よしおかさくら

ブログと現代詩 今年から50代。家族は夫と高校生の息子。日本現代詩人会投稿欄入選。recipe同人。 2021年びーれびしろねこ社賞優秀賞。2023、2024詩と思想詩人集。詩集『プチフール一丁目に住みたい』 メモがぱんぱんだからこちらに毎日移動。

よしおかさくら

ブログと現代詩 今年から50代。家族は夫と高校生の息子。日本現代詩人会投稿欄入選。recipe同人。 2021年びーれびしろねこ社賞優秀賞。2023、2024詩と思想詩人集。詩集『プチフール一丁目に住みたい』 メモがぱんぱんだからこちらに毎日移動。

マガジン

  • 音読

    読みたいと思った時に読んでみます。

  • そうだ、食べ物の話をしよう。

    食べ物の話なら私はたくさん話せるに違いない。

  • It's happy Wednesday.

    テーマだけは毎回決めて書いて日記のようにはしないつもりでいます。また、軽い内容から重い事までなんでも取り上げたいと思っています。

  • 個人物見遊山 第一号 2019/2/28発行

  • SS

    ショートショート

最近の記事

鼻嵐

馬の鼻面から吹き出す嵐にたんぽぽの綿毛が巻き込まれ、後足の生み出す気流にうまく乗った、大空を優雅に進む。鳥が見つけて飲み込もうとしたらしい。口が開いたが上昇の合図に仕方なく去って行った。この先は海しかない、いつか伝え聞いた塩辛い水の上にとうとう来た、とうとう来た。 俺たち植物は次の代にすぐ転生する。たんぽぽだけをひたすらに繰り返してきた。見慣れた場所から見慣れた場所へ、或いは鳥に食べられてあちらこちら。しかし食べられもせずに水の上は初めてだ。 俺だけ、俺だけで飛んでいる。

    • わかってるわよ(2022/3/30Instagram初出)

      そのタイミングで首長竜が高く鳴いてくれるからまたこの曲を聴くんだ、違うよ、それは鹿だ、座る場所を探して蹄に雪が詰まっていた、それじゃ湖は凍ってしまうじゃない、だから雪と氷に閉ざされているんだ、じゃあ、木の実は齧歯類が運ぶの? 豊かな南国のバナナは食べられないの? うん。大丈夫だよ、安心してお眠り、みんなそこに生ってるものを食んで生きてる、そこにあるからそれを食べてる、おまえはきっとどの木の実も、果実も野菜も手に入れられるだろう、違うわ、わたしはみんなが仲良く、奪わないでいたい

      • たったひとつ

        私たちは理不尽から始まる いちばんめは対内的に 女と意識させられる にばんめも対外的だがまた 女と意識させられる これらは全く違うものだが 要因はたったひとつ 持っていないもの 常に理不尽から始まる 男ではないこと 女であること 身体付きの違いを 比べられて審査される 私に触らないで 私より私の身体を見ないで 恋愛や結婚が 必ず人生にあるものとされる 私のことは私が考えるから 放っておいてほしい 男が何もしないのを見ながら 女だから家事をさせられる 男からの 手伝おうで

        • 宇宙虎さん(朗読用作品)

          「宇宙虎さん」 風来坊の宇宙虎さん 太陽風を乗りこなし はるばる地球にやって来た 仲間たちがその両脇に バナナを盛り付け始める 風来坊の宇宙虎さん バナナの叩き売りはさておいて 言葉の行商を始めた 見てらっしゃい 寄ってらっしゃい 良い香りのバナナもあるよ さぁて今日は話し言葉だ こいつを売りに来た 話し言葉の何がいいって 歌い出せる 話しかけてもいい そして 突然死の遺言に便利 どうだ買わないか 買わないか 例えば貝に当たって もうすぐ死んじまう奴が 死ぬ理由が言えな

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        • 音読
          25本
        • そうだ、食べ物の話をしよう。
          1本
        • It's happy Wednesday.
          20本
        • 個人物見遊山 第一号 2019/2/28発行
          12本
        • SS
          9本
        • ミニノート
          4本

        記事

          幕間

          その物語は作り物だよと 現実が言うので 私は私になってしまい 今までどうしていたか忘れてしまった 私は私ではなくて読者であったのに 歩き出すと雨が 傘を差せば風が 付いてきて 空や地や風 猫や自転車や飛行機や これらは愛すべき現実だ 愛すべきはずが 政治家が気に入らなくて ポスターから目を背け 交差点では歩行者の権利を主張したくなり 戦争の影響で価格は上昇し 現実なんか何ひとつ好きになれないじゃないか 好きな方向には変わらないじゃないか 私は言い返し 現実は私の真似をしなが

          ポエケット

          飛行機があまりにも低く飛ぶので 普段はよくわからない鋭角さが 私の眼にもはっきりわかった もうひとつの機体が 夕焼けの中を上下にすれ違う 帰路を進む人たちも しばらく足を止めて見上げている 生活の一部として美しさを覚えておく為に 写真を撮ったりして 詩を好きな人たちが集う場に行くと 詩を好きか 詩に興味がある人たちしかいない 詩なんかどうでもいいよという顔はされない 私の本もここにあっていいと思えた 嬉しい日の空として覚えておく為に しばらく足を止めて見上げている

          男と花と女

          男が女童に撫子を差し出し 女童は嬉しそうに受け取って ふたりはそのまま花野に遊んだ 四つ辻を曲がって帰るのを見たが 人たちは首を傾げなかった 数年が過ぎた 重頼が文に梅の枝を付けて 男を介し女に差し出したが 女は文を返さなかった 彼は他に通う所もあったので 重頼は女のことなどすぐに 忘れてしまった 成信が文に菫を付けて 男を介し女に差し出した 女は嬉しそうに受け取り 理由を付けて断りの文を出した 成信は幾度か文に菫を付けて 男を介し女に差し出した 女は嬉しそうに受け取り

          血液型占い

          私がまだ三十歳に満たない頃の雪の日 父が脳梗塞の為に外階段で倒れた カテーテル手術で復活したが その時初めて父の血液型が判明した O型の母から長年 AB型と勝手に言われていたのに A型だったのである やはりO型の母から長年 B型と勝手に言われていた私は 覆されてA型かO型と決定した B型とされてきた私はしばし呆然とした 今でこそ血液型占いの権威は消えたも同然だが 子ども時代にはかなり持て囃されていた 占い本は必ずB型の勝手さ横暴さを謳っており 私は勝手で横暴の類に分類されて

          目が合いました (朗読フリー)

          ガチでした 今夜はちょっとだけ やばいと思っていました いつもならフツーに 闇討ちを仕掛けてくるから 適当にあしらって 河原で逆に仲良くなって 明け方にはバイバイって感じだったのが 今度の奴は 真新しいジャージで二日も前から 走り込みして来たって噂が 列島を駆け抜けて行きました なんかやばい奴来たって 話の通じねー奴じゃないかって 内心ビビっていました 確かに遠くから目が合いました 負けねぇって 強く睨みつけました いかちいなって思って 足が震えました こっちも歳を取

          目が合いました (朗読フリー)

          カルタ詩 「太郎の結婚」

          あ 愛は地球を救えなかった い 言い切ってしまう不遜さで う うまく地球をなんとかしたい え 枝から落ちた木の実に過ぎない お 雄鶏が驚いて雄叫びを上げる か 蟹挟みをかけられて猿は瀕死 き 昨日のニュースを詳しく調べれば く 熊の目を逸らす為に黙らせようとしたって け 怪我させるつもりは無かったって こ 今度からはうまくやるって蟹のハサミが光る さ さるかに合戦はこうして幕を閉じ し 仕返しはしなくてよくなって良かった す 澄まして帰って行く蟹を見送る猿 せ 世界はやっぱり

          カルタ詩 「太郎の結婚」

          公共トイレについて考える

          どんな形ならみんなが納得して利用できるのか、ここ一年ばかり、考えてはやめている。きちんと自分の考えを述べておきたい。 まず、現在は男女で分けられているが、その必要はあるか。 正直なところ、男性の個室の使い方について、不信感がある。同じ便座に座るかもしれないとなった時、便座が上げっぱなしだったりしたら嫌だなぁと思う。男性だって個室使う時は便座上げたりしないよって思われるかもしれないけれど、もし小便器が置かれないようになったら、便座は上がると思われる。 え? 小便器無くなるの?

          公共トイレについて考える

          #コーヒーとチーズ について

          例えば私はコーヒーとチーズと言いながら、平気で肉まんを食べる。サラダサンドイッチを食べたり、おやつを食べたりもする。写真の中だけでもチーズだけにすればいいものを、全て写している。それはなぜか。 私は貧血が持病である。治療して治っても、再び貧血になる。食物で摂取しても追いつかない。学生の頃や、会社員として働いていた頃に移動中、五回貧血で倒れた。だから朝食を抜かないと決めている。主婦になりずっと家に居るようになって、健康の為にファスティングを始めたが、朝食を抜くのが不安である。

          #コーヒーとチーズ について

          夕顔

          行き過ぎる牛車の、優美なこと。轍まで自信に満ち溢れたそのお方を、間違いなく高貴で美しい方がお待ちになっておられるはず。恋い慕うより先に妬みを覚えて、明るい月を眺めた。蜜がとろけるような光が満ち満ちている。きっと夜が来る毎に牛車の気配を確かめて、次は幾夜後のことなのか、数えて待ってしまうことだろう。堪らずに、紙を選び香を薫き墨を磨り筆を弄びながら、牛車を待つ。意外にもそれは夕暮れ時だった。道なかに車が留まり、従者の方が生垣に絡まった夕顔を家の者に所望したようだ。載せる物が紙では

          2022/09/20の音声

          「生ましめん哉」──原子爆弾秘話── 栗原貞子

          2022/09/20の音声

          2022/09/20の音声

          桔梗信玄餅

           どこの、だれの土産物なのか知らないまま、子どもの頃から信玄餅を食べる機会が度々あった。桔梗柄の布製バッグに入っていて、更にビニールの個包装がされている。既にきなこにまみれた餅に黒蜜をかけていただくお餅である。  おやつにと食卓に出され、きなこを散らさぬようにと言われ、ビニールを敷き物のように広げた上で、慎重に添付の楊枝を用いて、容器いっぱいに入っているきなこを少しもこぼさず、黒蜜をかけて食べる。また、きなこをこぼさずに食べられるのが微かな自慢でもあった。家族の中では少し得意

          2022/07/22の音声

          「自分の感受性くらい」 茨木のり子

          2022/07/22の音声

          2022/07/22の音声