桜鼠ゐち

はじめまして。桜鼠ゐち(さくらねずみいち)と申します。 詩やエッセイや官能的な小説を書いています。

桜鼠ゐち

はじめまして。桜鼠ゐち(さくらねずみいち)と申します。 詩やエッセイや官能的な小説を書いています。

最近の記事

【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第12話

第12話 普通と異常 ※体験談に基づいて構成されていますが、実在の人物や団体などとは  一切関係ありません。 「はい、お待たせしましたー!味噌2つね!」 着丼した途端にコレは絶対に美味いとわかる。立ち昇る湯気だけで疲れた 躰と脳を刺激される。 中華鍋でじっくり炒めて香ばしさを付けたスープの上にたっぷりのモヤシ。 そのモヤシもしっかりとした照りが出るくらいラードで炒められているが シャキッと芯の残った絶妙な火入れ。スープのベースは豚骨と鶏ガラの動 物系でほのかに煮干しの風

    • 【詩】何が為に

      欲を出すから無理をする 無理をするから大切なモノがすり減っていく でも欲を出さねば何事も成功しないらしい この手が届く範囲の仲間が毎日腹いっぱいになれる これだけさえも欲と呼ばれるのなら 生きる為の何かを見つけるのではなく 死ぬ為に埋めるモノを見つけなきゃならない 望みや願いは欲ではない 大切なモノの為に ただそれだけの為に

      • 【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第11話

        第11話 ネタバラシ ※体験談に基づいて構成されていますが、実在の人物や団体などとは  一切関係ありません。 自動ドアを出て向かいの自販機の脇を左に折れる。 国道を背にしばらく歩くとT字路の角に暖簾と明かりが見えた。 あそこがイソの言っていたラーメン屋だろう。この周辺はちょっとした歓楽街なのだが1本入った路地ということと、時間的にもほとんどの店の電気は消えていた。人通りも疎らだ。 気まずさも手伝ってろくに会話もせず、すたすたと目的地に向かっているといきなり強く手を握られ、

        • 【詩】対効果

          無駄が無駄であることをどうしてわかるのだろう? 無駄はそんなに忌み嫌われるものだろうか? 無駄を無駄だと突きとめるなんて 出来るわけがないのに そんな物を怖じ恐れても仕方がない 生まれてから死ぬまでの短い時間の中で 何が無駄で何が無駄じゃなかったかなんて 誰にもわかりはしない 費やした時間に価値と意味を持たせたがるのは 他人が勝手にやることで自らがやることじゃない 意味が無いから魅力的で価値が無いからこそ美しい

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第10話

          第10話 無限の始まり ※体験談に基づいて構成されていますが、実在の人物や団体などとは  一切関係ありません。 大量に飲まされたドリンクのせいかレイが作った水溜まりからは独特の臭いが湯気と共に立ち上っていた。 膝立ちの姿勢だった僕のスラックスまでぐっしょりと濡らされている。 「強烈な臭いね。すごい濃い色。流石に飲ませ過ぎたかしら?」 怒りという感情ではないのだろうが、それに似た何か別の感情が僕の心を支配していた。放尿後のヒクヒクとしている尻肉を力強く握りグイっと開くと

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第10話

          【詩】不透明

          声の限り叫ぶあの娘 レールを叩きつける轟音に吹き飛ばされ 届くことのなく朽ち堕ちた言霊は 寂しく冷たく悲しい ガード下の喧騒の中 あの娘が行き倒れたとしても 人ひとり気に留めやしない 誰もが透明ではないのに せめて秋があの娘を抱きしめることを願う

          【詩】不透明

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第9話

          第9話 加虐と被虐 ※体験談に基づいて構成されていますが、実在の人物や団体などとは  一切関係ありません。 「おっそい。もう疲れちゃったわ。  ちょっと椅子持って来てくれない?」 僕は黒いパイプ椅子を広げるとイソの前に置いた。 レイの震えは止まる気配がない。パンパンの胃袋から湧き上がる液体を必死に抑える姿が痛々しい。 涙も鼻水も垂れ流しだが、命令された通り口元からは一滴も垂らすことなく 凄まじい形相で耐えに耐えている。 「不細工な顔でぷるぷる、ぷるぷるしちゃって。みっ

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第9話

          【詩】ひとり

          そろそろ終わらせてしまいたい 名前に縛られたままでは前は向けない 生まれ変わるなら先ずは壊すこと 靴先で躙ればいとも容易いはず その熱も痛みも感じることはない だがそれが如何ともし難い だって私はもうひとりじゃないのだから 私の大嫌いな私を其の実 何よりも愛する私がいる矛盾 白線の内側へ踵を返す落日は遠く

          【詩】ひとり

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第8話

          第8話 悪戯の代償 ※体験談に基づいて構成されていますが、実在の人物や団体などとは  一切関係ありません。 「あんたねぇ・・貞操帯つけてるくせにいちいちフル勃起させてたら  うっ血して本当に腐って取れちゃうわよ?  昨日あれだけ出したのにもう何でこんなになってるの?  せめて一晩くらいはどうにかなると思ってたわ。  かなり精力の強い男だって2日くらいは我慢できるものなの。  まさか、未だにオナ禁とか信じてるんじゃないでしょうね?  オナ禁する奴って想像力だけは馬鹿みたいに

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第8話

          【詩】紫煙

          時計の針が妙に耳障りな真夜中は 裏路地に騒ぎが決まって持ち上がる 硝子戸をずらして湿気た煙を燻らせば 街灯の下に憔悴しきった影が蠢く 擦り切れる追散らかされた足音 帰る方向を失くしたら もはや敵も味方もない 陽が昇れば働きに出る皆同じ肉塊 腹を空かせたまま前へ前へ

          【詩】紫煙

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第7話

          第7話 植え付けられる恐怖 ※体験談に基づいて構成されていますが、実在の人物や団体などとは  一切関係ありません。 「おはようございます。珍しいですね。遅刻ギリギリだなんて。     目の下のくま凄いですよ?寝不足ですか?  ご無理なさらないでくださいね。  お部屋が空いてる時ならリラクゼーションルームで休んでいただいても     大丈夫なので。」 リラクゼーションルームという言葉だけで若干の反応を見せてしまう。 たった一度の体験でパブロフの犬化が始まってしまっているか

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第7話

          【詩】夜行

          ドブ臭い盛り場の外れにある 橋梁の下は腹の虫と泣き声を掻き消してくれる 此処は誰しもが何かを捨てに来るだけの掃き溜め ゴミを漁りその腐りかけの一部から 一日分の生きる道を見つけだす 腫れた頬と折れた歯にどこ吹く風が更に沁みる 殴られて育った僕も いずれ誰かを殴って生きていくのだろうか? 絶望で拝む通り過ぎるだけの夜行列車はいつも綺麗だ

          【詩】夜行

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第6話

          第6話  悪魔の拘束具 ※体験談に基づいて構成されていますが、実在の人物や団体などとは  一切関係ありません。 悲鳴を上げながら何度も、何度も痙攣している。 幽体離脱をしているかのように今の僕の状況が主観的に見えた気がする。 醜態。正にそれそのものであるに違いない。 「壊れる、壊れるぅ、壊れちゃうぅぅぅっぅぅ!!」 ヌチュ、ヌチュッとした音がまるで耳元で発せられている錯覚に落ちる。 「どうかしら? 初めてのお尻の穴の快感は?  発射しないのに絶頂はするでしょ?不思議

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第6話

          【詩】黄昏時

          叶わない幸せと萎れた夢しか 売れ残っていないこの町で ディーゼルの貨物列車が運ぶのは人以外の物 レールの軋む音に混ざって警笛が夕焼けに啼き渡る 震える薄い窓硝子と同じ拍子で 匂い立つ汗とアブラの匂い 否定から始まる恋もある 掻き出したるは個とならざる液

          【詩】黄昏時

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第5話

          第5話  外された枷 ※体験談に基づいて構成されていますが、実在の人物や団体などとは  一切関係ありません。 イソの無駄のない滑面ような淫穴に1つ目の山と2つ目の山が上り下りする様にズブズブと淫靡に出し入れされている。 僕はそこから吐き出される湿度まで感じられるほどの距離でその行為を まじまじと見つめていた。 「あぁ~。。。 私まで感度が上がっちゃてるみたい。  こんな細い玩具でもちょっと気持ちよくなっちゃうかも。」 ヌルりと引き抜かれた玩具にはたっぷりと愛蜜が塗布

          【官能エッセイ】と或るおとなのおもちゃ屋さんのお仕事 第5話

          【詩】余白の残痕

          心と躰の隙間 其処の接着を強める為に 傷をつけたりつけられたり 真裸で夜長を過ごすのは 少しうすら寒くなってきた風が 侘しい私には丁度良いから 台所で煙草を喫しながら 今日も月がないことを確かめる

          【詩】余白の残痕