本日の一曲 vol.218 スーク 4つの小品 (Joseph Suk: 4 Pieces for Violin and Piano, 1900)
作曲者のヨセフ・スク(Josef Suk)さんは、1874年1月4日にボヘミア(現在のチェコ共和国)に生まれ、20世紀前半まで活躍した作曲家・ヴァイオリニストです。そのお孫さんもヴァイオリニストのヨゼフ・スーク(Josef Suk)さんで、同じ名前ですが、Wikipediaの日本語表記は、前記のとおり、すこし違っています。
ヨセフ・スクさんは、ドヴォルザークさんのお弟子さんで、しかも、1898年、ドヴォルザークさんの娘さんであるオティーリエさんと結婚しましたので、ドヴォルザークさんの義理の息子さんということになります。同年、オティーリエさんとの間にこれもまた同じ名前のヨセフさんという息子さんを儲け(このヨセフさんがヨゼフ・スークさんのお父様です)、おそらく幸福な結婚生活を送ります。
本日ご紹介する「4つの小品」は、オティーリエさんと結婚した直後の1900年という幸福な時期に作曲されたものです。演奏は古い録音ですが、ジネット・ヌヴーさんのものをご紹介しますが、ジネットさんについては、また日を改めてご紹介したいと思います。
第1曲 Quasi Ballata バラードのように。バラードとは物語のことです。
第2曲 Appassionato 情熱的に。
第3曲 Un poco triste 少し悲しく。
第4曲 Burlesque バーレスク。バーレスクとは、パロディのことです。おそらくパガニーニの無窮動(Perpetuum mobile)が元の曲だと思います。
弊社が主催する「小林真菜ヴァイオリン・リサイタル」ではこの曲を演奏します。乞うご期待!
ところが、その数年後には悲しい出来事がスクさんを襲います。1904年5月1日に義理の父であり師でもあるドヴォルザークさんが亡くなり、1905年にはオティーリエもお父様の後を追うように亡くなってしまったのです。
スクさんは、ドヴォルザークさんが亡くなった直後から、その追悼のため、交響曲の作曲に取り組んでいましたが、その途中で、奥様も亡くなってしまったことから、この交響曲は、義理の父と妻の追悼曲となってしまいました。スクさんは、悲しみから逃れるため、作曲に没頭したようです。交響曲の題名は、旧約聖書の詩の天使とされている「アズラエル」、調性は悲劇的なハ短調(c moll)でした。第1楽章の作曲の途中にドヴォルザークさんが亡くなり、第4楽章と第5楽章が奥様に捧げられています。
第1楽章 Andante sostenuto アンダンテ・ソステヌート
第2楽章 Andante アンダンテ。
第3楽章 Vivace ヴィヴァーチェ。
第4楽章 Adagio アダージョ。
第5楽章 Adagio e maestoso ゆっくりと雄大に。
(by R)