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大峯あきら先生 黛執先生俳句理念
大峯あきら先生の理念と俳句
〔理念〕俳句という詩の言葉は、自我の心情の直接表現ではなく、
そういう心情がいったん季節の山川草木や禽獣虫魚の世界の中へ消えてしまって、
そこからもう一度再生して来たものでなければならない、と思っている。
虫の夜の星空に浮く地球かな あきら
玉虫を拾ひ夕日の宇陀にをり
切干も金星もまだ新しく
地蔵盆佐渡の夕焼さめてより
冬支度鴎もとほる村の空
柿接ぐや遠白波の唯一度
難所とはいつも白浪夏衣
黛執先生の理念と俳句
〔理念〕「自然と人間の関わりを見つめつづける」という先師の俳句精神を
そのまま私の作句信条とし、その関わりの中に人間存在の真実の光を探り当てたい。
年の火に今生の身のうらおもて 執
うしろから追いついてくる枯野かな
眺めゐる老人もまた初景色
梅咲くと厨子より出でたる仏たち
窯変のはじめに荒るる春の山
身の中を日暮が通る西行忌
飲食(おんじき)の口の奥まで秋の暮
柳堀悦子句 2008年 7月号
大峯あきら先生 選
晨四句
無縁塚抱く大樹の芽吹きをり
桐咲けり山また山の奥武蔵
畝高く盛りて八十八夜かな
夏立ちて鎮守の杜の昼の黙
黛執先生選
春野五句
累々と首なき地蔵花の雨
吊橋を揺らすのだあれ山笑ふ
散る花のひとひら膝に慈母観音
父母と今年の桜見てをりぬ
分校の隣は札所花菜風