【フリーBGM】凍てつく運命の果てに Frozen Fate【かっこいい・戦闘・メロディアス】
凍てつく運命の果てに Frozen Fate の解説記事です。
ちょっと切ない系のロックを作ってみたいなと思ってBmのメロディが思い浮かんだので作り始めました。
この曲は、「クイ」といって、アクセントが小節の頭からではなく前の小節に食い込んでいるパターンの曲です。
よくある形ではあるのですが、楽譜に打ち込むのは全部前小節に8分音符打って次の小節の1音目とタイで結んで・・という作業が大変でした。。。
なので結構時間かかってしまった。。。
あとは、恐れず結構ギターのバッキング音を使いました。他の楽器に紛れてそこまで違和感のないギターの音にできたかなぁと思ってます。
もう一つ、工夫したのは基本のドラムパターンです。
これも決して珍しい手法ではないかもしれませんが、最初はちょっと詰まったようなリズムから普通の8ビートに変化させることで逆に、8ビートの疾走感が出るように考えてみました。
技術的なことはこんな感じ。
あとは妄想です。
🍀🍀🍀
冷たい風が頬を刺すように吹き抜けた。エリゼは林の奥深く、立ち枯れた木々の間にたたずんでいた。肩に掛けたマントが風に揺れ、彼女の細い体を守るにはあまりに頼りなかった。
幼少の頃から叩き込まれた「任務を完遂せよ」という言葉が頭を離れない。それは暗殺組織として裏社会で密かに活動する秘密結社「深淵の葬送歌」の掟だった。
彼女は無数の命を奪ってきた――奪うように命じられた。それを疑うことは許されなかった。だが、手を汚すたびに心の奥底で、何かがささやく声が聞こえていた。
「こんなことを続けて……私は何になるの?」
その声を無視するのは簡単ではなかった。
目の前の凍てついた湖面に映る自分の影。それが不意に揺らぎ、黒い影が立ち昇る。それは魔獣だった。かつてエリゼの手によって滅ぼされた者たちの怨念が、彼女を襲う形をとったのかのようだった。
「……これも、罪の報いってこと?」
魔獣は低く唸り声を上げ、氷を砕きながら地を這うように迫ってくる。その鋭い爪は殺意そのものだった。エリゼは咄嗟に身を翻し、訓練で覚えた動きで距離を取る。だが、その瞳は揺れていた。
「……このまま、終わってもいい」
その瞬間、轟音が響き、魔獣の足元に一閃の光が走った。エリゼは驚きに目を見開き、背後を振り向く。そこに立っていたのは、彼女がよく知る人影――イライザだった。
「何やってんの、エリゼ!」
彼女の声は冷たさと怒りを含んでいたが、その中に微かな優しさがあった。イライザは再び刀を構え、魔獣に向けて狙いを定める。
ぶっきらぼうな言い草とは裏腹に、アメジスト色の和装を纏い、鮮やかな抜刀術で一撃で魔獣をしとめる姿は、雪の中の美しい結晶めいてまるでひとつの絵画のようだった。
「ここで立ち止まるつもりなの?私たちには、そんな贅沢を選ぶ余地はない。」
エリゼは震える声でつぶやいた。
「……私は、もうこんなことをしたくない……誰かを傷つけるために生きるなんて……」
イライザはその言葉に眉をひそめた。彼女の声には鋭い冷たさが混じっていた。
「甘い考えね、エリゼ。私たちは「深淵の葬送歌」。その手が何を奪ってきたのか、自分が何のためにここにいるのか、わかっているはずでしょ。」
イライザは一歩踏み出し、エリゼをまっすぐに見つめた。その瞳には迷いがなかった。
「後戻りはできない。私たちは深淵の葬送歌の一員として生まれ、育てられた。その運命を呪うのも、受け入れるのも自由だけど、どちらにせよ、これからも戦い続けるしかないの。」
「でも、お姉ちゃん……」
エリゼの声は震えていた。イライザはその言葉を遮るように、さらに言葉を続けた。
「生きるためには選ぶしかないのよ、エリゼ。生き残るために誰かを犠牲にする。それがこの世界の理であり、私たちの役割なの。」
その言葉にエリゼの胸は締めつけられるように痛んだ。それでも、イライザの言葉の裏にある何かを感じ取った――それは彼女自身が背負ってきた重い覚悟だった。
「だから私は言うわ。戦いなさい、エリゼ。傷つけたくないと願うなら、それでもなお戦うしかない。私たちを守るために。」
イライザはエリゼの手に軽く触れると、冷たい声を和らげ、こう続けた。
「もしどうしても耐えられなくなったら、私がそばにいる。だから、あなたも私を支えて。」
その言葉に、エリゼの中でかすかに何かが灯った。それが希望なのか、それとも覚悟の一部なのか、彼女自身にもわからなかった。