見出し画像

「タコピーの原罪」を再読した感想と考察

※ネタバレあり⚠️
※※ヘッダーはタイザン5のタコピーの原罪より引用



2年ぶりの再読

2022年にジャンプ+で連載していた作品。
元々好きだったけど、2024年冬にアニメ化のニュースを聞いて再読してみた。

藤本タツキのルックバックやさよなら絵梨を読んだ時にも思ったけど、漫画なのに映画のような雰囲気を感じさせる作品 なので、映像化はめちゃくちゃ楽しみだった。
イメージは夏だけど、いつ公開されるのか楽しみ。

タコピー可愛い。声がハム太郎だ…。


物語後半で時系列が判明

タコピーの原罪の見どころの一つは、SFらしく時系列のパズルが解けてゆくドキドキ感や、タコピーの介在によって未来が変わってゆくことだと思う。

時系列をわかりやすくまとめているポストがXにあったので引用させていただく↓


おはなしから始まる

この話は最終回付近になるまで、誰もが相手の話を聞いていないというディスコミュニケーションな登場人物ばかりだ。

しずかは直樹やタコピーの話を聞かないし、まりなはしずかの話を聞かない。直樹だって最初は兄の話を聞いていない。「おはなし」ができない。

その状況が変わるきっかけを作ったのは直樹の兄である潤也だ。
まりながタコピーに殴り◯される世界線で、純也が弟直樹に何か悩んでいるだろうと話かける場面。ここでやっと東「直樹」という下の名前が出てくる。直樹の名前を呼んだのは兄の潤也だけで、母親ですらキミ呼ばわりをしていた。
直樹からの呼び方も潤也→お兄ちゃんへ変わっている。

潤也と直樹がちゃんと「おはなし」したことによって、直樹がしずかの罪を被ろうとしていたのを思いとどまり、タコピーに「人は良いところも悪いところもある。そんなの当たり前だ」と教え、それは結果としてタコピーの背中を押し、ハッピーカメラで最後のタイムリープをする流れを作ることになる。

純也が直樹としっかりコミュニケーションを取ったことによって、タコピーとしずか、その後最後のタイムリープでしずかとまりなが「おはなし」できるようになっている。コミュニケーションが取れるようになっている。

この作品の中で、何度も「おはなし」という言葉が出てくる。
助けてあげようとするよりも、お互いに「おはなし」をすることで状況が良くなっており、作品全体としてコミュニケーションをとることの重要性が示唆されているように思う。

SFのタイムリープものを読んでいて私はよく、実は他の登場人物もタイムリープしてるのか?とかタイムリープが起こっているのは本当に作中の描写のみなのか?と考えてしまう。それくらい潤也の人生2回目感が凄い…。
優秀すぎてこの人が兄弟というのは確かにキツい。比べられたら堪らない。

直樹がタコピーに言った「兄貴とケンカでもしてみろって」というのは「もっと早くに兄と話していれば良かった」という気持ちの表れで、もっと早くに兄と話していれば母親の不器用さにも気づくことができ、しずかに母や兄を投影して関わり合いになることもなかった。

しずかとまりなが仲直りする最後の世界線では、直樹もしずかに惹かれていない…。


仲直りリボン

結局最終回でも、今までと変わらずしずかの両親は離婚している。
まりなの両親も同じく離婚しており、同居している母親は毒親で顔には母親につけられたらしき傷があるまま…。

だけど良いところもあって、チャッピーは老犬になって生きているし、まりなは自分なりに母親との付き合い方をわかってきている。

そしてしずかとまりなが仲直りできている。

SFで不思議なハッピー道具があったからといって、全部を完璧に矯正することはできない。だけどそこにはタコピーが現れるまでにはなかったハッピーがあるのだと感じる。

上下巻表紙のしずかとまりなの小指には1話目で登場した仲直りリボンが巻かれている。

タイザン5 タコピーの原罪より引用

タコピーの原罪は、しずかとまりなが仲直りするまでの物語だった。

おしまい。


その他細かいこと

ハッピーカメラの重さ

1話目に出てきた「ハッピーカメラが意外と重たい」というのは、「まりなを殴り〇せるくらい重たい」という伏線だったんだなー。

最初は何気なく飛ばして読んでいたけど再読して、「あ、重いから凶器になったんだ」と気づいた。


女子高での再会

まりなとタコピーが出会う世界線と最終回で、しずかはまりなと同じ女子高に通っている。
一人暮らしで、女子高で…ってどういう状況なんだろう。後ろ盾がないと私立っぽい女子高には通いにくそうだから母親が再婚してたのかな?


掟を何度も破るタコピー

タコピーは1話目で「決して異星人の手に道具を委ねてはいけない」という掟を破ってしまう。時系列として出会う順番は、まりな→しずか→のはずなので、掟を破る世界と記憶を消される世界線の順番がおかしくないか?と思ったけど、掟って「道具を異星人に委ねてはならない」とはまた別の掟か…。

それと掟を破ったのは1話目の仲直りリボン1回ではなく、直樹がまりなの死体を隠すために思い出ボックスを渡してしまうところも同じ。
タコピー大概掟破りマンやな…。


しずかとまりなの所業

まりなは12話の2022年のきみへで母親を〇してしまった時に「ごめんなさい…小4のとき、ちゃんと〇さなきゃだった。久世しずかを…」とつぶやいている。
〇す気で虐めてたわけじゃないとは思いたいけど、実際この世界線でもしずかは自殺未遂をしている。チャッピーを殺そうとした時は101回繰り返してもその流れを変えることができなかった程まりな→しずかへの筋違いな憎悪は強い。
最終回はハッピーなんだろうけど、それに至るまでのお互いの所業がなかなかにエグい…。

しずかも東京の義姉妹に手をかけているっぽいし、直樹を唆したりはしているし…まりなが死んだときは喜んでいるし…お互いヤバい笑


ドラえもんの幻影

後から知ったのですが、ドラえもんっぽいなあーと思っていたら本当に作者がドラえもんをモチーフにして作った話だったんですね。

作者のインタビュー↓


関連商品とSNS

今回は紙の漫画で買ったけど、こうやって記事を書いているとやっぱり電子版読みやすいなあと思う。

タコピーグッズ可愛い!
アニメ化でグッズもっと増えないかなあ。
↓こんな感じにムニムニできるタコピーの癒しグッズほしい…。

ジャンプ+で4話まで無料で読める。
映像化でまた無料公開するのかな?

ではでは。

いいなと思ったら応援しよう!

ばくの子
よろしければ応援お願いします! 頂いたチップは新しいコンテンツ購入などに使い、創作やブログを書く上での活動費に充てさせていただきます。

この記事が参加している募集