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fieldnotes(日々の記録)

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リトルプレス『ありふれたくじら』の制作プロセス、随筆、うつろいかたちを変えていく思考の記録、などなど。不定期の投稿は、こちらのマガジンにまとめていきます。
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2020年4月の記事一覧

p.3|鯨が運んできたもの〜〈向こうがわ〉を眺める

最近、岩手県大槌町の伝承を思い出していた。 "大槌町に「鯨山」という山がある。かつてこの辺りに、疫病が発生したことがあった。大槌の浜に打ち上がった鯨を食べた人が元気になったから、周辺に住む人たちが鯨を求めてこの山を目印に集まってきたことに由来する。また、鯨が大漁だった時に人々がこの山に集まったとも言われる。"(参考①、他) 数年前、鯨山に登ってみた。山頂から湾が見渡せた。山頂の社には石作りの「権現様」(獅子頭)がいくつも祀られていた。海沿いから見上げるとまわりの山々より高

p.2|アラスカの人、日本の人。一緒に鯨を食べる。

数多くの生き物がいるなかで、なぜ鯨を扱おうと思ったのか。ふりかえると、米国アラスカ州で暮らした頃の体験がきっかけだった。2006年から2010年まで、アラスカ州の大学の芸術科で学んだ。高校生の頃にアラスカの先住民芸術に興味を持ったことから留学しようと決めた。大学の先住民芸術のスタジオでは、教員も学生も先住民の血をひく人がほとんどだった。学期の終わりになると「ポトラック」という持ち寄りの食事会がひらかれ、地方の町や村にルーツを持つ教員や学生は、それぞれの故郷でとれたものや、

p.1|はじめに。

2016年から、国内外各地の鯨にまつわる話を集め刺繍画とともに本に綴ったリトルプレス『ありふれたくじら』を発行しています。 宮城県石巻市と牡鹿半島、米国アラスカ州ポイント・ホープ、和歌山県東牟婁郡太地町、北海道網走市、宮城県気仙沼市を訪ね、2018年末までの約2年間でVol.1〜5を発行しました。ひとつの号でひとつの土地の世界を伝えよう、と考えながら発行した5巻。いずれも捕鯨や鯨猟がおこなわれていたり、鯨への信仰があるなど、人と鯨が身近にかかわってきた土地でした。 現在、

「くじらの見える書窓」をはじめました。

3月以降に予定されていたいくつもの展示やイベントが中止・延期となり、準備を進めてきたいろいろなことが突然停止して、静かな時間がうまれました。 これまでのような展示の場を持つことも、多数の人と直接会うこともはばかられる日々はしばらく続くでしょう。けれど私個人の生活の中で、表現にかかわる活動は続いています。展示やイベントの場をひらける日はいつかは戻ってくると信じているけれど、その日その時それ以降、これまでと同じようには、そこにある表現に向き合えないのかもしれません。 今回no