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本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第60番「うすのろ」 (Sinfonia No.60 "Il distratto", 1774)

交響曲第69番は、ハイドンさんがエステルハーザ劇場の音楽監督をしていた時代である1774年ころの作曲のもので、日本語での愛称が、「うかつ者」「迂闊者」「愚か者」「うつけ者」「迂闊な男」「うっかり者」「ぼんやり者」「うすのろ」などいろいろあります。

日本語版ウィキペディアによると「本作は、フランスの劇作家ジャン=フランソワ・ルニャールが1697年に書いた喜劇『ぼんやり者』(Le Distrait)をドイツ語に翻案した『うかつ者』(Der Zerstreute, 全5幕)のために書かれた劇付随音楽(ハイドンはこの劇のために序曲・各幕の間の間奏曲(4曲)、およびフィナーレを作曲し、カール・ヴァール(Karl Wahr)一座によって1774年にエステルハーザで上演された)を交響曲の形にまとめたものであり、そのため本作は、他のハイドンの交響曲と異なり全6楽章から構成される。」とのことです。

この「うかつ者」という喜劇は、リアンダーという「うかつ者」が主人公で、ラブレターを送る相手を間違えたり、結婚式の日取りを忘れてしまったりするドタバタ喜劇です。この曲の特徴は、予期しない休止、中断、突然の強弱の変化などを使い、「うかつ」「うっかり」「ぼんやり」「うすのろ」を表現しているそうです。発表当時から大変人気のあった曲だったのですが、ハイドンさん自身はあまり好きではなかったようです。

交響曲第60番ハ長調「うすのろ」(Sinfonia No.60 C Dur, Hob.I:60)
第1楽章 Adagio - Allegro di molto 大げさなファンファーレで始まり、静かになったかと思ったら突然フォルテになったり、展開部ではオーケストラが間違えて交響曲第45番「告別」の冒頭の短調部分を始めたりします。
第2楽章 Andante 登場人物の2人の会話で、弦楽器の優美なメロディーが若くて上品な女性、ホルンとオーボエのとぼけたメロディーが放蕩者だということです。途中、フランスの民族舞踊のパロディーが出現します。
第3楽章 Menuetto & Trio 厳格な夫人とうすのろを描写したものと思われます。
第4楽章 Presto 急いでいるかドタバタの描写と思われます。
第5楽章 Adagio 優美なアダージョから突然ティンパニとトランペットを伴ったファンファーレが鳴り響いたり、舞曲になったりきます。
第6楽章 Finale. Prestissimo さあ大団円かと思いきや、オーケストラが調弦を始めます。そして、いよいよ大団円となります。

スイス・バーゼルでのハイドンさん生誕300年記念企画、ジョヴァンニ・アントニーニ(Giovanni Antonini)さん指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコ(Il Giardino Armonico)の演奏です。

サム・ウェラー(Sam Weller)さん指揮アンサンブル・アペックス(Ensemble Apex)の演奏です。この動画の解説に劇に沿った楽章ごとの説明がありました。

(by R)

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