【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第7話
第7話 植え付けられる恐怖
※体験談に基づいて構成されていますが、実在の人物や団体などとは
一切関係ありません。
「おはようございます。珍しいですね。遅刻ギリギリだなんて。
目の下のくま凄いですよ?寝不足ですか?
ご無理なさらないでくださいね。
お部屋が空いてる時ならリラクゼーションルームで休んでいただいても
大丈夫なので。」
リラクゼーションルームという言葉だけで若干の反応を見せてしまう。
たった一度の体験でパブロフの犬化が始まってしまっているかのようだ。
ただでさえ、ハイリの吐息交じりの声は何故だかいつも股間に響き、内側からじんじんと波立ってくる。その色香は直に脳へと刺激を与える。今の僕にとってはまぎれもなく凶器でしかないのだ。
昨夜は、読んで字の如く「地獄」を味わった。
1人暮らしの散らかった部屋に戻るとすぐにでもシャワーを浴びたかった。
身体中から情事の残り香を放っている気がしてならない。
だが、服をすべて脱ぎ終わり股間に取り付けられている無機質な装具を見るとそんな気は一気に失せた。やはり現実だ。非現実的な物が確かにここにはある。
少なくとも今夜だけは受け入れるしかない。風呂には入れると言ってはいたが濡らしても良いもんなんだろうか?
小便は先端に穴が開いているので問題はなさそうだが、出しづらそうだ。
今日のところは汗拭きシートで簡単に済ませることにした。
その後はかなりの疲労感に襲われ飯を取ることなくフローリングにへたり込こんだ。
「これ、お尻用のクリームでぇぇ~す。
寝る前にちゃんと塗り込んでくださいね~
塗らないで寝ると朝痛いですよぉ~
痔になっちゃうかもです!これマジでぇ~す!
あ、あとかなり水分不足になってますから。
脱水症状起こしちゃうと大変なので
これお風呂上りにでもちゃんと飲んでくださーいねっ。」
少なからず痛みがあり不安になった僕は、寝る前に言われた通りクリームをまだ少し熱を持っている蕾にたっぷりと塗り込んだ。ヒヤッとした温度で火照りも少し落ち着いてくる様な気がした。
それとレイに渡されたドリンク。見たことのないラベルだったが丁度冷蔵庫に飲み物が何もなかったのでありがたく飲んだ。
甘ったるい中に後から来る酸味。エナジードリンクの類だろうか。が、炭酸は感じない。美味くもないが不味くもない。グビグビと喉奥に流し込みながらいつものようにTVを点ける。これといって見たい番組があるわけでもなく適当に流しっぱなしにするだけ。記憶に残らない程度に眺めているだけだ。
画面の中ではくだらないニュース番組が雑音を発生している。
誰がどうのこうの、あの事件がどうのこうの。こんなのを毎日放送しているのが未だに理解できない。偉そうなコメンテーター達がやんややんや言うだけの何が面白いのだろうか?それでも一人暮らしの相手には丁度いい暇つぶしにはなる。落ち着きなくリモコンを適当に押し続けると、お決まりの通販チャンネルに目が留まった。
「自宅にいながら手軽にダイエット!
貴女も美しいくびれを手に入れましょう!」
これ、何年前から売ってんだろ。まだ人気なのかこの乗馬マシーン。
こういうの売れるんだなぁ・・・
1人暮らしでTVと会話する、いつもと変わらぬ乱雑な部屋の中。
「これ、従来のよりもさらにお腹に効きますね~!
新しいこの動き!腹筋だけじゃなく背筋、太もも、体感全てに
効果を実感できます!この上下運動と左右の振り!!」
確か10年くらい前は大人気だったグラビアアイドルが今だに健在なたわわな胸を揺らしている。若い時より少しふくよかになった今の方が断然エロ味が増している。熟女好きというわけではないはずだが、最近はますます肉付きの良い年上志向に拍車がかかっているのは否定できない。
激しく揺れ動くマシンの動きから振り落とされないよう必死に体重移動で耐える様は自らが率先して快楽の方向へ腰をグラインドさせている騎乗位状態そのものだった。
ん?やけに顔が熱い、汗も滲んできた。明らかに心拍数が上がり呼吸も荒くなってきている。おかしい。思春期でもあるまいしこんな通販番組でここまで興奮するわけがない。
ふと目の前のペットボトルに目が行く。まさかこのドリンクのせいか??
ボトルを手に取ってみたがラベルに表示されている外国語表記はまったく理解できない。それから5分もしないうちに地獄の扉は開かれた。
「痛たたたっ!!」
下半身の筒状のケースの中で肉棒が膨張を始め出したのだ。
ミチミチと中から筒状のケースを押し破る様に暴れ出している。
「痛い、痛い、痛いっ!やばいやばいやばいっ!!」
きっちり施錠されているこの装具を外す術はない。僕は慌ててTVを消すと
キッチンの冷凍庫から氷を取り出し、銀色の装具へ押し当てた。
金属製の筒はすぐに冷たくなり中で暴れる肉棒を少しづつ宥めていく。
何も考えちゃだめだ。無心に、無心になれ・・無心に。。
ポタポタと氷が溶けだす頃、前の方ばかり気になっていたが後ろが何やらむず痒い事に気が付いた。気づいた時にはもう遅い。
もはや蕾が強烈な掻痒感を発している。
「なになになになに??これなんなんだよぉっ!!!」
ウェットティッシュで慌てて拭き取ったがまるで効果はない。
逆にティッシュの摩擦が更に疼きを高めてしまっている。
その疼き、痒みに反応してまた前が膨張し始める。また新しい氷を押し当てる。充分に冷えてくると今度はまた後ろの掻痒感が追いかけてくる。
どうにかどちらかを鎮めてもまたどちらかが藻掻き始める。
ドリンクとクリームの効果が無くなるまで耐えるしかない。呼吸が苦しく眩暈がする。完全に騙された。イソの指示なのかレイの悪戯なのかはわからないが、これは明らかに度を越している。
息も絶え絶えに僕は一睡もすることなく朝を迎えた。
無意識の生理現象である朝勃ちの激痛は正にトドメの一撃、一層言葉に出来ないものでこのままボトリとちぎれ落ちるのではないかと涙と冷や汗がボタボタと流れ落ちた。
納得しがたいが、ただ勃起するだけの事に強い恐怖を覚え込ませるには一晩は充分過ぎる時間だった。
「お、おはようございます。すいません・・・寝不足で・・。」
「睡眠はきちんと取らないと良くないですよ?
今夜は棚卸もありますし、そんなんじゃ体がもちませんよ・・・
何か朝まで夢中になっちゃうものでもあるのかしら?」
棚卸・・そうだ今日は店舗内と倉庫の在庫を調べねばならない。
いつもより長い一日になる。
果たしてこの状態でこなせるのだろうか?
額に粘着性のある汗が滲み出す。
「今日は出勤前にちゃんと処理してきましたか?
慣れないうちは出勤前にちゃんとお家で済ませて来るよう
お願いしたはずですが。。?」
やばい、これは本当にヤバイ・・今すぐここから離れなければ・・
「あ、あ、すいません。ちょっと疲れててそれどころでは・・・」
貞操帯の上からパンツを履き、そしてスラックス。
見えるほどの勃起は絶対にできない状況。膨らんでいるわけはないはず。
そもそも何で今、そんなことを聞く?なんで今なんだ!?
丁寧な言葉での質問だが単刀直入に言えば、
<ちゃんと家でシコってきたか?>である。
ハイリの艶めいた唇から発せられた言葉は
余計な脳内変換でそれは淫語の響きとなり刺激信号として受信し始める。
そして更に血の巡りは加速していく。
言わずもがな僕の肉棒とそこに着いている金属製の筒との隙間を奪い合う
戦いの幕は切って落とされた。
このままではマズイ。本当にマズイ。
僕は惨事になる前にそそくさとその場を去ろうとした。
すれ違った瞬間に後ろから両肩を軽く触れられ耳元に温かい息を感じた。
「逃げちゃだめです。まだ質問の途中です。
何で処理なさっていらっしゃらなかったのですか?
普段からあまりオナニーはなさらないのですか?
いつもは何日間隔で吐精していらっしゃるのですか?
右手派ですか?それとも左手派ですか?
ローションはお使いになるのですか?それともオナホールですか?
オカズはどんなのがお好みなんですか?
どんなプレイに興奮なさるのですか?」
甘い声が機関銃の如く連続して脳を直接的に弄ってくる。
全身に鳥肌が立ち全身の血が一箇所に一気に集中していく。
「痛っ!痛たたたっ、う、やばっ、やばいっ!」
「どうなさったのですか?
どこか痛いのですか?
どこが痛いか教えてください。ほらどこが痛いのですか?
ちゃんとおっしゃっていただかないとわかりません。
すごい汗ですよ。顔色もだいぶ悪いです。
大丈夫ですか?大丈夫ですか?」
見なくてもわかる。今や、鞭や蝋燭などと同等の攻撃能力を持つ調教具と化した只の筒だった物は昨夜以上に腫れ上がり始めた肉棒を喰いちぎりそうな勢いでギチギチと締め付けめり込ませているだろう。あまりの痛みで気持ちが悪くなる。気が遠くなりかけている。
呼吸が荒くなり肩で息をしている状態の僕を見定めたように、二の矢三の矢が放たれた。
「もしかして、オチ○コが苦しいのですか?
だからちゃんと処理してくるようにお願いしましたのに。
もう我慢できないんですよね。顔に書いてあります。
オチ○コをシコシコ、シコシコ、ズリズリ、ズリズリしたいんですか?
今すぐ、オチ○コシコシコしたいんですか?
シコシコ、ズリズリ、センズリぶっコキたいんですよね?
シコシコ、シコシコ、オチ○コを、ズリズリ、ズリズリ、シコシコ
シコシコ、シコシコ、シコシコ・・・」
ハイリは一向に攻撃の手を緩めない。もはや我慢の限界は超えていた。
「痛い、痛い痛いっ!も、もう無理・・ うげぇぇぇ・・・」
僕は売り場の中その場にドスンと座り込んだ。それと同時に胸や腹にかけて痙攣し喉元を押し上げながら込み上げてくる。
昨夜からまともに食べていなかったので苦酸っぱい胃液だけがビチャビチャと床に広がった。
「あらあら、だからご無理なさらないでって言ったのに。
でもこのくらいでそんな事にになってたらこの先が思いやられますね。」
耳鳴りの中カツカツという靴音が遠くから近づいて来たあたりで全身の力が抜け落ち意識が遠のいた。