本日の一曲 vol.255 バッハ フーガの技法 (Johann Sebastian Bach: Die Kunst der Fuge d moll BWV1080, 1751)
バッハのフーガの技法は、バッハの晩年に作曲が開始され、楽器の指定もなく書き進められて、バッハの死により未完となってしまった作品ですが、「クラシック音楽の最高傑作」とも呼ばれたりします。
「フーガの技法」とは曲名であり、テクニックなどの名前ではありません。CDのトラックの表記にも「Contrapunctus(コントラプンクトゥス、対位)」と聞き慣れない言葉が書かれていて、とっつきにくい感じがします。
20世紀のバッハ音楽の最大の演奏者グレン・グールド(Glenn Gould)さんがアルザス人の医師でありオルガニストだったアルベルト・シュヴァイツァー(Albert Schweitzer)さんの言葉を引用して、「フーガの技法」について語ったことがあります。
「シュヴァイツアーがいいことを言っている。『静寂で厳粛な世界、荒涼とした色も光も動きもない世界』と」「平穏さと敬虔さ。鮮やかな色彩を避け、代わりに薄い灰色が無限に続く。私は灰色が好きだ。」「あらゆる音楽の中でこれほど美しい音楽はない。」
グレン・グールドさんは、「フーガの技法」を何回か録音していますが、楽器の指定がないことから、オルガンで演奏したこともありました。
グスタフ・レオンハルト(Gustav Leonhardt)さんはチェンバロで演奏します。
オーケストラによる演奏では、ヘルマン・シェルヘン(Hermann Scherchen)さん指揮による録音があります。
また、端正なジョルディ・サヴァール盤があります。
弦楽四重奏による演奏では、昨年スペインのカザルス四重奏団が来日して演奏しました。
今年になり、フーガの技法の素晴らしい演奏会があり、noteでも「眠り猫」さんと粟野さんが記事を書かれています。
アリス・アデール(Alice Ader)さんは、1945年パリ生まれのピアニストです。アリスさんの「フーガの技法」は2007年にライブ録音がリリースされています。
「灰色の世界」をお楽しみください。
追伸(2024/04/23)
noterの「多田 信吾」さんからオランダバッハ協会のパフォーマンスをご紹介していただきましたので、ここにもご紹介します。オランダバッハ協会は昨年まで佐藤俊介さんが芸術監督を務めていました。
この演奏を視覚化した動画がありましたので、これもご紹介します。ステファン・マィノフスキ(Stephen Malinowski)さんのYouTubeチャンネルです。
(by R)