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【フリーBGM】呪われた剣を手に With the Cursed Blade in Hand【切ない・虚しさ・ピアノ】

呪われた剣を手に With the Cursed Blade in Hand の記事です。

この曲は基本的にEm→F→G→Amという割とメジャーなコード進行を繰り返していく曲です。

ちょっと調べてみたら、この進行は「3456進行」といって、J-POPやロックで使われることが多いそうです。
音が徐々に上昇していくため、希望や前向きな感情を表現するのに適しているらしいです。

なんで3456というのかというと、Cメジャーキーのとき、
(=)を1として、3,4,5,6番目のコード進行だからということらしい…
(こういう言い方最近知った…)

ドレミファソラシド
CDEF GABC
1234 5678

私は音楽理論に詳しいわけではないのですが…
音楽にかぎらず創作物ってこういう感じで、作者の「技術」と「感覚」がミックスされてできているんだなと思うと、面白いですよね。まさに人間の左脳と右脳みたい。

🍀🍀🍀

この曲は、今私が作っているRPGの「エリゼ」というキャラクターをイメージして作ったものです。

彼女は幼い頃に裏社会で暗殺などを行う秘密結社に引き取られ、
暗殺者」として訓練されて育ったという背景があります。
(いきなりぶっ飛んだ展開ですみません…)

なので、そこには希望も前向きな感情もなく、あるのは、ただ任務を遂行するだけという虚しさ。

普通は希望を感じるはずのコード進行の中に、無機質だけどどこか儚げな感じを出したかったので、機械的な感じで「シドソー↑」というアルペジオを入れました。
(私、「シドソー↑」の響きが好きなので他の曲でも入れてしまいがちです…)

ピアノのアルペジオ

ピアノが2つのパートに分かれているのは、左手の音が左から、右手の音が右から聞こえてほしかったから。
(これは…もっといい方法あるのかな…)


トレモロ

次のメロディ間のストリングスは、手が震えている感じを出したかったので、Violins Tremolo, Violas Tremoloという音色を使ってみました。

トレモロ」という奏法は、 同じ音や複数の音を連続して小刻みに弦をこすって演奏する奏法。
剣を握る手が震えている様子を表せたかな?


遠景

次のシーンは、ちょっと画面が引いて風景を映しているイメージ。

プロの暗殺者である彼女の後ろには、彼女に命を奪われた人々を象徴する剣が地面に、無数に刺さっています。


流れ落ちる涙

最後のピアノは、また画面が寄って、彼女の頬に流れ落ちる涙を表現しました。
少し音をはずして、その涙に違和感があるようにしたのは、彼女が哀しみを感じるはずがないからです。

どうして涙がこぼれるのかわからない。
自分には感情がないはず。

そういう戸惑いをもちつつも、前に進むしかなくて、そのまま歩みをすすめていきます。

ゲーム内では、このエリゼは当初悪役なのですが、とあることをきっかけにプレイヤー側の仲間になります。

仲間との出会い、一緒に冒険していく中で徐々に人間的な感情を育てていくというのが彼女のテーマになり、それをうまく描けたらなぁと思ってます。


あ、もちろんこれはフリーBGM素材ですのでもしお使いいただける場合は、そういうの関係なく、感じて頂いたようにお使いいただけると嬉しいです!

解説はここまで。
この先は、エリゼが暗殺者として活動していた頃のお話。
(妄想激しいのでご注意を…)

🍀🍀🍀

月明かりが、彼女の手に握られた剣を冷たく照らしている。それは、これまでに数え切れないほどの命を奪い、血を吸ってきた。

倒れた兵士たち。彼らの息絶えた瞳が、エリゼの中で不意に何かを呼び覚ました。しかし、彼女自身、その「何か」が何であるのか、説明することはできなかった。

「また……終わった。」

低くつぶやく声には、感情は含まれていなかった。そう――エリゼは感情を持たないはずだ。彼女にとって、感情は必要ないものだった。それが教え込まれた真実であり、彼女自身も信じてきたことだった。

だが、その瞬間――
頬を伝う温かいものに、彼女は思わず手を伸ばした。指先に触れる液体を見下ろすと、それが「涙」であることに気づいた。

「……これは……?」

エリゼは戸惑い、震える指で涙を拭った。しかし、その行為が終わると同時に、次の涙がまた流れた。止まらない。理解できない現象が、彼女を困惑させた。

「私は……涙を流す理由なんてないはずなのに。」

声が震えていることにも気づいた。普段の冷静で均一な響きではなく、何かが壊れたような不安定な音だった。それがますます彼女を混乱させた。

目の前には散乱した屍。自らの手で命を奪った対象であることは理解している。それが「任務」だったのだから。それ以外の何ものでもない。

「でも……なぜ……」

剣を握る手に力が入らない。剣は冷たく、重く感じられた。それは彼女の一部であり、これまで何の疑問もなく使ってきた道具のはずだった。しかし、今はその重みが罪そのものに感じられる。

「私には……涙を流す理由なんて、ない」

エリゼは震える声で自分に言い聞かせた。涙が流れる理由を、理性で解き明かそうとする。しかし答えは出なかった。ただ胸の奥で何かが痛むような感覚があった。それは痛みではない、だが、言葉にできない重さが彼女を押しつぶしていた。

涙が止まらない中、エリゼは呟いた。

「もし……私が“人”だったら……この涙に、何か意味があるの……」

答えのない問いに囚われたまま、エリゼは静寂に包まれて立ち尽くした。
剣の重みを感じながらも、その重さ以上の何かが彼女を押しつぶそうとしていた。

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