本日の一曲 vol.276 ピアノ・トリオ集補遺 ラヴェル ピアノ三重奏曲 (Maurice Ravel: Piano Trio, 1914)
モーリス・ラヴェルさんのピアノ三重奏曲が作曲された1914年は、1912年にバレエの大作「ダフニスとクロエ」を苦労して完成させ、1913年には作曲はほとんどせずに、イゴール・ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky)さんの「春の祭典」のリハーサルに立ち会った後、第一次世界大戦が勃発した年になります。ラヴェルさんは、1915年にはトラック輸送兵として第一次世界大戦に出征したのですが、1917年1月には最愛のお母様がなくなってしまいました。
このピアノ三重奏曲は、「ダフニスとクロエ」をようやく完成まで漕ぎ着けた後、戦争に出征する直前に作曲されました。そして、戦争と母の死からとてつもないダメージを受ける前という時期に作曲されたものです。
演奏は、ヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz, Violin)さん、グレゴール・ピアティゴルスキー(Gregor Piatigorsky, Violincello)さん、アルトゥール・ルービンシュタイン(Arthur Rubinstein, Piano)さんのトリオの演奏をご紹介します。
ラヴェルさんのお母様はバスク人なのですが、第1楽章にはバスク舞踊を題材としています。
第2楽章の「パントゥム(Pantoum)」とは、マレー語の詩の形式だそうです。
第3楽章の「パッサカリア(Passacaille)」とは、ブラームスの交響曲第4番第4楽章などで採用されているバロック音楽の一形式です。
第4楽章の終曲は、5拍子と7拍子が錯綜する華麗な楽章です。
先日、ご紹介した来る6月9日の東風平高根さんとチュラトリオの演奏会では、チュラトリオがこの曲を演奏しますので、是非お越しになって、この曲の演奏を楽しんでください。
(by R)
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