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本日の一曲 vol.207 サティ 家具の音楽 (Eric Satie: Musique d'ameublement, 1920)
エリック・サティさんは、1866年にフランスのオンフールで生まれた作曲家で、1888年の「3つのジムノペディ(Gymnopédies)」が最も有名な曲だと思います。サティさんは、「音楽界の変わり者」と言われ、サティさんに交響曲や大規模な管弦楽曲などの作曲はなく、室内楽曲やピアノ曲、歌曲があるくらいです。
しかし、その考え方は、後進の作曲家に大きな影響を与え、フランス6人組(ルイ・デュレ、アルテュール・オネゲル、ダリウス・ミヨー、ジェルメーヌ・タイユフェール 、フランシス・プーランク、ジョルジュ・オーリック)はサティさんの音楽を慕っていた音楽集団であり、本日ご紹介する「家具の音楽」は、現代の環境音楽のはしりだと言われています。
「家具の音楽」とは、家具のように誰のじゃまもしない音楽というコンセプトで、短い音楽を延々と演奏し続けるというものです。演奏する方はたまったものではないと思いますが、まさにバックグランドミュージック(BGM)を指向したものでした。
県知事の私室の壁紙(Tenture de cabinet prefectoral)
錬鉄の綴れ織り(Tapisserie en fer forgé)
音のタイル張り舗道(Carrelage phonique)
いずれもマリユス・コンスタン(Marius Constant)指揮アンサンブル・アルス・ノヴァ(Ensemble Ars Nova)による演奏のものですが、このアルバムは「家具の音楽」の雰囲気に統一されたもので、とてもよいアルバムです。
このアルバムには、52拍のモチーフを840回繰り返して演奏するという指示が書かれているピアノ曲「ヴェクサシオン(Vexations)」も収録されています。
サティさんの本としては、サティの大ファンとして有名な秋山邦晴さんがフィールドワークとして集めた資料からなる「卵のように軽やかに」という文庫本がKindleで読むことができます。
(by R)
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