老年 伊藤桂一

自分だけで自分を理解する
たとえば樹木のごときものだ
少しの抵抗も拒否もなく
しかも決して屈していない
伐られれば
ゆっくりと眠り込むように
 仆れる
仆れたあとの空間に
なお自身の
寡黙な実存を残せばよい


伊藤桂一氏の、大好きな詩です。いつでも読めるようにここに書いておこう。
この通りに伊藤氏は逝かれた。願わくば私も,と思う。たったひとつ、自分の心に叶う作品を残して。