの間にか唇を重ねていた。
紗耶:んっ、急すぎるぅ//
満更でも無い顔でこっちを見つめる紗耶、仮想の帽子はもう床に転がっている。
○○:ふふっ、かわいいね。
紗耶:…○○もかっこいい、すき。大好き!
普段とは違い逆襲をしてくる紗耶
○○:…ありがとう//
紗耶:へへっ!○○も照れてる!!
一言一言が可愛らしい。
○○:紗耶が可愛いから仕方ないだろ。
紗耶:…もう!//
またすぐ顔を赤くしてしまう。
そんなこんなでしばらくの間身を寄せあったり、キスをしたり、ゆっくりとした時間を過ごしていた。
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ところ変わってお風呂にて、紗耶はもう入っていたが、
紗耶:今日は一緒に入るもん!
とのことで湯船の中で2人で温まる。
○○:ふぁー、あったかいなぁ。
紗耶:んねぇ、おふろってきもちいぃ。
2人とも声がふにゃふにゃだ。
他愛もない話をしながら身体を温めている最中、ふと紗耶は言った。
紗耶:…そういえばプレゼントって買ってくれたの?
○○:もちろん。喜んでくれると思うよ。
紗耶:なーに買ったのぉ。
○○:えー、驚くと思うけどお風呂上がるまで秘密だなぁ。
紗耶:へぇー、楽しみだぁ。えへへ。
このままだと2人とものぼせてしまうのでここでお風呂から上がる。
一気に寝る支度まで終わらせて、片付けはまた後日やればいい。
紗耶:…そういえばこんなに夜更かししてて大丈夫?
○○:…あぁ、大丈夫だよ。
時刻は丑三つ時の半刻を指している。仕事があったら大変な時間だ。
紗耶:…明日ってフレックスだっけ?
○○:ううん、違うよ。
紗耶:リモート?
○○:リモートも違う。
紗耶:じゃあ出社じゃん!寝ないと!
○○:ふふっ、じゃあここでプレゼントだ。
紗耶:…えっ?
ベッドから立ち上がりカバンの中から封筒を取り出す。
○○:紗耶、この中見てみ?
紗耶:…えっ!?これって!
封筒の中身は旅行券、北海道の旅館に泊まれるものだった。
紗耶:…本当に!?
○○:もちろん。一緒に行こう。
紗耶:…ってことは!
○○:明日は有給だよ、そんで月曜は振替だから四連休。
紗耶:……○○!!!
思いっきり抱きついてくる紗耶。
○○:ふふっ、誕生日おめでとう、一緒に楽しもうな。
紗耶:…ありがとぉぉ。
嬉しそうに泣きながら抱きしめてくれていた。
紗耶:ふふっ、トリックもトリートもどっちも大満足だぁ。
○○を抱きしめながらしみじみと言う紗耶、うちのアリスのハロウィンは大成功、紗耶の誕生日も大成功でした。
強めの強炭酸です!
今回不思議のおもちさんの企画作品になっております!
ちょっと早いけどやんちゃんの誕生日とハロウィンの要素を入れてます!
素敵な企画に参加させて頂きありがとうございます!
フォロー、いいね、すき、シェア等してくれたらとても励みになります!
ではまた次回…!