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大好きだING!! 2

季節はすぎて夏、新たな学年に変わったもののクラスは持ち上がりのため別のままだ。
それでも、顔見知りからよく話す友達となり、少しずつ距離を詰める2人。今日も大切な17分間から幕を開ける。


○○:おはよう!


桜:おはよぉー○○くん

○○:(...珍しい、今日はポニテの日なのか...)

桜:...どうしたの?そんなにこっち見て。

○○:あぁ、いや、ポニーテールすごい似合ってるなって...

桜:えっ//ありがとう...!

○○:ごめんね、急に変なこと言っちゃった...//

桜:ううん、すごい嬉しいよ...!

○○:ならよかったよ...でもなんでポニテ?

桜:今日はフィギュアの練習でね、最近暑いからまとめて涼しくしようと思ってたの。

○○:なるほどね、確かに夏本番だもんな...。

桜:○○くんは?今日も部活?

○○:ご名答、今日も学校終わったらすぐだよ。

桜:そっかぁ、熱中症ならないでね?笑

○○:もう慣れたよ笑

他愛のない話をしていると

『間もなく乃坂高校入口〜』

○○:もうすぐだね、降りる準備しよっか!

桜:...そうだね!

桜:(...やっぱ誘えないよ...)

○○:?どうしたの?桜さん?(表情くらい...?)

桜:い、いや!なんでもない!

○○:そっか〜、よし、行こうか。(なんか今日は誘える気分じゃなさそう...)

桜:うん!
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△△:うぃっすー

○○:おは〜

△△:今日顧問やばいらしいから地獄かもしれんな。

○○:は?まじかよ最悪...

顧問:何が最悪なんだ?

○○:!!!おっ、おはようございます!!!

△△:お疲れ様です!!!

顧問:うむ、今日も楽しく部活しような?

○△:(終わったわ......居残り確定...)
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美空:さくたーん!おはよぉー!!!

桜:みーきゅん、おはよ!ぱんもおはよ!

瑛紗:はいおはよう、今日はフィギュアの練習?

桜:よくわかったね?

瑛紗:ポニテなかなかしないからね。世界一似合ってるわやっぱ。

桜:もう//褒めすぎだよ!

美空:とーこーろーでー...誘えたの?夏祭り。

桜:...やっぱ無理だよぉ...!

美空:もう...誘いなよ、多分あの子来るわよ!

瑛紗:まあまあ...でもみーきゅんの言ってることはホントだと思う〜。

桜:...うーん。そうなのかな?

そんな話をしていると、チャイムがなった。

美空:そろそろ席戻るね〜、また詳しく聞かせて...!?

瑛紗:私も〜

桜:もう...(いけるのかな?)

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学校が終わり放課後

顧問:おい!あと10本だ!行くぞ!

部員:はい!!!!

昨夏の記録を超えるため、大会が近づくにつれて激しくなる練習

○○:あと6本!!!

部員:よぉーし!!!

中心選手として○○と△△は活躍している。
そして...

○○:もう歩けねぇ...

△△:今日はやばすぎた...

時刻は20時を回っていた。

○○:...次のバスでラストか、あれ乗るわ。

△△:おん、俺はチャリだからな。気をつけて帰れよ。

○○:おう、△△もな。

△△:てか早く夏祭り誘えよ。

○○:急にぶっ込むなよ!!

△△:いいか、お前は桜ちゃんのことが好きだろ。男ならしっかり言ってこいよ。

○○:...わーかったよ。ちゃんと言う。

△△:それでこそ坂高の次期キャプテンよ。

○○:うるせ、そろそろ行くな。

△△:おう!またな!

互いに手を振りバス停へ向かう
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トレーナー:フリにキレがないわよ!もっと素早く動く!

桜:...はい!!

練習に熱が入る桜、もうすぐ大会も近く、結果を出すと日本代表も夢では無い。

トレーナー:ジャンプの高さが足りない!もっと蹴るように跳びなさい!

桜:はい!!

トレーナー:もう大会も近いの!ここでミスするようなら代表入りも出来ないわよ!

桜:...はいっ!!!

ハードな練習に厳しいトレーナーの言葉、更に近づく大会のプレッシャー、桜の精神は限界を迎えていた。

トレーナー:もっとキレを!高く!早く!


桜:...はいっ、あっ。


トレーナー:...!桜さん!!大丈夫!?


時刻は19時を迎えた頃だった。


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バスは乃坂高校入口に着いた

○○:...いつもありがとうございます。

運転:○○くんも疲れてるね、お疲れ様。

軽い会話と会釈をし、バスに乗り込もうとすると...

○○:!?桜さん...?


後ろに座っていたのは涙目になりながら俯く桜の姿だった。

桜:...○○くん。

○○:...どうしたの?話したくなければ全然話さなくてもいいんだけど...。

桜:...ちょっとだけそっとしてて欲しい。

○○:わかった。

最近はバス車内でよく話すようになっていたが、久しぶりの無言の時間である。

○○:...。(俺って無言の時何してたかな...。)

○○:(最近は桜さんが笑いながら話してくれてたから......そうか...)

桜:(こんなみっともない姿見られちゃった...最悪...)

バスは定刻通り進んでいく。

○○:...桜さん。

桜:!はいっ。

○○:驚きすぎだよ...笑少し寄り道していかない?

桜:...こんな状態だけどいいの?

○○:そんな感じだからだよ、良い?

桜:...うん。

○○と桜は初めて17分間を超えて数分間バスに乗り続けた。
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『次は小波道〜』

○○:ここだ、降りよう。

桜:うん...っ!

○○:大丈夫!?

桜:少し足痛いだけ、大丈夫...!

○○:無理しないで...!

桜:大丈夫だから!本当に!

○○:(追い込まれてるなぁ...)...わかった。

桜:(...変に強く言っちゃった......。)

運転手:ゆっくりでいいから降りな〜。

桜:...ありがとうございます。

○○:あざっす。

運転手:○○くん、頑張れよ。

○○:ちょっ、そんな//やめてくださいよ!

運転手:まぁ、良いじゃないか。おじさんにも感じる部分はあるんだよ。

○○:...そっすか。とりあえず頑張りますよ。

バスは○○と桜の最寄りの間の小波道で2人を降ろした。
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○○:荷物持つよ。足、痛いんだろ。

桜:...ごめんね、ありがとう。

○○:いいってことよ。俺に付き合ってもらってるんだし。

桜:...うん。

○○:バス停からすぐだから、行こう!


桜:...うん。ありがとう。っ!

○○:やっぱり痛いんだね、手出して。

桜:...?わっ!

○○:嫌だったら...離して大丈夫だから...!

桜:...ううん、ありがとう。(手がゴツゴツしてる、野球ってすごい...)

2人は海岸沿いへ向かった。

○○:ここは俺が悩んだ時によく来る場所なんだ。


桜:こんなとこにこんな景色が...


○○:結構綺麗でしょ?


桜:...○○くんって優しいんだね。


○○:...まぁ、ね。


桜:ふふっ、素直じゃないね。

○○:桜さん、やっと笑ってくれたね。


桜:...えっ、あ。


○○:普段見てる桜さんってさ。いつもニコニコしてるし、楽しそうに日々を過ごしているんだなって勝手に俺思ってたんだ。


桜:...うん。


○○:楽しそうに過ごしてるもそうなんだけどね、桜さんの笑った顔で俺も笑顔になれるというか...小っ恥ずかしいけど...元気出てたんだ。


桜:...!うん。


○○:桜さん、今日笑ってなかった。最近ずっとちゃんと笑顔じゃない気はしてたけど、今日は特に...。


桜:...やっぱり分かるものなんだね。


○○:...よければ話してもらっても...いい?


桜:...○○くんにはかなわないね...

桜は最近のこと、そして今日の練習のことを全て話した。話してる途中からは決壊してしまい涙が止まらなくなっていた。

桜:...私じゃ、無理だよ...

○○:......。

桜:...ふぇっ、

○○は桜を抱きしめた。

○○:...上手く言葉が見つからない。けど、今はこうした方がいい気がする。


桜:.........うぅ、○○くん...こんな、ごめん...!


○○:別に桜さんはなんも悪いことしてないじゃん。落ち着くまではこのままでいるから。


桜:...ごめんねぇ、ありがとう。


しばらくして落ち着いた桜と○○。

○○:落ち着いてきた?

桜:...うん、でも、

○○:?


桜:あと少しだけこのままでいさせて...//


○○:わっ、わかりました!//

桜:...ありがとう、わがまま付き合ってもらえた。すごい気持ち今落ち着いてる。


○○:...ならよかった。


桜:ありがとうね、時間、大丈夫?


○○:...まぁ多分、桜さんは?


桜:私はまだ大丈夫だよ。


○○:ならよかった。次のバス来るまで待っていよう。


桜:...うん。


○○:...少し元気そうになれたなら良かった。


桜:...ありがとう。(今...今だ桜...)


しかしどうしても切り出せない桜

桜:...(やっぱ私じゃあ...)

○○:ねぇ。

桜:えっ、はいっ。

○○の言葉は桜がすごく言いたかったことだった。

○○:今度の、夏祭り、一緒に行かない?

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バスは坂をのぼり、桜の最寄りバス停まで走る。

桜:...私でよかったの?

○○:桜さんじゃなきゃって俺は思ったよ。

桜:...○○くんってたまにキザなセリフ言うよね。笑

○○:やめて恥ずかしい...。

桜:冗談だよ、ところでさ。

○○:?

桜:桜さんって、やめない?桜にしないの?


○○:...急だね。いや、なんか定着してるから...。


桜:...女の子夏祭りに誘っといてそこは変わらないのって面白いよね笑

○○:...ごもっともです。

桜:...まぁ、変えたければいつでも...

○○:...桜。

桜:っ!//なっ何!!急すぎ!!

○○:こっち振り絞ったの。なら桜も○○って呼んでよ!

桜:...まっ、○○...。//

○○:...はいっ///

運転手:(...青春やな。凄い青春や。)

『間もなく、桜公園前、このバスの終着です。本日もご利用ありがとうございました。』
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桜:...ここまでありがとう。

○○:ううん、こちらこそありがとう。元気出てよかったよ。

桜:...夏祭り、楽しみにしてるから。

○○:...やっぱ桜はその笑顔じゃないとね。

桜:...ちょっと、恥ずかしいよ...//


○○:ふふっ、じゃあまた学校でね。


桜:うん。ありがとう。またね、○○!


○○:またね!桜!


○○:...さて、こっから頑張って歩くかぁ...。


運転手:おい、○○くん。


○○:えっ?なんでいるんすか?


運転手:どうせ君帰るのだいぶ大変だろ、車庫行くついでに送るよ。

○○:いいんすかそれ!?

運転手:まぁ、大丈夫でしょ多分。

○○:...あざっす、いつもより多めに取ってください。

運転手:お駄賃は、キミらの青春ってことで。

○○:...聞こえてたんすね//

運転手:そりゃ僕含めて3人やからね。聞こえへん方がおかしいわ。

○○:...関西なんすか?

運転手:まぁな〜、ほら、さっさと乗る。置いてくで。


○○:うっす、お世話になります!

数分間、もう少しだけと2人は距離を縮める。
2人の想いは何処へ向かうのか。



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