
本日の一曲 vol.416 プロコール・ハルム イン・ヘルド (Procol Harum: In Held 'Twas in I, 1968)
プロコル・ハルムは、1967年の大ヒット曲「青い影(A Whiter Shade of Pale)」でデビューしたイングランドのバンドです。
この曲は、バンドの作詞担当のキース・リード(Keith Reid, 1946年10月19日生~2023年3月23日没)さんが作詞、バンドのリーダーでありボーカルのゲイリー・ブルッカー(Gary Brooker, 1945年5月29日生~2022年2月19日没)さんが作曲したもので、ともかく大ヒットしました。後日談として、21世紀になって、オルガンを演奏していたマシュー・フィッシャー(Matthew Fisher, 1946年3月7日生)さんが著作権を主張して法廷闘争になったということがありました。結果、フィッシャーさんの言い分は認められたようです。
松任谷由実さんがこの曲の大ファンで、カバーしています(2012)。演奏にはご本家が参加し、リリース後のツアーでも同行しています。
この「青い影」のインパクトが強くて、プロコル・ハルムはポップスのバンドだと思われがちですが、本日ご紹介する「イン・ヘルド」が収録されたセカンド・アルバム「月の光(Shine On Brightly, 1968)」からはロビン・トロワー(Robin Trower)さんも参加し、「イン・ヘルド」では組曲構成を採用して、プログレッシブ・ロックの最初期を飾る楽曲を発表していました。
この「イン・ヘルド」の原題は、「In Held 'Twas in I」ですが、この曲は以下の組曲になっています。ChatGPTによる歌詞の内容も付記しておきます。
a) 涅槃の一瞥(Glimpses of Nirvana)
語り手が仏教の修行者や宗教的な導師に出会い、その教えに耳を傾けます。語り手は悟りを得ようとするものの、完全には理解できず、人生の旅が続くことを示唆しています。b) サーカスでティータイム('Twas Teatime at the Circus)
サーカスの様子がユーモラスに描かれており、人生の不条理さや混乱を象徴しています。語り手は、その中で意味を見出そうとしますが、結局混乱が続きます。c) 狂気の秋に(In the Autumn of My Madness)
語り手は、人生の秋(晩年)に差し掛かり、過去の過ちや失ったものを振り返りながら、無情な時の流れに対する悲しみや諦めを表現します。d) あなたの魂に目を向けて(Look to Your Soul)
語り手は、自分自身と向き合い、内なる魂を見つめるように促します。ここでは、物質的な世界から離れ、内面的な成長や悟りを得ることの重要性が強調されています。e) グランド・フィナーレ(Grand Finale)
歌詞自体は非常に短く、むしろ音楽によって感情の高まりや悟りの瞬間が表現されています。この部分は、組曲全体を締めくくり、語り手がある種の悟りや結論に達したことを象徴していると解釈されます。
そして、この題名は頭韻法(アクロスティック、acrostic)によるものになっています。つまり、各組曲の歌詞の頭の部分をとってきています。
"In the darkness of the night…a) Glimpses of Nirvana
"Held close by that which some despise...the 6th verse of a)
"′Twas tea-time at the circus...b) ′Twas Teatime at the Circus
"In the autumn of my madness...c) In the Autumn of My Madness
"I know if I'd been wiser...d) Look to Your Soul
余談ですが、このアルバムは、日本では当初アルバム1曲目「これが真実!(Quite Rightly So)」のタイトルから「これが真実!」という同名の邦題でリリースされていました。
現在では、「月の光」となっています。
(by R)
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