「名前のない日本酒」の話を・・・
本年元旦に発生した「能登半島地震」によって大きな被害を受けた北陸地方・・・
今も多くの方達が住む場所や生業を失い困難な生活を強いられています。
そんな中、被災しながらも新たな道を歩み始めている石川の酒蔵さんと杜氏の方の話を書きたいと思います。
昨年の8月、お祭りの準備も忙しい石川県輪島市の鳳至町を夫婦で散策していてふと訪れたのが「中島酒造店」さん。
以前から「能登末廣」や「花おぼろ」は頂いたことはあったのですが、蔵へ伺うのは初めてでした。
何でもその夏は「ひやおろし」の解禁が早くなってお酒の瓶詰とお祭りの準備が重なって大変忙しいご様子でしたが、女将さんが親切にイロイロなお話を聞かせて下さいました。
その年の秋にも蔵に伺いお酒を頂いてお話をして楽しい一時を過ごさせて頂きました。 そして今年も是非お酒を買いに行こうと思っていました・・・
発災から数か月は能登へ行くことも出来ずネットで情報を漁るのみでしたが、そうしているうちに見つけた蔵元が取材を受けられている動画・・・
蔵元とは直接お会いしたことはありませんでしたが、女将さんと面差しの似た蔵元が倒壊した蔵の前で涙ながらに現状を語るお姿は忘れることが出来ません。
そしてそこに協力を申し出たのが「神泉」で知られる小松の酒蔵「東酒造」さんでした。
ここ東酒造さんでお酒を造られている杜氏さんも能登の出身でご実家は地震で倒壊してしまったそうです。
また東酒造さんも地震による直接の被害は限定的であっても震災後は石川県を訪れる人も少なくなり影響は無視できないものであった様です。
そうして蔵を失った中島さんは東さんの蔵を借りてお酒造りを継続させておられるのですが、そこで持ち上がったのがそれぞれの杜氏が協力してどちらの銘柄とも違う新しいお酒を造ろうとの試みによりクラウドファンディングを経て造られたのが「名前のない日本酒」でした。
これもまたネットで見つけた動画で中島酒造さんの蔵元杜氏である「中島遼太郎」さんと東酒造さんで腕を振るう杜氏「二見秀正」さんがこのお酒を造るにあたって話し合う様子を拝見しましたが、お二人の優しく静かな話口から感じられる能登の人の強さ、優しさ、そして懐の深さが感じられ「なんてカッコいい人達なんだ!」と心を打たれました!
今能登ではインフラの復旧のさることながら、産業の再建は急務だと感じます。 まだまだ発災直後と変わらない場所も多くありますが、行けるところ、買えるモノがあれば是非見て、手に取ってみて頂けたらと願います。
震災を経てなお輝きを失わない風景があり、元の作業場を失っても能登の美味しさや美しい伝統を届けて下さる方々がいます!
読んで頂いてありがとうございます。
良かったらまたお付き合い下さい。