和の心と個を大事にすることは必ずしも相反しない
武道をやっていると、「ちょっと大変そうだね…」と言われることがある。先生が「カラスは白い。」と言うと、「そうです。」と答えないといけないイメージがあるみたい(笑)
実際には高段位の先生ほど、謙虚で周りの人に思いやりを持っている方がほとんど。
でも、会の中には色んな人がいる。年齢、性別、職業、育児中、、本当に様々。
弓道は個人競技だけれども、実は団体競技的要素もある。5人揃って入場しなければならないのだが、息合い(呼吸)が一人でもずれると、全体の調和が乱れる。それを、審査や試合の時には、初めて会った人たちと合わせていかなければならない。
また、普段のお稽古でも、自分が使った所だけ安土を整えればいいわけではないし、矢取りや的貼りも交代でやらなければならない。弓が引けるということは、だれかの“おかげさま”で成り立っているということ。
自分は忙しいからと、準備も片づけもせず、引くだけ引いてさっさと帰ってしまうのはよくない。お互い様で、毎回必ず余裕をもって参加することはできなくても、せめて準備をしてくれた方に感謝の気持ちを忘れないようにしたい。
また、お掃除の仕方や道場での作法は、たいてい先輩が教えてくれるものだけれど、不文律が多いうえに、そこにそれぞれの個人の考え方も入ってしまうから、教えられた方は「あの人はこう言ったけど、この人はこう言ってた。」と迷うことはよくある。本当に色んな人が(よかれと思って)色んなことを教えてくれる。。。これってきっと道場あるあるなのかもしれないけど、新人さんはこれで悩んで、最悪の場合、この人間関係のために、弓道を続けられなくなってしまう人もいる。
周りの人のサポートあってのお稽古だけど、全ての人の意を汲むということはできない。まずは自分の置かれた環境の中で、どうやればお稽古を続けられるのかを考え、できそうにないことはとりあえず置いておいて、出来ることからやる。もちろん、そこには必ず「いつもありがとうございます。」の気持ちを持ち続けること。そうして余裕が出来たときに、また出来ることを増やしていけばいい。
周りに迎合することを和の心と思ってしまうと、自分が潰されて辛くなってしまう。まずは自分の気持ちを知ること。自分を大切にしてこそ、周りへの感謝の気持ちが芽生え、和を大切にすることへと繋がっていくのだと思う。
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hosizorasyuhuさん、素敵なお写真お借りします。