劇場版BLUE GIANT(ブルージャイアント)は最高の映画だった。
2月17日公開の映画ですが、今更ながら観てきましたー。
友人のオススメで知った作品だったので、知ったのが3月、観に行ったのが4月という遅めの視聴でしたが、これは本当に観て良かった。
公開から2ヶ月近く経つのに、映画館の中はほぼ満員という。リピーターもいるんだろうなあと思いました。これは刺さる人にはめっちゃ刺さるはず。
※ネタバレあり
あらすじ
まずあらすじから↓
3人全員が主人公
宮本大 (ミヤモト ダイ):ジャズの天才。3年前に始めたサックスを担いで単身上京する主人公。
玉田俊二(タマダ シュンジ):宮本の影響でジャズに目覚める素人からスタートのドラマー。
沢辺雪祈(サワベ ユキノリ):ピアノ教室の子どもで4歳からピアノを弾く才能あるピアノマン。小説版の主人公らしい。
それぞれがそれぞれのジャズへの想いを持ち、ジャズバンドを組み、世界一のジャズプレイヤーを目指す。
天才、宮本大
本当に全員が主人公なんですよ。むしろ主人公の宮本大は、天才で感覚派なので心理描写が他より少なめ(読者が共感しやすいもう2人の方が描写が多かった気がする)でした。ただ、ジャズへの想いは一番熱い。理論ではなく情熱だけでジャズプレイヤーの道を一直線て感じです。演奏シーンと音が本当に凄いんですよ。素人だから語れないけどほんと。映画館で観て良かったと思える演奏をしてくれます。※CGは除く
天才の友人、玉田俊二
玉田は主人公の演奏を聴いたことでジャズに目覚め、一緒のバンドを組みたいがためにドラムを始めるいちばんの素人。でも作中だけでも成長ぶりがよくわかって応援したくなります。
最初のドラムシーンは玉井の体力的にもドラムがキツそうだし、技術も未熟で音ズレがあるんですが、それがどんどん良くなってくるんですよ。素人だけど視聴者にもそれがわかる。
特に、JASSファンのおじいちゃん(名前はわからない)の「君の成長を見るために聴きにいている」というニュアンスの発言には感動しました。3人の中でいちばんの素人で、技術的には未熟なのかもしれないけど、それだけに伸びしろがある。それをちゃんと見ていてくれた人がいたのか…って感動してしまいました。BLUE GIANTはファンの脇役がちゃんとそれぞれの想いを持ってJASSを応援してくれていて、その経緯がわかるところが良いですね。
天才を認めるクールなピアノマン、沢辺雪祈
それと沢辺雪祈。
このキャラは絶対いちばん人気だろうなーと思いながら観ていました。これはズルい。すずめの戸締まりの芹澤にも思ったけどキャラがズルい。こんなん好きになるでしょ絶対。
4歳から14年間ピアノを弾いており、大学でもその実力が認められている。本人もそれを自覚しており少し傲慢さが見えるところがあり、カッコつけなのであまり自分のダサいところを曝け出さない。感情、感覚の宮本とは対照的に理論で勝負するタイプです。
理論派なところやカッコつけな性格が祟って、ソロでは同じような演奏をしてしまう。小さい頃の体験から勝たなくてはいけないと思っている。そのために失敗したくない気持ちが強い。
だから、プロ目線で「小手先でつまらない」演奏をしてしまう。それは沢辺の課題でもあって、それを作中で自身が天才と認める宮本、小さい頃から憧れていたステージ、SO BLUEの運営のおじさん(名前がわからない)に指摘され葛藤する。それからの成長が見どころでした。
それと、最後の展開。
なぜか最後の展開が起こる前、つまらない演奏を克服した沢辺に何か起こるんじゃね??という予感がありました。こんなに円満な展開になって、何かが起こらないわけないし、サイレンの音が何故か大きめに聞こえるし、工事現場でバイトなんかしちゃってるし、これはもしかして…と私がハラハラし出したあたりであのシーンがやってきました。嫌な予感が当たってしまった。。
だけどSO BLUEのアンコールの片手ピアノは本当に圧巻でした。
理論派で失敗しない演奏をしがちな沢辺が、片手というハンデを持ってもソロで自分の内臓をぶちまける演奏をする。最後の演奏シーンは、問題のCGシーン(後述)も少なく、やたら音楽らしいファンキーでカラフルな抽象的描写が多めだったのですが、それは全員の心情を反映していたからだし、沢辺の心情をより反映していたからなのかなと。
ちなみに沢辺は、映画の小説版の主人公で、サンプルで冒頭しか読んでいないのですが、音が色をもって見える「共感覚」的な能力を赤ん坊の頃から持っていたような描写から始まります。気になる。
絶対この小説は読まねば…。と思いました。
だって映画が終わって、調べたら原作で宮本のその後が描かれた続きはあるし、沢辺雪祈視点の映画のノベライズはあるしで、これはもう勢いに乗ってポチってしまうやろ。そういう作戦やろ。と思わずにはいられませんでした。
ディズニーでよくある、アトラクションの後に用意されたショップ作戦ですよね。観客の気分が最高に盛り上がったところでショップへ誘導する…。
慎重な私でもサントラを聴く&再視聴することを決める&沢辺の小説をポチる&原作で続きもいつか読む…まで決めてしまいました。
そして問題の演奏シーン(唯一の不満)
事前に「映画のストーリーや音楽はすごく良いんだけど、演奏シーンでいきなりCGになって動きがおかしいし、楽器の演奏と音ズレしていて微妙。」というコメントを聞いていて、さらに映画を観た人たちのネタバレなしレビューでも同じような意見がちらほらしていたので、覚悟はしていました。
音がすごく良い!ジャズに詳しくない自分でも凄さが伝わってくる演奏でした。(演奏は実際のプロの方がされているそう)映画館で観る価値があると思います。
ただ聞いていた通りCGは微妙。
演奏の途中でアニメがCGに変わるんですけど、これが何と言うか昔のプレステのCGキャラのような作り込みの甘さ。何より楽器を弾く指や息遣いタイミングと実際に聞こえてくる音のズレが気になる…。最後の演奏シーンは割とCGが少ないしカラフルで良いんですけど、なぜなのか。予算なのか。
でも最高の映画だった。
まとめ
でも逆を言えば気になるのはここだけです。ストーリーや演奏、他は全て最高。
音楽と人を通じて成長する姿を見せてくれる作品でした。こんなに良いとは思ってなかった。
ただ映画が安い日だし観に行くか、くらいの気持ちでしたけど最高でした。観終わった時はスタンディングオペレーションしたい気分でした。最後まで席を立つ人はいなかったし、最後のエンディングも聴き入っていられた。
私はつまらない映画だと意識がどこかへ飛んでゆくこともあるのですが、それもなかった。
良い作品に出会えたなあと、教えてくれた友人に感謝です🙏✨
ついでに、10%サラリーマンの話
脇役なんですけど、無名の大学生(1人は高卒)ジャズバンドのビラ配りで、大のビラ配りを受け取ってくれたサラリーマンが地味にお気に入りです。
「ジャズなんて知らないしなあ。」というサラリーマンに、宮本大が「じゃあこの演奏を聴きにきてくれる可能性は何%?」と聞くシーン。サラリーマンは「10%くらいかなあ」と答えるのですが、なんとその夜、演奏をジャズバーに聴きにきているんです!
その後も、脇役ではあるんですが、地味にJASSを応援してくれていたのか、念願のSO BLUEでの演奏にも聴きに来てくれているのです。(2万もするらしいのに)
あの10%サラリーマンが…と地味に感動しながら観ていました笑
沢辺の小さい頃の憧れの女の子やバーのママ。脇役たちが愛おしい。良い作品。
おわり。
サントラもある。これはYouTube premiumで聴けるので帰ってから聴いていました。