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2023年の個人的新作映画ベスト10を挙げるぜ
ゆく年くる年。
ぐだぐだしていたらすっかり年明けがすぐそこまで迫ってきてしまっている。
日々をぼおっと生きている俺ではあるが、毎年やっている一年の総括だけは今年もやっておきたいと思い、筆を執った次第だ。
2023年の映画もここ数年通り豊作だった。
毎年今年の映画は豊作だったなと年の暮れに思い返しているが、今年もそうだった。
毎年毎年口を開けて待っていれば面白い映画が放り込まれる。俺もまこと幸せな男である。
というわけで例年通り、2023年映画ベスト10(見た順)を挙げていきます。
シン・仮面ライダー
シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンと庵野秀明監督がメガホンを執ったシン・シリーズの三部作目である。
ゴジラ、ウルトラマン、そして仮面ライダーと庵野監督本人の思い入れが濃くなっていくごとに比例して作品の濃度が高くなっていく。
だがそれがいい。
もっと濃度の高いオタクの一人語りを聞かせてくれ庵野秀明監督。
(それはそれとして劇場で見た初見のサソリオーグの下りは正直きつかったです……)
ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー
殺し屋女子コンビ映画の2作目だ。今回も格闘銃撃アクションはバチギまっているし、ちさととまひろコンビのぐだぐだっぷりも極まっている。
ここで変に路線変更しないで前作と同じノリを貫いてくれたことが良かった。
ただなにもかもが前作を踏襲しているかというと全く違う。
ちさとまひろコンビの敵役としてゆうりとまひろの兄弟殺し屋コンビの存在が映画にアクセントを加えていた。
組織所属の殺し屋としてある程度の立場を得ている主役コンビと違ってこいつらは根無し草のフリーランス(しょうもない仲介人のおっさん頼り)だ。安住した立場なんてないし、安定した収入は夢のまた夢だ。
このゆうりとまひろがちさととまひろの立場を取って代わろうとギラギラと怪気炎を発している。
こいつら二人はいわばちさととまひろの鏡像でもあるのだ。もし運命のボタンの掛け違いがあったなら、主人公コンビも組織所属の身分のない根無し草で、ぐだぐだしたモラトリアム的なノリで生きる余裕などモテなかったのではないか。
そうしたifの姿すら見えてくる。
優れた映画には優れた悪役(こいつらは悪ではないが)が必要という原則を思い出した続編だった。
前作の、アクションは凄まじかったけど敵役との関係が成り行き任せでなんだかノれなかったという個人的に感じていた欠点を克服していた。
この監督で一番好きなのは最強殺し屋伝説国岡なんだけどまだ続編のグリーンバレットを見てないんだよな。見なきゃ。
GRIDMAN UNIVERSE
正直Sグリにはノれていなかった。リアルなタッチの(必ずしもリアリティがあるわけでないが)ティーンの瑞々しい青春物語と外連味のあるヒーローアクションの嚙み合わせが悪く、どちらがどちらの足を引っ張っている中途半端なアニメだったと思う。
リアルタイム時に実際途中で視聴を取り止めた。
続くダイナゼノンは面白かった。
あまりハマれなかったSグリのトラウマはあったものの、タイムラインに流れてきた好評から気になり、手を取ってみたら正解だった。
今度は青春物語とド派手なアクションの嚙み合わせがきっちり取れていてどちらがどちらの良さを引き立てて良い関係になっていたと思う。
そして劇場版ユニバースの情報が流れてきた。Sグリとダイナゼノンの両方の世界を結合(ユナイト)した作品になると聞いて若干不安になった。
また、あのSグリの嚙み合わなさを味わってしまうのではないかと。
ユニバースを見る前に切っていたSグリを最後まで見通して、やっぱりこの作品とは合わないなと再確認し、不安が更に高まった。
で、劇場版本編。
面白いじゃんかよ!!!
今回はSグリパートもダイナゼノンの良かったところを取り入れてきっちりアオハルとアクションの嚙み合わせが良く、傑作になっていた。
ダンジョン&ドラゴンズ アウトローの誇り
言わずと知れた傑作ファンタジー映画。
この映画がきっちりヒットした世界線になって欲しかった。
予算規模が縮小されておらず、スケール観が全く変わっていない続編を作ってくれ。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3
今年はなんだか完結編が多かった気がする。ジョン・ウィックもイコライザーも終わったからね。
今作も完結作である。MCUはまだまだ続いているし、スターロードたちはまだ出張っていくことになるだろうけどガーディアンズ・オブ・ギャラクシーという枠組みの映画はこれで終わりだ。
ここ最近のMCUの作品はスパイダーマンなどの一部を除いて、「まあ面白かったよ……面白かった……つまらなくは、なかったかな?」と中途半端な笑顔で感想を述べたくなるような作品が多かった気がするが、今作は満面の笑みで「面白かった!!!」と言える仕上がりになっていた。
K.G.F CHAPTER1&2
インドはサンダルウッドから熱い刺客がやってきた。
この映画2作は最強のアウトロー・ロッキーが自分の王国を作り上げて崩壊させる一代記である。
正直、CHAPTER1の途中までノれていなかった。編集というか構成は時系列が行ったり来たりだし、折角のアクションシーンが手振れのあるカメラワークにカチャカチャしたカット割りという俺の苦手な仕上がりになっていた。ナルシスティックな主人公がヒロインをナンパする下りは白けた目で見ていた。
が、中盤以降俺の目はいつの間にか画面に釘付けになっていた。
主人公ロッキーの型破りな一挙一動に魅了され、彼が何かアクションを起こす度にハラハラドキドキしていた自分がいた。
初めはロッキーを呆れた目で見ていたが、徐々に彼に惹かれていくヒロインと俺は同じだった。
そうこの映画を見た者は誰しもロッキーのヒロインになってしまうのだ。
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ジョン・ウィック:コンセクエンス
キアヌとキャスト・スタッフの皆様お疲れさまでしたの一言です。
ゴジラ-1.0
登場人物が台詞で説明しすぎだし、感情表現がオーバーアクト気味だったけど肝心のスペクタクルが最高の出来だったし、逆に考えればスペクタクルシーケンスで登場人物の感情と同期させるためには説明台詞やオーバーアクトも必要だったんじゃないか。
説明台詞やオーバーアクトも用法用量さえ守れば映画のクオリティを上げる要素になるんじゃないか。
そう思ってしまった。
あ、映画は滅茶苦茶面白かったです。
それと海外での大ヒットおめでとうございます。
来年頭に上映される白黒バージョンもちゃんと見るぞい。
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
本作は最初から見ようとは思っていなかった。
だがタイムラインに流れてくる好評の声に押されて見に行った。
で、面白かった。
横溝正史的世界観とゲゲゲの鬼太郎をマッシュアップした結果、傑作になった。
血縁と土着の風習の入り混じったどろどろしたおどろおどろしい村の雰囲気やそれを逆手に取ったようなツイストが戦後の日本を舞台にした時代背景と綺麗に絡み合い、戦中戦後の日本を批判すると同時に今の日本にも矛先を向ける挑戦的な作りになっていた。ゴジマイと同様にゴジラやゲゲゲの鬼太郎という大人気シリーズの一作でありながらもきっちりと風刺や皮肉の色も込めてくる製作者の意地に感服しました。
(あと横溝正史的な要素を盛り込んではいるものの、ミステリー部分の真相が力技で笑ってしまった。これはゲゲゲの鬼太郎でありミステリー映画ではないのだ。)
今年は『わたしの幸せな結婚』も『ミンナのウタ』も『劇場版 ポールプリンセス!!』もそうだったけど最初は興味を持っていなかったのに、好評の声に押されて見に行った結果面白かったケースが多かった。2024年はあんまし自分の感性を過信せずに観測範囲外の作品にもきっちり触れていこうと思った。
首
武の年齢的に『アウトレイジ最終章』が遺作になるのはなんだか寂しいなと思っていたのでこういうノリの映画を撮ってくれたことが嬉しかった。武、もっと映画を撮ってくれ!
まとめ
冒頭の通り、今年の映画は豊作だった。
豊作だったのだが、今年は話題作以外の映画をあまり見れていなかった。いざ休日に映画を見に行くかと思い立っても、鑑賞料金に見合ったクオリティなのかとか(金欠は悲しいね)どうせ数か月後に配信にくるよなとか理由を作ってしまって外出を渋るパターンが多かった。
その結果、劇場ではスクリーン映えする大作映画ばかり見てミニシアター系の映画をそんなに見なかった。
が、今年は『ゲゲゲ』『わたしの幸せな結婚』『ミンナのウタ』『劇場版 ポールプリンセス!!』といった元々興味がなかったけど試しに見てみたら楽しめた映画が多かった。
このように劇場に足を運んで色々な映画を見ていけば思わぬ良き作品との出会いがあるかもしれないということがわかった。
なので、来年の抱負としては外出に億劫にならずどしどし映画を見ていこうと思いました。
お金と時間が許す限りね!