私はパティシエだった②
困ったことに、パティシエのほとんどの人が味見をしません。私は少しだけ日本料理をかじった身ではあるが、彼らは絶対味見をします。例えるなら接客で「いらっしやいませ」とあいさつするのと同じくらい自然な感覚。割は(日本料理では配合のことをこう言う)一応決まっているがそれはあくまで目安で味が全てです。(作る人によって味が変わることもありますが…)
パティシエはレシピが全てなところがあって食べ物を作るんじゃなくてまるで説明書を読みプラモデルでも作るんじゃないかなという風に作業します。職人ではなくて作業員が多いなと私は思うのです。職人とは自分の感覚で仕事を判断し、進める人の事、だと思います。
だから生クリームに砂糖を入れ忘れていたり、そういう信じられないことが起きることもありました。
パティシエはメディアの影響もあって芸術家かなんかだと勘違いしている人が少なからずいると思うが、そんな高尚なものではなくそれは食べ物を作って売る仕事の一つにすぎないと私は肝に銘じています。
全員とは言わないが、パティシエは食べ物を作っている自覚がなさすぎる!と思います。
今回は一番パティシエにとって大切なアイテムの一つであり基本であり観察力が一番問われるであろうキャラメルについて考察していきます。
①基本のキャラメル
雪平鍋、木べら(ゴムべらはだめです。キャラメルは高温で170度以上になります)、キャラメルを冷ます氷水、あとグラニュー糖か上白糖を用意します(100gくらいがいいかと思います)
(注)木べらであまりキャラメルを撹拌すると砂糖が再結晶化してだまが 出来るらしいです。木べらを動かすのは最小限にとどめましょう。
鍋をガスコンロで一つ煙が立つ直前くらいまで温める。(どうやってこの温度を表現したらいいかわかりません、すみません。)
砂糖の分量の2割くらいを鍋に入れる。この時あまりに鍋を温めすぎていると入れた瞬間に砂糖が黒焦げになってしまうので気を付けましょう。鍋に入れた瞬間に砂糖が溶けるくらいでよいと思います。
溶けた砂糖が薄い褐色になったら追い足すように2割を入れる。これをあと3回繰り返す。ここで注意すべきは砂糖は黒くなってしまったら、あとから継ぎ足した砂糖もそれにつられて黒く焦げてしまうということ、一回黒く焦がしたら取り返しがつかないということ。薄いのは火を入れて調整できるということ。
だから薄い褐色を維持しつつ5回に分けて入れて最後に調整するということです。
100グラム全部鍋に入れたら火を入れて色を調整しましょう。強火にしないで少しずつでいいです。ここで溶けきれていない白く濁った砂糖があったら弱火で溶かしてしまいましょう。
薄い黄金色になったらここからは火を止めます。余熱で色がついてきます。少し薄いかなと思うくらいでよいです。鍋を氷水に一気につけましょう。つけて冷ましている瞬間にも色は付いてきます。
テフロンシートに、スプーンである程度キャラメルを冷ましたら(熱すぎるとキャラメルが流れて形にならなくなるし、冷ましすぎたら引っ付いて作業にならない)、キャラメルを掬って、コイン状に流して、それが完全に固まったらシリカゲルを入れた容器に入れて保存しましょう。ラップを引いて麺棒などでクラッシュしてパウンドケーキの生地の中に入れてもおいしいですよ。
飾りのキャラメルは本場フランスではコーヒー豆のローストで言ったらイタリアンロースト位に色を付けるが日本では消費者傾向もあって私の住んでいる田舎ではシナモン~ミディアムロースト位かな。
プリンのキャラメルは苦めがお勧めです。プリン生地の甘さと対比するかの如く。
ティラミスのアンビベはイタリアンロースト一択です。
サンマルクのような商品の表面のキャラメル掛けはあれは少々難しくて、ビスキュイ・ジョコンドの生地の如何が命なのでここでは割愛しますが薄く薄く丁寧に何度も何度もキャラメル掛けしてください。
キャラメルシャンティィも苦めのキャラメルが私は好きかな。
【作り方】 大き目の鍋で作業しましょう、やってみればわかると思います。
生クリーム300
グラニュー糖40
グラニュー糖でキャラメルを作る
大体80℃くらいに温めた生クリームを鍋に一気に入れてホイッパーで合わせる(生を温めておかないとキャラメルが飛び散って大惨事になる)
キャラメルのだまが残っていたら再度過熱して溶かしてしまいましょう。
それを一晩冷蔵庫で寝かせて次の日にホイップしましょう。
コーヒーのロースト加減とキャラメルの好みってもしかして相関関係があるのでしょうか?
私はフレンチローストのマンデリンが好きでキャラメルは苦いのがパンチがあって好きなのだが。。。
私は焼き菓子とかも中火でじっくり焼き上げたやつが好きだ。
生焼けっぽいクッキーなんて言語道断。