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old memories―達也 前編―

20‪✕‬‪✕‬年。
高校1年。5月。
有村達也。16歳。達也は、ある女の子にずっと
思いを寄せている。

「達也~~、宿題見せてーー」

夏海の親友、あいちゃんに片思いをしている。

達也は、小学生の時からあいちゃんに片思い

をしている。

「川村に見せてもらえばー?」

達也は頬杖を付いて、そして小声でそう言った。

「達也、なっちゃん、今日体調悪いらしいけん
おらんのよー。大丈夫かなー。
そうだ!野菜ジュースでも届けてやろう!」

「、、、高橋っていっつも川村のこと
ばかりだな」

「なんか言った?」

「いや」

その時チャイムが鳴った。

(キーンコーンカーンコーン)

「じゃあね!達也!」

あいちゃんは、自分の席に戻った。

達也は1番後ろで、あいちゃんは、

斜め1番前の席だ。授業もちゃんと聞かずに

授業中もあいちゃんを見てた。

ちょうど右側にいる健太は、達也と

あいちゃんを交互に見ていた。

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「達也」

テスト期間でもあり、自主的に練習しようと

達也と健太は体育館にいた。

体育館にいるのは、健太と達也の2人きり
だった。

「健ちゃん、どした?」

「お前の好きな人、高橋だろ?」

達也は、バスケットボールを思わず落とした。

「えっ、、、なんで?」

「えっ、まじ?」

達也は動揺を隠せなかった。

健太は言葉を止めなかった。

「だって、お前ずっと、高橋の方見よるし
バレバレ。てか、お前、ずーっと前から
高橋のこと好きだよな?」

達也はボールを再び持った。

「、、、、バレてたか。」

「バレバレやわ。アホ」

健太は、達也の肩をポンっとした。

2人はその場であぐらをかいた。

達也は照れた顔で

「絶対誰にも言うなよ。なっちゃんにも」

「川村には言うかもなー」

「なんで!?」

達也は、ちょっと怒った口調になった。

「てか、川村に相談しろよ。
高橋のいっちばん身近な女子って川村
じゃねーか」

「、、、、、」

「、、、、、」

「あいつなら、今日バイト休みらしいけん
海におると思う。」

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「~~~~~♪」

夕方の6時台。夏海は、海の防波堤でギターを
弾いていた。

しかも、大きな声で歌っていた。

「かーわーむーら」

「あっ、健太?」

「相変わらず上手いなー」

夏海の視線は健太の後ろへいった。

「、、、なんで有村くんいるの?」

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「ええ!有村くん、あいちゃんのこと
好きなの?」

達也はものすごく頷いた。

「でっ、なんであいちゃんのこと
好きになったん?いつから好きなん?」

「おっ、お前めっちゃ聞くやん」

健太は今ににも吹き出しそうだった。

達也はゆっくり話し始めた。

「、、、高橋を好きになったんは小4。
一目惚れやった。」

達也の顔は真っ赤に染まっていた。

達也は両手で顔を隠した。

「でっ、好きになったきっかけは?」

夏海は、目をキラキラして聞いた。

「ぶっはははははは」

健太が笑いだした。

「川村おもれーーー」

「高橋を好きになったきっかけは、
いつも笑顔でニコニコしてたから、それで
好きになった。」

「有村くん!」

夏海は、達也の前で親指を立てた。

「私に任せて!」

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「なっちゃんママ~」

次の日早朝6時半。あいちゃんは、

アパートの出口で夏海の母に遭遇した。

「あら、あいちゃん~、あっ、有村くんよね?」

「えっ、、、」

あいちゃんは後ろを向いた。

そこには、達也が立っていた。

「えっ、達也?」

「、、、おっす」

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「早朝、あいちゃんのとこ行って、
あいちゃんと一緒に登校する!
それで、あいちゃんを自転車の後ろに乗せる!
いいでしょー!」

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(川村、ありがとう)

その時、夏海の母が口を開いた。

「ねぇ、思ったんだけど、有村くんと
あいちゃん付き合ってるの?」

あいちゃんは、一瞬目を見開いたあと

爆笑した。

「なっちゃんママ~、まっさか~あはははは」

達也は、今にも泣き出しそうだった。

その時

「あいちゃん?」

見知らぬ背の高い男が、あいの近くにいた。

ネクタイをしていて、違う学校だろう。

達也は、頭が真っ白になった。

(続く)

🏖🐠☀️

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