映画のこと 3/3
もうひとつ、私にとって 欠かせなかった テレビ映画のシリーズがあります。それは『刑事コロンボ』。主演のピーター・フォークさんが好きで、テレビのロードショーで放映されるたび、長年 観ていました。
様式があって、まず「事件」が 起きます。ですから 犯人はわかっています。その 安心感。
また、恐い‥と 画面から目をそらしても、オッケイなのです。小学生だった私も、あとから ついていくことができる。
なぜなら、やがて よれよれコートの 小柄なおじさん「コロンボ」さんが 現れてくれるから。
現れると、ちょっとした 会話や、短い対話を 少しずつ重ね、「できごと」の核心に せまっていく。そんなとき、コロンボさんは『ことば』だけでなく、抑えの効いた 豊かな表情・自然な仕草で「コロンボさん自身」の 気持ちの動きや 変化を(直接、テレビの前の私に)伝えてくれるから なのでした。
🚬 🚬 🚬
名推理で 事件は解決される。そう “ わかって ” いるから、ドキドキしながらも 観つづけけることができました。
観つづけられたから、子どもの私にも、大人の コロンボさんの気持ちが 少しずつ、感じられるようになりました。
それは、幼い私にとって「信頼」や「約束」という言葉に とても近い “ 感じ “ だったと思います。私は、その感じが好きで、その感じのなかに安心していました。
コロンボという「役」を通した ピーター・フォークさんの まなざしの真剣さ。相手の目には 直接 映らない、ふとした やさしさ。
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現実の 大人たちは、考えていることも、感じていることも、すききらいも、幼い私には、とても分かりにくかったから。
画面に コロンボさんが出てくると、ホッとしました。
そして、少し大きくなると、コロンボさん以外の役を演じる ピーター・フォークさんに ビックリ‼️ し、また あたらしい世界が 広がっていくことになります。。
解決の スッキリ💡 を もとめ、ときに、言いようのないザラザラ‥ のまえに黙り、放映のたび、くりかえし観た『刑事コロンボ』のシリーズ。こわく、厳しい内容でしたが、私にとって必要な出会いだったと 思います。