vol.1.1.3 鯨でないもの

網地島・長渡浜の人たちがともに生きてきた海とは、広い海を自由に泳ぐ鯨が時折人の暮らしに迷い込み、生活の一部となる豊かな海。それは人と鯨以外のさまざまな生き物が息づく海であり、鯨だけが人に殺されていたのでもなく、食べられていたのでもなく、感謝されていたのでも恐れられていたのでもない。この海で鯨が豊かな恵みをもたらす大きないきものだったのなら、同じ海に生きた他のいきものを長渡浜の人々はどう見ていたのだろう。

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