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本日の一曲 vol.234 ジャパン オール・トゥモローズ・パーティ (Japan: All Tomorrow's Parties, 1978)

ジャパンは、デヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)さん、スティーヴ・ジャンセン(Steve Jansen、デヴィッドさんの弟)さん、ミック・カーン(Mick Kahn)さんの3人を中心に結成されたイギリス・ロンドンのバンドで、1978年にファースト・アルバム「果てしなき反抗(Adolescent Sex)」をリリースしてデビューしました。

ジャパンは、最初に日本で人気に火がついたいわゆる「ビッグ・イン・ジャパン」のバンドでした。当時の熱狂については、noteで室田尚子さんが記事を書いておられますので、紹介します。

ジャパンは、同年にセカンド・アルバム「苦悩の旋律」をリリースしますが、ファースト・アルバムと同じ路線であり(ただ、ミック・カーンさんがフレットレス・ベースに持ち替えたと思います!)、日本以外ではあまり売れませんでした。

その後、「ディスコの父(Father of Disco)」ジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)さんとタッグを組み、1979年にシングル「ライフ・イン・トーキョー(Life In Tokyo)」をリリースしました。デヴィッド・シルヴィアンさんは、このあたりから、喉をしぼり出すような歌い方からナチュラルなバリトンの声で歌うようになりました。

ただ、ジョルジオ・モロダーさんとのタッグはこの1曲だけに終わってしまいましたが、次は、ロキシー・ミュージック(Roxy Music)のプロデュースを手掛けていたジョン・パンター(John Punter)さんとサード・アルバム「クワイエット・ライフ(Quiet Life)」を制作、リリースしました。スティーヴ・ジャンセンさんはジョン・パンターさんのことを「6人目のジャパン」と呼び、その信頼の厚さを表しています。本日ご紹介する「オール・トゥモローズ・パーティー」はこのアルバムに収録された曲です。

この曲のオリジナルは、アメリカのバンド、ヴェルヴェット・アンダーグランド(The Velvet Underground)のデビュー・アルバム「ヴェルヴェット・アンダーグランド・アンド・ニコ(The Velvet Underground & Nico)」に収録され、ファースト・シングルにカットされた曲で、ソングライティングはルー・リード(Lou Reed)さんによるものです。ヴォーカルはニコさんで、明日のパーティーに着ていくドレスがボロ服しかない、と嘆く内容であり、現代版シンデレラと言われていました。

オリジナルをお聴きになると、ニコさんの歌い方の特徴がすぐに分かると思います。評価は二分されると思いますが、ジャパンとしては、この曲をカバーというよりは、リメイクしてみたいと思ったのではないでしょうか。

「クワイエット・ライフ」では、デヴィッド・シルヴィアンさんの歌い方は、すっかり「ライフ・イン・トーキョー」でのバリトンの歌い方にシフトしてしまい、サウンド的にも、よりエレクトロニカなものになり、これが成功して、このアルバムは好セールスを記録しました。

(by R)

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