見出し画像

沖田×華「透明なゆりかご」を読んでいる感想

※ネタバレあり⚠️

ヘッダーは沖田×華の透明なゆりかごより引用。

1997年、看護学科の高校3年生の×華は母親のすすめで産婦人科医院の見習い看護師として働くことになる。子供が苦手なのに加え、中絶の現場やその後処置を体験して一時は辞めそうになるが、出産の現場に立ち会い生まれる命の力強さに感動し、仕事を続けていく決意をする。

沖田×華 透明なゆりかご あらすじより引用

作者の存在は知っていたけど

沖田×華の本は「ニトロちゃん」というASD/ADHDである作者の幼少期の思い出をもとにしたエッセイ漫画や「×華のやらかし日記」という作者のやらかしを中心にしたエッセイ漫画を知っていた。

どちらも2019年当時はKindle Unlimitedの読み放題で、前者は昭和らしい学校の先生の理不尽さ、後者のやらかし日記はあまりにもやらかしが酷すぎて、息抜きに読むことができず読み飛ばしてしまった。(今は飲み放題じゃないかもしれない)


ニトロちゃんが酷い目に遭いすぎて挫折。
私はコミックエッセイには基本的に息抜きを求めているので、新卒時に読んだこういう系統は当時キツかった。

やらかしが酷くて挫折したコミックエッセイ。
仕事が忙しい時の息抜きにしたかったけど、息抜きにはならなかったので読むのをやめた。これも今ならいけるかも⁇


でもこの「透明なゆりかご」は、今5巻分(40話近く)まで読んでみてハマってしまい、今では全巻分読むつもりでいる。あと、買いたい本リストにも追加した。

マガポケで25年の3/27まで無料チケットで読めるので、11月辺りから少しずつ読み進めていて、今回はその感想記事を書こうと思います。

それではいってみよー。


時代背景や地方の価値観が下地にある

これは1997年からの作者の経験がもとになっているとのことで、その当時の時代感のある雰囲気が下地になってる。

男尊女卑やヤンキー文化、民度の低さなども感じられて、陰キャで狭いコミュニティが嫌いな私は作中では生きていけないだろうなーと読んでいて何度も思った。
今は衛生的な理由などで廃止されているナースキャップが存在していた1997年当時の話。

主人公(作者)は准看護師になる予定の看護学生で、専門学校に通っている。
そして3年生のある時、産院のバイトとして働くようになる。そこでの体験がこの、透明なゆりかごの元になっているとのこと。

看護師と准看護師、しかも学生の身分では周囲のスタッフの扱いも違って大変だったろうなと思う。


1話目の衝撃

沖田×華 透明なゆりかご より引用

令和4年の調査では1位がん2位心疾患3位老衰…。
高齢化が反映されていて、4位が脳血管疾患。
だけど実際は…。

国家試験で答えるのなら、この通りだと思う(今は高齢化が進みすぎて老衰が3位に割り込んでるけど)。
ただ、計上されない死亡数としてアウス(中絶)があるという…。

これは私も知らなかった。このランキング自体は知っていたけど、まさかカウントされない数字に中絶された子どもが存在していたなんて。衝撃だった。

中絶の背景にはその数だけ理由や事情があるのもわかる。
作中(地域性や時代もあるとは思う)では、母親の再婚相手から性加害を長年受けてきたことで妊娠してしまった娘の話なども出てくる。

そして作者(主人公)はバイトの身でありながら、その中絶された胎芽(胎児になる前の状態)の処置を行う。

命の生まれる産院では、消える命と生まれる命がたえず交錯する…。


オムニバス形式でどこからでも読める

以降は、妊娠中や出産間近の患者たちがそれぞれの事情を持って産院に来院することで、主人公がさまざまなケースに遭遇する話が多い。

オムニバス形式でスキマ時間でもとても読みやすい。

高校生で周囲に知らせず子どもを産み、産院に捨てに来た母親というには幼すぎる子や…。

虐待されていた作者の同級生が産院に来たと思ったら妊娠していて、その同級生が自分の母子手帳から自身を虐待していた母親の気持ちに思いを馳せたり…。

不妊治療のため婦人科を通院する妻だけど、不妊の原因が夫の乏精子症(精子が少ない病体)のためで、その後妊娠した妻を疑い自分の子じゃないと追い出す夫の話だったり…。

出産=おめでたい明るいイメージが強いだろうけど、リアルを知っているからかそれだけでは済まないストーリーの連鎖。

命は素晴らしいと思えるくらい感動する話もあれば、一応はオチはついたけどこれじゃ報われないと思える話もある。

沖田×華 透明なゆりかご より引用

感情が動かされる話が多くて、、今後も読み進めていくのが楽しみ。

個人的に「産院の医師の奥さんが以前担当した妊婦の子を無事取りあげられなかった(死産)だったことを反省して、自分の子で野球チームを作る夢を奥さんに求める話」ある意味で心に残った。

1人で9人を出産&子育てってどれだけ大変だと思ってるんだ…1人だけでも心身ともにボロボロになるのに…。
6人産んで40代なのに60代にか見えない元美人だったらしい奥さんの描写が、デフォルメな絵柄でもキツかったー。

産婦人科医という立場でもわからないんだなあ…。
その後の後日談で出ていった奥さんと和解し、当時では珍しい、多忙な産婦人科医で男性でありながら育児に参加していたらしいことを思うと悪気はないんだろうけど。。


まとめ、今後も少しずつ読み進めていくぞ

とまあ、こんな感じで色んな意味で心に響く話が多くて、毎日無料チケットが貯まるのを楽しみにログインしているのでしたー。
子どもが欲しい人や妊娠中に読む話としては重ためかもしれないけど良作でした!

今は全9巻中5巻目なので、今後の話も楽しみですね。

おしまい。


原作。これはドラマ化もされてるらしい。

ドラマ。第73回文化庁芸術祭賞テレビ・ドラマ部門大賞受賞とのことでちょっと気になってる。
どこかで配信してないかな。

↑作者のX(Twitter)

ではでは。

いいなと思ったら応援しよう!

ばくの子
よろしければ応援お願いします! 頂いたチップは新しいコンテンツ購入などに使い、創作やブログを書く上での活動費に充てさせていただきます。

この記事が参加している募集