成年後見制度と不動産売買
最近ですが弊社で対応する不動産売買で、売主様が「成年被後見人」であるケースが2件程ありました。
これまで弊社の取引で売主が成年被後見人というケースはありませんでしたので、備忘録として〝売主が成年被後見人の際の不動産取引の流れ〟を記します。
①「成年被後見人の居住用財産売却には家庭裁判所の許可を要す」
成年被後見人の住宅や、居住していた住宅を売却するには家庭裁判所の許可が必要となります。
居住用物件に該当するか否か判別が困難な場合もあるので、家庭裁判所に確認を取った方が無難です。
弊社の経験したケースでは、1件は農地の売却であったためこれには該当せず許可は要しませんでした。
もう1件は、居住用不動産を共同相続されたうちのお一人が成年被後見人でした。
相続された物件は10年以上居住されておりませんでしたが、一応居住用物件でしたので、家庭裁判所に判断を仰ぎましたところ、居住用物件には該当せず後見人が代理になり通常の売買でOK、許可不要との回答になりました。
②「成年後見人であることを登記事項証明書にて確認する」
成年後見人は法務局に登記されているので、成年後見人には登記事項証明書を取得してもらい、確認を行います。
土地・建物の登記事項証明と違い、誰でも取得できるわけではありません。
取得できる方は次の通りです。
・成年後見人、保佐人、補助人、任意後見人(任意後見受任者)
・成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人、任意後見監督人
・本人の配偶者、本人の4親等内の親族
・未成年後見人、未成年後見監督人
・職務代行者、財産管理人
・本人の相続人、本人の相続人以外の承継人
③「成年後見人に成年後見監督人がついているか確認する」
成年後見監督=文字通り成年後見人を立場の人です。
監督人がついていれば上記②の登記事項証明書に記載されていると思いますが、私は実際にこのケースには遭遇したことがありません。
念のためにも、成年後見人にも確認行った方が良いでしょう。
最後に・・・
今のところ成年後見人が付いている居住用不動産の売買には遭遇しておりませんが、今後そのようなケースの際には、家庭裁判所の許可に要する時間や費用などあれば追記したいと思います。
というわけで完全に自身の備忘のための記録でした。