句集 アガパンサスの朝 川島由紀子
「窓の会」常連 川島さんの第二句集
「船団」散在まで第一章 それ以降第二章 434句 坪内捻典先生の帯
この句集の作品基調をなす多彩な「取り合わせ」のお言葉通り読んでいて新鮮でわくわくしてくる素敵な句集です。
特に好きな句を各章ごとに抽出させて頂きます。ゆつくりと何度も読みたい句集です。リズムの良い句が多く読み終えると心が軽くなる心地よい句集です。
新しい朝の雨音アガパンサス
缶蹴りの鬼のままです若葉して
黒牛の逆三角形冬が来た
三月の恋や愛やら原生林
ぴょんと跳ぶぴよんと心と青蛙
今朝の秋背中の翼に風とおす
あした会う約束をするシクラメン
月光の地図を広げる沈丁花
道連れは胡瓜一本湖の空
船頭の声傾けてば夏の蝶
左心房ざわわざわわざくろの実
花冷えの椅子にくつ下ポケットに穴
花冷えの路地をえび豆炊く匂い
遠雷のメタセコイヤと歩いた日
月欠けてシーラカンスと眠りたい
日脚伸ぶ海を渡ってきた人と
つくつくしカレーうどんを食べ尽くし
てのひらに初蝶乗せて風乗せて
綿虫の青い浮力よ夕間暮れ
青葉若葉未知のページをめくる風