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037.スプーン一杯の認知症

浜辺でダムを作った子供の頃、固まったはずの擁壁は少しずつ形を変えて溶けていく。手では抑えきれない…
押さえた手の指の間からユルユルと崩れていく。 
認知症の母の笑顔を見ていると、私の心に浮かぶ風景です。

会うたびに、陽気を装う母。会うたびに、猫背になる父…

私の顔を見ては、婆ちゃんソックリ!と笑う母。苦笑いの私。

徐々に、自分は、まともだ!と言う回数が増えた…
傍で、父は、聞こえているのか聞こえていないのか、チラリとこちらを見る。

母が、突然電話で
あんたそろそろ幸せになる知らせでもあるかと思ったんやけど、どうなん?
と、聞いてきた。
愛情持って育ててなかったとカミングアウトしていた母は、私に何を期待してるのだろうかと勘ぐってしまう。私の根性ねじれてるかしら…

時は、停まることなく流れている
時は、留まることなく形を変える
どう生きるか、根性論など、欲の欲
川の流れのように
生かされていることを、垣間見ることができる。両親顕在で、私は幸せだと思う。
ありがとう。