本日の一曲 vol.225 ショルティ モーツァルト 交響曲第41番 ジュピター (Mozart: Symphony No.41 "Jupiter" K.551, performed by Georg Solti & Chamber Orchestra of Europe)
モーツァルトのジュピターは、モーツァルトの最後の交響曲で、番号は41番、ケッヘル番号は551、1788年、モーツァルト32歳、死の3年前の作品です。
ジュピターは、ほぼ同時期に作曲された後期3大交響曲と言われる39番 K.543、40番 K.550、41番の最後を飾る交響曲です。宇野功芳さんによれば、39番は「玲瓏」、40番は「哀愁」、41番は「壮麗」という言葉で表現されています。
モーツァルトの時期による作風は、だいたいオペラと同期していると考えてよいかと思います。モーツァルトの3大オペラである「フィガロの結婚 K.492」「ドン・ジョヴァンニ K.527」「魔笛 K.620」が目安となります。宇野さんに倣って言ってみると、フィガロが「愉悦」、ジョヴァンニが「沈鬱」、魔笛が「霊的」といったところでしょうか。
後期3大交響曲は、ドン・ジョヴァンニと魔笛の間の時期に作曲されたもので、39番と40番はどちらかというと「ドン・ジョヴァンニ」寄りだと思うのですが、41番のジュピターは、どれにも当てはまらない特異な立ち位置にあるような気がします。序奏からしてベートーヴェンのように立派ですし、曲が終わった後もとても充実感が得られるような曲なのです。
演奏は、イギリス・ロンドンを本拠地とするヨーロッパ室内管弦楽団の演奏で、指揮はゲオルグ・ショルティさんです。あまり名盤として取り上げられない演奏ですが、キビキビとしていてオーソドックスなものですので、ぜひお聴きになってみてください。第1楽章は「アレグロ・ヴィヴァーチェ」のハ長調で、それはそれは立派な楽章です。
第2楽章は「アンダンテ・カンタービレ」のヘ長調で、まさに高貴なカンタービレですが、途中で沈鬱な短調が入り込みます。この沈鬱な部分は「ドン・ジョヴァンニ」的かもしれません。
第3楽章はハ長調のメヌエットです。
終楽章は、モルト・アレグロのハ長調で、高揚感とともに終結します。
「本日の一曲」では、モーツァルトの交響曲について2回ほど取り上げたことがありましたので、こちらもご覧いただくと幸いです。
(by R)