木原音瀬先生のサイン会に行って来ました
待ちわびた新刊。
新刊が出るという喜び!
惑星という二文字のタイトルには、どんな意図が込められているのだろう?
連載開始時、正直、びっくりした。
主人公の語り口のつたなさ、たどたどしさ。ある種の違和感。
今度は一体何が始まるのだろうかと、ワクワクした。
そして毎回驚かされる。
「こうきたか……」と。
惑星という小説は、結論から言うと木原先生らしい、ザクザク心に刺さるお話でした。私はこのザクザク感が好きです。浄化される……。
主人公の弱い立場や、彼を愛していたであろう両親の存在。そしてカンさん。搾取される側の人間のお話だと思って読みましたが、想像以上に描き方が「ああ……そう……」ということの連続で、おそろしい世界ではあるんですが、これが現実よねとも思える。
惑星はどこか心にすとんと落ちてくる素晴らしい作品でした。
海か……海はいいよね……でも、海って……。
はあ……いいよね、こういう小説。
今回は惑星発売記念にサイン会が行われるとのことで、ありがたくも参加させて頂き、そのレポートをまとめることにしました。
サイン会参加券の購入
まず、ここから大騒ぎでした(はやい)
買えなかったらどうしよう……!?
一大事である。
購入開始の日どころか、購入開始になるその日までめちゃくちゃ緊張していた。木原音瀬という作家は私が若い頃からひたすら読み続けてきた作家であり、私の長いBL歴の中でも峻烈な存在だったのである。
結婚してもうBL読むのお休みしようかなと断捨離した時ですら、木原先生の本だけは大切に東京へ一緒に持ってきた。それくらい人生なのである。
なので、ここでサイン会のチケットが買えなかったら――…というマイナスのイメージは、人生の損失に近いものなのだ。
木原先生のファンはみんな同じだったと思う。Xのタイムラインを見ていたら、私のように命がけな人を何人かお見掛けした。同志よ……。
購入はパスマーケットでの先着。
よりによって、購入開始のタイミングには旦那との外出中で、もちろん旦那は私が木原先生が大好きなことを知っていてチケットを取るべく協力してもくれた。
良かった、A-1という輝かしい速さでチケット獲れました。
そして、当日。
お誕生日である同志と共に、いざ新宿へ。
会場は新宿ブックファースト
サイン会って、いつも緊張してしまって何喋ったか分からなくなるんですけど、今回のサイン会は入れて頂ける名前が自分で選択できるということで、思い入れのあるペンネーム「さくらら」にすることにしました。
前回のコゴロシムラのサイン会では本名だったので、ありがたい。
先日の庭で先生と言葉を交わしていたこともあり、さくららさん、と名前を読んで頂けてとっても嬉しかったです。
長く使っている名前なので、実は本名よりもさくららの方が長い付き合いで、そんな名前を先生が呼んでくれてサインしてくれるなんて ……
生きていて良かったよね!!!!!
むしろ、先生がお元気そうで嬉しい。
お隣にいた担当さん?編集部の方なのかな、いい感じに会話を導いてくださり、新刊の感想などをしどろもどろ喋り、あっという間の時間が過ぎ去り。
サイン会のあとは、同志である友がお誕生日だったこともあり、喫茶店をはしごしてケーキを食べ珈琲をがぶがぶ飲みました。
木原先生の作品のお話、いっぱいできて楽しかった……。
先生のお話を同じ解像度で出来るの、楽しすぎる……。
好きな木原音瀬作品
どれも良いというか、体調(?)やメンタルによって何を読むか変えていく……というのが私と友人のスタイルなのですが、ファン皆さんどうでしょうか。
サイン会の時間まで、辛い時にどれ読む?みたいな話になり。
私は灰の月、友人はCOLDシリーズ。
逆に優しい気持ちになりたいときのおすすめは牛泥棒です。
待ち時間に木原作品トークをしながら、緊張を解していく。先日の庭でも先生とお話できていたから、いい感じに緊張もほどほどで順番を待てました。
ちなみに、私はこれまで苦手だったオメガバース設定、アオイトリで克服しました。御伽噺みたいな世界のオメガバースではなく、過酷極まりない世界の鋭さに惚れた。初めてあの作品で男性妊娠描写がいけるようになったというのも、きっと稀なことではあるのかも知れませんが……すさまじい話だったよね。
美しいこと、箱の中や檻の外、秘密、まやま、パラスティックソウル、1番なんて選べない!いやあROSE GARDENの攻め好きなんだよな、とか……色んな思い入れのあるそれぞれの作品。性癖的にはマジュヌーンや鈍色の華も好き。
みんなみんな好き。
皆さんはどれが好きですか?
個人的に夜を渡る月の船がじわりじわり、お気に入りです。十人十色、皆さんそれぞれの木原作品エピソードがあるんじゃないかな。
人間という生き物の持つどうしようもなさや、過酷さ、それらが装飾された夢物語ではなく1人の「人間」として描かれたリアルさは心を抉り、癒し、揺さぶります。木原先生の作品は先生にしか書けないと思うし、だからこそ深く深く時を経ても脳裏に残る気がします。
人によっては運の悪い男だな……とか思っちゃうのかも知れない木原作品の男たち。でも、そういう身近な不幸に導かれたキャラが恋をしたりしなかったり、恋をすることで不幸になることや、針の筵に辿り着いてしまったり、というのがいいと思う。人生は華ばかりではない。辛く、甘く。
うーん、やっぱり大好きだわ〜。
最後に
サイン会を開催して下さった木原音瀬先生、編集部の方、新宿ブックファーストの方、本当に素敵な機会をありがとうございました。
またサイン会をしてほしい、Xで定期的に呟いていた悲願でした。
そんな悲願を叶えてくださり、素敵な作品を生み出し続けてくれる先生には感謝しかないです。
これからも木原音瀬先生の作品を楽しみにしております!
(なんだか、ファンレターの〆みたいになってしまったわね)