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大好きだING!! 1

息を切らしながら走る坂道、秋も終わり季節の変わり目を感じるくらいに寒くなり始めた。
が、そんなことを感じる間もない。このバスを逃すと遅刻確定、絶対に逃してはならない。


○○:やばいやばいやばい...ギリッギリだこれ...。夜更かしはするもんじゃねぇ...!


なんとか走り切りバスに乗り込むことに成功。
顔見知りのバス運転手に苦笑いされたものの席に座り出発する。


○○:(...そういえば、今日はあの子は乗ってくるのかな?)

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バスが坂を登り、ゆっくりと近づいてきた。
今日も定刻通り、バスは遅延が多いと聞くがここの路線はいつも時間ぴったりにくる。

桜:(今日もあの人に会えるかな?)


少しドキドキしながら顔見知りのバス運転手にいつも通り会釈をしてバスに乗り込む。

桜:(...あ、いる。なんか今日少し髪の毛が乱れてる...?)...ふふっ。

私はあの人に軽い会釈をして2つ後ろの席に座る。いつも通りの風景、アナウンスが流れるがあの人がいるだけでほんの少しだけ彩りが生まれる。

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○○:(乗ってきた...!なんか変な感じに見られて...あっ、髪の毛ボッサボサだ。)

○○:(笑われた...。やっぱり夜更かしするもんじゃないんだよ...。)

桜:(少し遅れてきたのかな...。おっちょこちょいな感じがする。)

『次は乃坂高校入口〜』

○桜:(あっ、降りる準備しないと...!)

桜がバスに乗ってから17分、目的地に到着する。

県立乃坂高校
程よい偏差値と部活の強さを誇る地区内トップクラスの人気校。総生徒数は1200人を超えている。

○○:(同じ高校、でも名前はわからないんだよね。学年も同じなのかな?)

桜:(やっぱりあの人も同じ...名前も分からないけど、あの人のことはすごい気になる...)

幾分着慣れてきたグレイの制服を身にまとい、同じ通学路を少し空いた距離感で歩く。

○○:(話しかける勇気は...出ないなぁ。あの子...やっぱ天使みたいな子だよな...。)

桜:(話しかけたいけど...会釈するのが精一杯だよ...あぁ、もう着いちゃう。)

2人は校門をくぐった。
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○○と桜の出会いは入学式の日であった。

○○:(今日から坂高(乃坂高校略)に行けるんだ。楽しみだ...青春できるかな。)

期待に胸をふくらませながらバスに乗り込む○○。そこで出会ったのが。

○○:(...!?あの人、めちゃくちゃ可愛らしい...グレイの制服...?坂高じゃないか...?)

桜:...?どうも...?

○○:あっ、どうも...(まずい、見過ぎた...やらかしたか...?)

桜:(...あの人、坂高だよね、同じ高校の人...なんだろう。なんか、ドキドキする。)

少し気まずい17分間を過ごしながらバスに身を委ねる。

○桜:(いつか、声かけられるかな。)

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授業が終わり昼休み

△△:○○!飯行こうぜ!学食!

○○:バカ、俺は弁当だよ...、あれ?無い?

△△:忘れてきたんじゃないか?

○○:...あっ!机の上に...もうダメだよ今日は...。

△△:まぁそういう日もあるさ、たまには一緒に学食行こうぜ。俺は心広いからから揚げ1個やるよ。

○○:一言多いよ...でもありがとう。行くか!


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美空:さくたーん!学食!行こうよ!!

桜:みーきゅん、この時間が1番テンション高くない...?

美空:そりゃ、学校で一番楽しいことはご飯食べながらみんなとガールズトークすることなんだから!そうでしょ!?てれぱん!

瑛紗:まぁそうだね、ご飯は人間の笑顔を増やす力もあるし、何より学食は安い。

桜:なんかちょっとぱん変だよ。まあいいか、行こっか〜。

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△△:今日の定食は...おっ、いいね、ミックスフライだ!このクオリティでこの値段はやっぱ坂高限定よな〜。

○○:俺は普段学食来ないけどそんな美味いのか?

△△:そりゃ、地区トップ高校だぜ?不味かったらこんな人集まらねぇよ!

○○:それ以外にもあるだろ理由...まぁ学食は美味いに越したことはないか。俺は牛丼でいいや。

??:今日もひといっぱいだぁ!

??:ちょっとみーきゅん、さすがに目立つよ...!

??:いつものことよ、もう止まらないよ。

やけに入口が騒がしい、そっちを見てみると...

○○:(!?朝のあの子だ!!)

△△:おー、今日も来たな。

○○:△△、あの子らのこと知ってるのか??

△△:知ってるも何も、坂高トップスリーって言われてる子達だよ。

○○:...なんか聞いたことあるな。

△△:1番目の子が一ノ瀬美空さん、目が大きい子が池田瑛紗さん、そして...その真ん中にいるのが川﨑桜さんだな。

○○:...桜さんって言うんだな。

△△:おっ?気になってるのか?いいねぇ。

○○:そ、そんなことはないよ。

△△:だいじょーぶよ、俺は瑛紗ちゃん単推しだからな。

○○:...そうなのか。

普段はバスの17分間しか見れないあの子、まさかこんな所で...
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美空:今日も人いっぱいだぁ!

桜:ちょっとみーきゅん、さすがに目立つよ...!

瑛紗:いつものことよ、もう止まらないよ。

とはいえ、やはり人が多い学食。今日は一段と多い気がする。

桜:(今日もあの人は...いないのかな...?)

美空:さくたーん?今日もバスの王子様でも探してるの?

桜:!?ちっ、違う!!

美空:わかりやすいなぁ、どんな人なのかも教えてくれないのに...

瑛紗:みーきゅんがそんなんだからよ〜、でも私も気になるわ〜?

桜:どんなって言っても...あっ!

桜:(普段居ないはずなのに...いる!!)

美空:...ふーん?あの子なのね??

桜:はっ//、えっと...

瑛紗:あの子って確か○○くんと△△くんよね。私知ってる。

美空:私もー、うちの部活そこそこだけど野球部は彼のおかげで今年は地区決勝まで行けたって結構噂になってたよ。

桜:そうなの...全然知らなかったよ...。

美空:まぁさくたんは外でフィギュアやってるからね、部活のこともあんまわからないでしょ。

瑛紗:来年は甲子園って言われてるくらいだよ、程々に知っとくのもいいんじゃない?

桜:うん...(○○くん...あっ、こっち見た。)

美空:...こっち見たわね...!よし、いくよ!

桜:えぇっ!何で!?

瑛紗:あの子ったら...ほら!さくたんも行こう!

桜:てれぱんまで!?

バスの中でしか見なかった君、まさかこんなところで会えるだなんて...
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美空:...ということで!一緒に食べましょう!

△△:もちろんよ!俺らも有名になったんだな!

○○:こんな感じで知られてたんだ俺ら...

瑛紗:坂高の希望の二遊間なんだから、そりゃねぇ。

桜:...あのっ。○○君。

○○:はいっ!?なんですか!

桜:私!川﨑桜って言います!

○○:い、井上○○です!よろしく!

桜:よ、よろしくね!

△△:○○、お前ぎこちなすぎるだろ。

美空:さくたん、コミュ障のそれよ今の。

瑛紗:2人ともあんま言わないの、初対面よ一応。

○○:(...初対面なのかな?)そ、そうですね...。

桜:(...初対面と言えるか...?)そうだよ...。


美空:まぁそうね、とりあえずご飯食べながら色々話しましょ〜。


ここで桜と○○は少しだけ話した。
桜のフィギュアのこと、○○の部活のこと、普段の学校生活...。

瑛紗:...そろそろ休み時間も終わりじゃない?

美空:えっ...ほんとだ!やばい!次教室じゃない!?

桜:あっ!急がないと!

○○:移動教室ってことは...1組なの?

桜:そうだよ!○○君は何組なの?

○○:俺たちは4組だよ、次は数学。

桜:そうなの。4組なのね...!

美空:さくたーん!置いてくよ!!!

桜:ごめん!...またバスでね!

○○:あっ...うん!またね!

△△:なんか嵐のように去っていったな、俺達も戻るか。

○○:そうだな...。桜さん...か。

△△:余計に惚れてるじゃねぇか。
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そこから、バスの時間で○○と桜は話してくることが多くなった。


桜:...そろそろだね、降りる準備しよっか!

○○:そうだね、今日は一限から体育かぁ。

桜:いいじゃん体育!眠くならないよ!

○○:寒いからそうもいかないんだよね...。

たった17分。こんな近くで話すようになれた。
きみをみていられるようになった。

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