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東日本大震災、スカイツリー開業など、2011~2015年の出来事とヒットおもちゃ

この連載では、昭和27(1952)年から平成19(2007)年まで55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の2代目社長を務めた私が、おもちゃ屋の歩みや懐かしいおもちゃのお話を書いています。

今回は2011年(平成23年)~2015年(平成27年)までのおもちゃを紹介します。
この頃にはさくらトイスを閉めてから数年が経っていて、商売の目ではなくおもちゃ自体が良いおもちゃかどうかを見るようになりました。


2011(平成23)年、東日本大震災の影響でアナログおもちゃが注目される

3月11日に東日本大震災発生して、被災地では壊滅的な被害を受けました。
この年の最大の出来事と言えると思いますが、他には、同じころ、量販店のジャスコとサティが「イオン」名称に統一されました。
4月の新年度から、小学生5・6年生の外国語活動が必修化されました。
そして7月、テレビのアナログ放送が2003年から開始されたデジタル放送に完全移行されました。

おもちゃ業界ではピクチュアパズルで有名な「アポロ社」をエポック社が買収しました。エポック社の創業者はアポロ社の社員でした。「アポロ社」は後継者問題等があり、元社員が立ち上げたエポック社のグループに入りました。

任天堂が「ニンテンドー3DS」を2月に25,000円で発売し、わずか半年後の8月には価格を1万円下げて、15,000円にしました。
当時の岩田社長の弁では、「より多くのお客様にニンテンドー3DSで楽しんで頂きたい」とのこと。早く購入されたお客様に対しては「アンバサダープログラム」というそれなりの代償がありました。

東日本大震災の被災地ではライフラインが断たれ、避難所生活となりました。また、東日本では計画停電などもあった影響で、電気を使わないジグソーパズルやカードゲーム、盤ゲーム(ボードゲーム)等のアナログゲームも見直されました。盤ゲームは、現在では一つのブームになっています。

タカラトミーが「プラレールアドバンス」を発売。レールは従来のレールを使って、今までのプラレール電車2/3のサイズでよりリアルでスタイリッシュにしました。子どもの頃に遊んだレールのみを持っている人が多く、大人にもプラレールを楽しんでほしいと言っていました。

私がこの年注目したのは「にんげんがっき」(タカラトミーアーツ)です。2人以上で電極部分を持ち、持った人同士がお互い触れあったりすると、音が出ます。コミュニケーションツールとしては当時、画期的なおもちゃでした。

2012(平成24)年、スカイツリー開業で、おもちゃも登場

東京スカイツリー開業やロンドンオリンピック開催、そして山中伸弥氏がノーベル生理学医学賞を受賞するなどの出来事がありました。

東京スカイツリーの開業で、スカイツリーに関連した商品も発売になりました。ナノブロック(カワダ)やジグソーパズル(やのまん)1/1000東京スカイツリー(ジョイパレット)などです。
公式キャラクター「ソラカラちゃん」グッズも発売され、ソラマチ内にも「アンパンマンキッズコレクション」「プラレールショップ」「トミカショップ」「メディコム・トイショップ」等のキャラクターショップやアトラクション施設など、おもちゃ関連のショップが多数出店して話題となりました。

スマートフォンの普及が急速に進みましたので、スマホ専用アプリ「おさわり探偵なめこ栽培キット」やスマホと連動したおもちゃ「スマートペット」・「絶叫!お化け屋敷ゲーム」(バンダイ)「赤ちゃん専用iケース」(マテル・インターナショナル)「スマートヘリ」(CCP)など沢山発売されました。

また、レゴの新シリーズで、女児向けブロック「レゴフレンズ」も発売されました。

2013(平成25年)、スマホ・タブレット型のおもちゃが増える

この年から地下鉄でメールやインターネット接続が可能になり、テレビは東京スカイツリーから本放送が開始となりました。

おもちゃも大人の流行に従ってスマホ型・タブレット型の商品が多数販売されました。
ジュエルペット(セガトイズ)、タップ・ミー(メガハウス)、あそんでまなべる!アンパンマンカラーパッド(バンダイ)等です。

キッズカードゲーム機が男女共にますます人気になり「ポケモントレッタ」「オレカバトル」「アイカツ」「プリティーリズム」に子どもたちが並んでいました。

画像は「トイ・ジャーナル」よりお借りしました

また、ゆるキャラ、ご当地キャラが注目を浴び始め、続々と商品が発売されました。
にぎにぎボールくまもん(増田屋コーポレーション)、日本全国ご当地キャラクターすごろく(ハナヤマ)、ゆるキャラオールスターズ日本ぶらり旅ゲーム(タカラトミー)などです。

2014(平成26)年、妖怪ウォッチ・アナ雪が大ヒット

この年は「妖怪ウォッチ」や「アナと雪の女王」が出て、おもちゃ屋さんは活気づいていました。
私たちの生活では消費税が4月に5%から8%に上がりました。

「妖怪ウォッチ」は2012年にコロコロコミックで掲載され、2013年の7月にゲームソフトが発売されました。そして2014年の1月よりテレビ放送が始まり、バンダイが「DX妖怪ウォッチ」「妖怪メダル」を発売して大ヒットとなりました。
東京駅に期間限定ショップがオープンしましたが、お客様が押し寄せ、商品不足でオープン2日で休業となってしまいました。

「アナと雪の女王」は3月に映画が公開されました。
私は、冬の話なのに春に公開なんて時期が中途半端に思ったのですが、劇中歌の「レットイットゴー」が話題を呼んで、夏休みも超えてロングラン上映となりました。
ドール・ぬいぐるみ・グッズなど幅広く商品化され良く売れました。
特に目についたのがタカラトミーのドレスで、ハロウィンでもないのに姉妹で着て歩いているのを良くみかけました。

女児ホビーではハナヤマの「ファンルーム」が話題を呼んでいました。お母さんやおばあさんもハマって家族で作っていたようです。

室内で遊べる砂遊び「キネティックサンド」(ラングスジャパン)がアマゾン通販の玩具部門1位となりました。

2015(平成27)年、インバウンド需要で日本のおもちゃが人気に

北陸新幹線開業。
インバウンドの需要が高まり、メイド・イン・ジャパンのおもちゃが人気となりました。
「ガンプラ」(バンダイ)、「お米のつみき」(ピープル)、各社アンパンマン商品。特に中国人はアンパンマン商品の画像を売場のスタッフに見せて、指名買いしたそうです。

画像は「トイ・ジャーナル」よりお借りしました

前年は2大ヒットキャラクターが売上げを牽引していましたが、2015年はこれと言った商品がなく、アンパンマン商品、シルバニアファミリー商品、レゴ商品等の定番品が幅広く売れたようです。

バンダイからは「かみさまみならい ヒミツのここたま」が発売。

エポック社からは、「野球盤3Dエース」が発売されました。

現行商品 野球盤3Dエース スーパーコントロール

この5年間は災害があったり、妖怪ウォッチやアナと雪の女王の大ヒットがあったり、おもちゃの需要の高低が激しかったように思います。
全体的には国内の少子化でおもちゃの需要が低くなりましたが、中国人などのインバウンド効果で売り上げは伸びたようです。

なお、今回も、玩具業界紙「トイジャーナル」さんから、画像をお借りしました。
トイジャーナルのホームページには、おもちゃの新商品やイベント情報などの読み物も多数掲載されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。


昭和27(1952)年から55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の思い出話をご紹介しています。こちらもぜひご覧くださいね。

編集協力:小窓舎

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