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私が明日を見ているとき、君は今を見ている【子とシャニマスおたくと同人活動と】

 シャニマスが好きな人が集まって、ファンがつくった本(自費)と紙幣を交換する会に出た。私は本を作った側である。

 今回ばかりは本当に無理だと思った。だって子育て+社会人の擬態+生活だけでも充実した日々なのに、ここに「本をつくる」が入るなんて。入る余地はあるのか? いれるのか。
 でもなぜか新刊が出た。毎回不思議だ。でも余裕をもって出したことはほぼないので、いつもどこかに誤字脱字、絵の反転忘れ(私は左向きの顔が描けないのでいつも右向きに描いて反転している)等をしている。いつもすみません。

 子が保育園にいっており、私も社会でがんばっているため、朝寝や昼寝の時間はそもそも家にいない。私の夕食後から睡眠までの時間(だいたい2時間ちょい)しか本作りに当てられない。休日でも子育てと生活はあるので、原稿時間が増えたといっても子が朝寝と昼寝をしている時間(合わせて2時間)くらいしか増えない。えっ、この状態で本を……?

 そのため【通勤時間が活用できるタイプの原稿を作成しよう】と考えた。「考察・エッセイ本(漫画もあるよ)」の誕生である。

 私は、アナログ作業(作画)とデジタル作業(コマ割りや仕上げ)を組み合わせて漫画をかいている。アナログ作業はまず通勤時間ではできない。私はでかめのノートパソコンとしっかりでかい液タブでデジタル作業をしているため、デジタル作業もなかなかできない。
 でも文章ならできる。スマートフォンは偉大だ。車内でスマホをいじっている人なんてわんさかいる。このときの新刊は「音楽の視点から見たシーズの考察、エッセイ、漫画本も」だったのだが、考察、エッセイページはほぼ車内で誕生した。案外いけるもんだな……。悪い学びである。ちなみにこの文章も車内で誕生している。
 ゼエゼエハアハアしながら新刊を作る。無理だ。今回は無理だわ。
 入稿予定日の前々日、なんと子どもが3時間の爆寝をした。嗚呼、なんて親孝行な子ども。子どもから3時間をプレゼントしてもらったおかげで、入稿の目処がたった。3時間は1日分の作業時間にあたる。この謎の3時間爆寝がなければ新刊は出なかっただろう。ありがとう。

 音楽とシーズの愛をたくさん詰め込んだ、いい本ができたように思う。

 イベントの荷造りをしている最中で、子どもが昼寝から起きた。誤飲したらまずい小さなパーツは?、えーと、よし、ない。
 おはよー!といってベッドへ迎えに行く。抱っこすると重たい。私のイベントの荷物(既刊を送るのを毎回わすれるので手持ち)と同じくらいはある。 子どもが「う!」と言いながら私の荷物を指を差した。最近指を差すと親が反応してくれることに気付いたらしく、「う!」と言ってなんでも指を差す。 「明日の私の荷物だよ〜」といいながら床に子どもをおろす。私は子のおやつを用意するため、親②に子を任せた。
 子どもは真剣な顔をして私の荷物を吟味していた。袋からビニール袋を全て取り出し、卓上ポスタースタンドを取り出し、ブックスタンドをキコキコしていた。興奮しているようで、ふー、ふー、と息を吐く音が聞こえた。初めての物に出会うといつもこうなる。生まれて初めて、この子はポスタースタンドを触ったのか。私が初めて触ったのはアパレルのバイトをしていたときだった。ポスタースタンドを触らないまま一生を終える人もいるだろう。なんだか不思議だ。

 おやつの用意ができた。子どもを私の荷物から引き剥がして椅子に連れて行く。まだ未練がありそうだったが、ポスタースタンドのネジに興味を持ち始めて危険だったので、キャリーケースのファスナーを閉めた。
 おやつの存在に気付くと「あー!!」と叫び、机の上をバチンバチン叩いた。食べるの大好き幼児ちゃんで、食べ物を食べる前は、早くよこせの気持ちをそれはもう切実に伝えてくる(叫ぶ、叩く、泣く、手をのばす、体を反る、椅子から抜け出しおやつを奪う、等)。もうこの子は、さっきの私の荷物のことなど忘れてしまっただろう。今、このとき、「はやくおやつをよこせ」という思いに夢中だ。過去でも未来でもなく、今しか知らないのだ。

 私は子どもが忘れた荷物を持って、明日イベントに行く。

(この文章は、12月14日(土)に開催される、アイマスエキスポDAY1で取り扱う本「あなたがいない日常を知らない」に載せたエッセイです。子育てに翻弄されながらシャニマスのおたく活動をする私のエッセイだけでなく、シャニマスの全ユニットを取り扱った漫画も載っています!!!!ぜひ……)

(12/20追記)通販で取り扱っています!!!

これらも本に入っています↓

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