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縛れば縛るほど離れていく。そんなの言われなくてもわかっているよ。

浮気されたことがある。

恋人をやたらと縛る友人に、なぜそんな不毛なことをするのかと聞いたら彼女は苦しげにそう答えた。

「今の彼に?」
「違う。浮気したのは前の彼氏だけど、また浮気されたら耐えられない。」
「でも、それって今の彼氏じゃないでしょう?」

言ってから、ただの正論だと思った。
そんなこと彼女だってわかっているのだ。
浮気したのは今の彼ではなく、前の彼だということも。
縛れば縛るほど男性は逃げたくなることも。
それでもどうしようもなく不安で、縛らずにはいられない。
だから苦しいのに、当時の私はその気持ちに寄り添ってあげることができなかった。

友人の元恋人は仕事で知り合った年上の男性だった。
友人とは長い間仕事仲間で、お互い長い間知らぬ間に片想いしていた相手同士だった。
思い切って告白して、やっと付き合えたと嬉しそうに話していたのに、1年も経たずに2人の関係は元恋人の浮気によって破局した。
元恋人の浮気相手は友人の仕事先の女性で、仕事がらみで2人を紹介したのは友人自身だった。
自分の恋人を知人に取られたトラウマ。
そんなもの簡単に拭い去ることはできないだろう。

今の恋人を信用していないわけではない。
けど、もう一度同じことになったらと思うと怖いんだよ。
彼女はそう言ってから、もう何も言わなくなってしまった。
私にはもう何を言っても通じないと思ったからだろう。

一度されたことをずっとトラウマとして持ち続けてしまうことは、自分にもある。
私は子供の頃も元夫との結婚生活でもずっと経済的にマウントを取られていた。
「お前は俺がいないと生活できないんだから」
そういう言葉によって支配されてきた過去はそう簡単に拭い去ることはできない。
それが自分にとってショックであればあるほど、残念ながら手放すことは難しい。

では、今も私はその言葉に縛られて生きているのかというと、
半分そうで、半分違う。

やっぱり簡単には拭い去ることはできないもので、そういった呪いは心に持ち続けている。
けど、違う半分というのは、100%はそこに縛られていないということである。

恋人に経済的に支えられることがあっても、以前ほど苦しくなくなった。
支配を強く感じることはなくなった。
なぜか?
それは全てを今の恋人に打ち明けたからである。
父との関係のことも、元夫との関係のことも、全て。

全て話してしまうと、私が蘇るトラウマにワーワー言い出しても彼氏の方も「そうか、過去のことがあって今はしんどいんだな」と冷静に受け止めることができる。
意味がわからず爆発されるより、意味がわかっている方が対処のしようがあるということだ。
こちらとしても、そうやって何度も恋人に冷静に受け止めてもらえると、拒絶されない分心が楽になっていき、不思議とトラウマのレベルも当初より解消されていった。

先ほどの友人の例で言えば、過去にされた浮気の話を今の恋人に打ち明けるのが一番良いと思っている。
過去にそういうことがあったから心配な気持ちが大きいのだと、恋人に正直に話してみたらいいんじゃない?と。今の私だったらそう彼女に伝えたい。
※もちろんそれを盾に束縛をもっとひどくするのは悪手なのでおすすめしない。

嫉妬してしまう心も、不安に思う心も、全部「いけないもの」として押し殺すのではなく、自分がまず受け止めてあげて、それから大切な人に伝えてみる。
もしその恋人があなたのことを本当に大切に思っていたらきっと受け止めてくれるはずだから、2人でゆっくり解決できたらいいんじゃない?と。

とはいえ今はもう連絡も取らなくなって久しいその友達に、今更ああだこうだいうことはないので、noteに書き残しておく。

同じような思いに囚われて苦しんでいる人に伝わればいいな、なんて、ちょっと烏滸がましいかな。

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