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ご馳走様🍷子育ての終わりに
「子供は育てるんじゃない、育つんだ!」
子供は生まれた時から完璧、
子育ては引き算だ(子供の本来持って生まれた才能を、親の価値観で潰してしまう)
子育てにいろいろ悩んていた時に
ある方から教えられた事だ。
母の日の前日に、
息子に、息子が住む地域の人気のイタリアンのお店に招待してもらった。
料理好きのオーナーがワンオペで作るイタリアはどれも美味しいんだと、
よく息子から聞いていた。
息子がそんなに絶賛するイタリアン、是非行ってみたい。
小さなお店なので、完全予約。1ヶ月も前から予約を入れて、ようやくこの日、お店に行く事が出来た。
カウンター席と、
奥に4人掛けのテーブル席が一つ。
テーブル席には小さな子どもを連れた家族連れが、誕生日のプレートを前に歌を歌っている。
カウンター席は、私達が席について、満席になった。
息子は、よくこの店に行くと見えて、
オーナーの態度は常連さんへの対応だ。
「今日は、彼女じゃないんだ?」
「いつも彼女と来てくれるんですよ。」
「今日は何を飲む?ビール🍺ね」
ビールが好きな事もよくわかっている様だ。
私はスパークリングワインを選んで乾杯する。
手際よく、
「母はお肉食べないんで、お肉抜いて前菜の盛り合わせをお願いします」
と、最初のオーダーを入れてくれる。
個人でお店をされているので、いろんな要望に答えてくれる様だ。
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そして、バーンと
何を食べようか?迷ってメニューを見ている私達の間には、モリモリ大盛りの前菜。
「えっ!前菜こんなに多いの?」
「なんかこれで結構満足な量だね。」
と言う私に、
「ね、これで一人900円って、安いでしょ?」
と息子。
その後ガーリックトースト、
金目鯛のアーモンド焼き、
春の彩りパスタと、頂いた。
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もう、お腹いっぱいだ〜。
テーブルの上が、
きれいに片付けられたら、目の前に
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バースデープレートが、
「え、え、えー」
オーナーはずっと目の前でお話ししながら他のお席のお料理など作っていた。
いつの間に、しかもタイミング抜群だ。
バラはカシスのアイスだ。手元を見せない様に、花びらを削って盛り付けていた様だ。
息子の気の利いた計らいにも、
オーナーのスマートなお料理提供にも驚いてうれしくなった。
息子はこの店に来ると、最後にグラッパで締めるらしい。
私も一緒に、デザートと一緒にグラッパを頂く。
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お料理はリーズナブルと言ってもお酒もたくさん頂いたので、
テーブルの下でそっと食事代を渡すと
「薄給ですけど、このくらいは払えるから、母の日と込みって事で」
と、照れた様に笑う。
私は両親の脛をいつまでもかじっていて、こんな粋な計らいをした事があったろうか?
イヤ!してない、
友達や、彼氏との食事の方が楽しくて、家に寄り付かず、いつまでも両親には心配をかけていた。
友達に、息子にバースデーを祝ってもらったと話すと、
「いい息子さんだねー」
と羨ましがられる。
母は、
「あんたは子供に恵まれたね」
とよく言う。
私も、優しく気の利く、
いい息子だと思う。
いい息子に育ったと思う。
そう、育ったのだ。
私が育てたんじゃない。
「育てた」なんておこがましい。
私の息子はこんな優しい息子に育ちました。
神様、息子を私のところに預けてくれて、ありがとう。
この子と毎日一緒にいられて、成長を間近に見せてもらえて、本当に楽しかった。
息子が、彼女のご両親の自宅に、よく招待されると言う。
食事をしながら、そんな話になった。
きっと彼女のご両親にも気に入ってもらえるだろう。
もう一緒に住んでいるわけではないが、息子が新しく家族を作って独立する日も近いのかもしれないと思うと、寂しくなった。私がこの子を育てたわけじゃないのに、ましてや私のものでもないのに。
子育ては、もう終わり。
とっくに終わっていたのだけど、まだまだ子どもと思ってだけど、もう終わり。
子どもというより、立派な大人に育って、人として対等になったと思った。
あなたを信頼しているし、尊重している。
いつもいつまでも幸せであってほしい。
そしてご馳走なんてしなくていい、たまに母の話し相手になってほしい。
「今日はご馳走様でした!ありがとう」
寂しさが少し混じった、清々しい夜だった。