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2024年6月の記事一覧
【まとめ用】紫陽花の季節、君はいない 23〜33話
部屋に帰ろうと玄関に行った時、柊司に呼び止められた。
「なあ、夏越。お前は悩みを溜め込む癖があるから俺は心配だ。前にも言ったけど、無理には聞かないけど話したくなったら俺は何時でも聞くからな。」
やはり、柊司には勘付かれていた。
俺は曖昧に笑顔を作って「ありがとう」と言って、自分の部屋に帰るしか出来なかった。
深夜に雨が降ったからか、夢に紫陽が出てきた。
八幡宮の満開の紫陽花の森。
【まとめ用】紫陽花の季節、君はいない 12〜22話
「何で俺が送り届けなければならないんだ?」
八幡宮の精霊たちは平気だけど、俺は知らない人間に対しては人見知りをしてしまう。
「夏越、私は人の姿はしているが精霊であるぞ。こういうことは、同じ人間であるお前の役目であろう!」
涼見姐さんの言うことは、もっともである。
「う~!」
俺に持ち上げられた國吉は、不快になってきたのか身をよじり始めた。このままだと、落としてしまう。
「ね…姐さん、ど
【まとめ用】紫陽花の季節、君はいない 1〜11話
2021年5月半ば。どんよりとした曇り空。
今年の梅雨は、6月を待たずに到来しそうである。
「夏越くん、そんなに空を見上げていたら首が痛くなるわよ。」
柊司の部屋のベランダから空を眺めていた俺に、あおいさんが話し掛けてきた。
あおいさんは、お腹の子がかなり大きくなってきている為、産休に入っている。
昨年よりも大学院は対面授業は増えたものの、今日みたいにオンライン授業の日は、空き時間に